Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

一人暮らしとピザ

 

いつだったろうか。一人暮らしをしてから「ピザを頼んでみよう」と思ったのは。
記憶をたどるとおよそ3年位前からかな。と思う。

 

このときは仕事で慢性的に疲れていて自炊をする気も失せ、スーパーの弁当とかそういうものばかりを食べていて、なにかそういうものではなくて「大量に食べれる自分の中で一番うまいもの(しかも自宅で)」ということを考えていたらピザが選択肢に浮かんだ。

 

実家暮らしのときもなにか臨時収入が入ったりすると「ピザを食べよう」と提案をする私が一人暮らしをしてから頼まなかったのは理由がある。それは好きすぎて大量に食べてしまうこと。案の定、私は一人暮らしで初めての注文から月一回から2週に一回ほどのペースでLサイズを一枚頼み、それを完食するようになる。

 

それだけ頼んでいると次第に色々なことが気になるもので主要の宅配ピザチェーンの食べくらべをして「ここは日本のピザっぽい」「あっちは少しジャンク」「あんまり割引しないけど美味しい」とかそういうことがわかるようになった。会員のランクがあるピザチェーンはどれもトップクラスの会員、配達に来るスタッフの顔も大体覚えた。

 

ある日、とても若くてどこか初々しさのあるスタッフがピザを運んできてくれて、受け渡しはどこか少しぎこちないもののスムースにピザをいただくことができ、何の拍子か忘れたけどもドアがいつもより開いてしまい、反射的に周りを見回したら廊下の影に先輩スタッフと思しき者の影があった。「ああ、俺の家はこういう研修所的にも使われるようなところになったか」と思った。それくらいにピザを頼んでいたし、それはそれでそういう状況になった自分の部屋と自分が面白くてそれでちょっと楽しく思った。

 

「やっぱり俺、ピザ好きだから結構な頻度で頼むし、来るのが嬉しいものだから無碍な対応なんてしないしな」なんて。

 

一人暮らしの家を引き払う前日も確か、ピザを食べた。引越し先でもまだ調理設備が整わないからとピザを食べた。そのときに運んできてくれた人は前の家と同じ人だった。配達エリアって広いんだなと思いながら「また覚えられるな」と感じたりもした。覚えられるのは別に嫌じゃないし、会社の人に話す良いネタにもなったし、奥さんも「えー!」って驚きながら笑っていた。

 

今は一人で暮らしているわけではないので夕食にホイホイピザを頼むわけにはいかないし、私としては控えたつもりでもやっぱり頼む回数は「多い」らしい。最近は文学フリマ東京って大きいイベントがあったときに帰ったら一人だったのでピザを頼んだ。

 

一人でピザを食べているときは大人になったような気もするし、大人のくせに子供みたいなことをしているなと思うけど、ピザはとにかくうまいし、Lサイズを一人で食う、食らう感じはとてもエキサイティングだ。

f:id:nero_smith:20181206222957j:plain

 

 

第27回 #文学フリマ東京 出店レポート 

f:id:nero_smith:20181129192601j:plain

いつものブース。今回は文字だけポスターと表紙ポスターを復活させたけどこっちのが足止め率高し

 

 

第27回文学フリマ東京に出展してきました。

今回は当日、起きたらiPhoneが充電されておらず、部屋中の充電ケーブルを挿しても全く充電しないという緊急事態からのスタート。

とりあえず、その報告をツイートし、あとはもうフォロワーの皆様に宣伝をお願いするという散々な展開でしたが、本当に皆様に助けられ、いろいろな人に訪ねていただき、無事、既刊新刊合わせて60部完売することができました。

 

一年半だか二年ぶりの完売ですが、上記の件とは別に単純に今回の文フリは動員が多かったと思います。「4000部の入場者向けに配布しているカタログが無くなった」という放送は初めて聞いたような気がしますし。午前中から、サクサク売れるなと思ってたらそこから昼ごろまでにかけて波があって、更に夕方まで動員が続くといった感じ。

 

あと、今回は私も朝の一件でそわそわしていたものの体力的にはバッチリ&お客の動員がいい感じだったので「午前中から接客を全開に行う」ということがなかったので15時くらいに完売が見えてきたあたりでもまだしっかりとお客さんと話せるコンディションになっていたのが良かったです。

