Re:11colors

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中山製靴7ヶ月

中山製靴のチロリアンシューズ、最近履く機会が多くて「ああ、そういえば結構経つよな」と思ったので書くことにした。

 

一年の殆どを革靴で過ごし、下駄箱の都合でスニーカーともお別れしているのでスニーカーの履き心地なんてとうの昔に忘れたのだけど、そうでもなく革靴とスニーカーが半々みたいな感じの人の感覚に近いものをたまに感じる。

それは「足を休ませる」ということだ。靴なんて、フィット感にOKを出すサイズ選択がそれぞれなのだけど、僕は割とピタッと履く人。それで全く問題はないのだけど、時折こういう少し楽な靴があると嬉しい。

 

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革靴は凝りだすと途端に「品」とか「味」とか言い出したりするものなんだけど、毎日毎日毎日ひたすらに履いて、数も増やしてと行っているとそういうことは「誰かに見られる自分」とか、その反対の「自分が見た誰か」に対する話ではなくなってきて、自分がそれをどう思うのか?なんて話にすごい近づいてくる。

自分にとってこの靴はどういうものなのか考えたり、役目を与えたり、求める役割を果たせるものがない(ということにして)から新しいものを買ったりする。

 

僕がこのチロリアンシューズを手に入れた理由は、ダラダラ履く革靴が欲しいなと思ったから。だってこの靴のデザイン、どう見ても完璧に足に沿うなんてことはなさそうなんだし、脱ぐときも紐をぐいっと引っ張って一気に緩めてガボッ、ガボッと脱げばいい。

 

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それととにかく硬い。型崩れ全然しないもんな。もう結構馴染んでるから履いてる分にはそういう硬さは感じないんだけど、脱いで靴を見たときにビシッとしてる。

 

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まぁ本当にこういう靴は貴重です。変な理屈を付ける前にぽんっと履いて、ドレスシューズの品でもなくワークブーツのとっぷりと油を塗りたくられた漢らしさでもない、ただなんとなく履く様子とかこの靴のおかげで革靴を履く生活がしっかりと成り立ったりしてしまう感じとか、そういう無頓着そうで愛しているみたいな靴を履く楽しさとかを味わってもいいと思います。

しかも最後の最後に要確認という感じで書いちゃうけどこれ、オーダーメイドだからね。細い・普通・広いの木型の中から選んで作れるというだけでも非常にありがたい。

 

しかし60周年とは長い。

 

登山靴 手作り職人の店 中山製靴

 

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色を塗りだすととたんに難易度が様々な面で上がる話

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前回、接着剤で貼り合わせて組み立てることを覚えてから、色が猛烈に塗りたくなって「タミヤ 1/72 ウォーバードコレクション No.50 ドイツ空軍 メッサーシュミット Bf109E-3」とそれに必要そうな塗料をめんどくさくない範囲で買って塗装して完成まで持っていった。

 

この迷彩柄を塗る前に実は同じものを一機作っていて、色は羽根はオリーブグリーンオンリーでかなりシンプルに仕上げたのだけど、その仕上がりが全然満足いかなくて、写真のものは2周目になる。

 

僕は同じことを2回することに猛烈なダルさを感じるタイプなのですが、「納得がいかないなら作るしかねぇよな」と悔しさを胸にトライしたのですが、一周目と二周目は組み立ての手順が明らかに違って、塗装を含む工程が速やかに進む進む。

 

なんでだろうなーって考えながら作ってたんだけど、慣れもそうなんだけど「俺は今この部分を作っている!」という認識がはっきりできているからなのだろうなと、思ったりして面白い体験でした。

 

それとこれは一機目のときから気づいてたんですけど、色を塗るという工程を入れると急に制作時間が増える。無塗装だと〇〇時間だけど塗装だと◯◯日と単位が変わる。

そこに「なんとかうまいこと早くできないか?」という謎の改善思考と作業性の向上が組み合わさるともう何がなんだか。

 

「説明書通りのステップで進めるよりも早い方法があるな」

 

なんて考え出してしまう。「ココとココとココは最初に色を塗っておいて、乾かしている間にコレをくっつけておいて、さらにマスキングをしておくと最初のは乾いていて」と頭の中で高速で段取りが組まれては改善され組まれては改善され……と続いていきます。加えて二機目の場合はそれが二回目だからもっとプランニングがシャープになっていくという。

そうなってくると「説明書ってなんやねん」って話になるんですけど、これはこれで当たり前ですけどしっかり役割がありますよね。で、これが例えば「主翼を貼り合わせて乾かしている間にコックピットを塗っておきましょう」とか言い出すと今度はまた、なにか趣が変わってくるような気がします。「結局どこまで説明するのか?」という話ですね。

 