 

なので開場から閉場までタイプは違えど同じような熱量で来てくれた人とお話できたのは自分では成功だなーと思いますし、そこから一見さんに買ってもらえるケースが増えてもいたので今回は「リピーターよりも新規が多い」という売る側にとっては非常に嬉しい結果でした。

 

そして印象的だったのは左隣のUFO手帖を販売するSpファイル友の会の方。

私は「文フリは対面式の即売会なんだからある程度は接客をすることで売れる」ということをいろいろなところでふんわりと書いていましたが、それは自分が「意識的に接客を行って売上を伸ばしている」という事実に基づくものだったのですが、左の隣の接客を見て「やっぱり接客すると売れるな」と客観的に見ることができました。

 

f:id:nero_smith:20181129204311j:plain

結局気になって仕方が無くなったのと、こういうすごい人がいる!という記録のために購入

 

Spファイル友の会の方の接客、もっと広く定義するなら声掛けは非常に面白くて、僕はそれを隣でずーっと聞いているんですよ。一日中。でも、それでも飽きないんですよね。「じゃあ、毎回言ってることが違うのか?」というとそうでもない。フレーズと、話の流れは大体同じ。トークスクリプトがあるという感じですね。でも、それが本当に面白い。何が面白いんだろうと思いながら、自分のところに誰も来ない時間に耳を傾けたり周りを見ていたら、やっぱり周りの人も笑ってる。

 

その雰囲気をなんとなく観察していると笑ってる人たちの空気感は、私の主観ですが「またやってるぞ」という感じ。声をかけた人が立ち止まり、本を手に取り、それを面白おかしく解説して、それでその人がクスッと笑って……という流れを僕も含め周りはまるで自分だけが2周目のコメディ映画を見ていて「ここで、みんな笑うぞ……」とワクワクするような感覚を持っていたような気がします。

それに気づいた瞬間

 

「この周辺の空気は、この人が持っていっている。状況をこの人が作っている」

 

と驚きと謎の危機感がまず生まれ、そして自分もこれは真似ができるのではないか?という気持ちが生まれて、後半は真似してみましたが、これが本当に効果があって驚きました。向こうはUFOの本、私は革靴の本ということでジャンルは全然違いますが物珍しいという点はほとんど同じ。なので話し方をトレースして、要素を差し替えるだけ。ただ、その人の個性そのものはコピーはできないですし、私も自分のサークルがどういう感じでウケているかは多少は知ってたのでその辺は調整しましたが。

 

こういう「接客」とか「声掛け」って、話し方とか口が上手いとかそういうものが先に立ちがちですが、それでも結局はなんていうか自分が作ったものにどれだけ詳しいのかとか、そういうエネルギーが根本にあったりするんだろうなって思います。「テクニックを知らないから話せない」ということはもちろんありますし、その辺は私はnoteの有料記事で売っていたりしますが、ただそれとは別のところで「売るもの自体に愛着や熱意がないと売れない」というのはあるんだなと改めて感じました。

 

「売る」というのは、仕事では利益が出ることかもしれませんがこういう場では「多くの人に手にとって読んでもらえる」ということでもあります。

 

僕が売るのは「完売という目標を常に掲げている」ためだったりしますが、それとは別にやっぱり多くの人に読んでもらえてTwitterで「クリスチさんの本、すごい面白い……」と140字MAXあるいは連投も辞さないくらいの感想がたくさん出回ったらすごいうれしいと思いますし、そういうことにも「売る」ことが関わっているんですよね。

 

そういう意味ではやっぱり、研ぎ澄まされた接客で自分の本を売る姿で輝きを放っていた姿はかっこよくて、自分も負けられないし、そうでありたいと思える、良い文フリになりました。

 

あとは今回の嬉しい話をざっと

・「新刊ください」は相変わらず嬉しい(リピーターの人がいるような嬉しさ)

iPhoneが壊れた中でいろんな方がリツイートや宣伝をしてくれたのが嬉しい

Twitterで紳士靴九話と合わせてあげてくれた人がいた(幻の最速完売本で増刷までした本です)

・まさかの「noteすごい面白いです。続けてください」という嬉しい感想

・一見さんが今回は本当に多かった(見本誌を見て、Twitterを見てとのことでした)

・前回の文フリで買わなくて後悔していましたと言ってくれたこと

・最後の一冊がサクッと売れたのと、その人が「こんなに靴の事をガッツリと書いた本はないのでいつも楽しみにしています」と言ってくれたこと。

・著者紹介があったほうが絶対良いですよ!と「確かに!」と思うアドバイスをくれた人がいたこと

 

というのが非常に嬉しかったです。

 

最後になりますが「生活と革靴2」はネットに上げてもただただ美談として消費されてしまうような話を一つと、年をとっても若々しいことが素晴らしいとされることに対して、など今、あんまりネットには書きたくないけど、わざわざこういう場に来てくれるような人には読んで欲しいという話を書きました。

特に前者のことに関しては、心底そういうことになるのが嫌だったのと、それでもそういう、伝説を持った存在を誰かが何とか残しておかないといけないという気持ちがあったので書きました。それが、こうして全部売れたのは非常に嬉しいことです。

 

皆様、本当にありがとうございました。接客最後の決め台詞「ぜひ楽しく読んでください」でこの記事は終わりにします。

#文学フリマ東京 宣伝-この靴がこの絵「生活と革靴2」-

こんにちは。いよいよ日曜日は文学フリマ東京が開催されます。

 

c.bunfree.net

 

私のブースは二階のク-37ですが、そこで販売する新作がこちらです。

 

https://c.bunfree.net/c/tokyo27/2F/%E3%82%AF/37

f:id:nero_smith:20181122214751j:plain

相変わらずシンプルな装幀です。

生活と革靴2 36ページ A5サイズ 600円

 

今回は割としっかり書いた項目がいくつかあるので、個人的には「気になる人は買ったほうが良い」くらいのレベルに仕上がっていると思います。

内容は、手にとってからのお楽しみで今回は絵の話。

普段履いている靴からピックアップすることが殆どの私の本ですが、この靴がこの絵になっているということはあんまり書いていないような気がします。前回一足描きましたが。それのおさらいと、あともう一足を紹介しようと思います。

 

f:id:nero_smith:20181108220640j:plain

 

まずはこちら。前回も上げましたね。

コンビシューズのカテゴリーに入りますがそれにしても黒色と茶色という靴の中ではありふれた二色が組み合わさることでこうもユニークな靴になるのかと思います。

このブーツに関して言えば、羽根から筒部分の切り替えが独特なのでそのアウトラインがより、浮かび上がるという趣。

 

f:id:nero_smith:20181108215634j:plain

 

絵にしてみるとなおさらですね。横のラインが独特です。

絵にすることで素材の質感は消えますがシェイプの面白さは際立ちます。

値段はガツンと上がりますが、オーダーもできます。

私は気合を入れてオーダーしましたが、今思うとやっておいてよかったなと、本当に思います。履けば履くほど、そして定期的に手入れをし続けることでかっこよくなるのが革靴なので手に入れるのは早いほうが良いという感じ。

 

tradingpost.jp

 

上記は昨年のもの。今年は終わっちゃったのかな。どうだろうか。

 

f:id:nero_smith:20181122214358j:plain

 

こちらもブーツです。最近本当に寒くなってきたのでブーツの保温性はありがたいですね。この靴は付き合いが長いのですが、絵にするのタイミングがあまりなく、今回ようやく出番が回ってきました。まさに「生活」の「革靴」といった感じです。

 

f:id:nero_smith:20181122220054j:plain

 

この滅茶苦茶めんどくさいアングルで描いたのはなんでですかね。

もう一回かけと言われたら描く自信はないですが、ただきっとこういうアングルにしたのはこの靴の出番があまりに遅すぎて、申し訳なくなったからではないかと思います。

 

www.redwingshoe.co.jp

 

靴屋で働いていた後輩が「コスパが良すぎるんですよね」と言っていましたが、本当にそうだと思います。良すぎることが当たり前で、それがこの靴の唯一性を保っているような気がします。

私も「今年は戌年なので欲しい」と思っていてそれは新刊にも書いています。

 

いよいよ25日も迫ってまいりました。

ぜひク-37にお越しくださいませ。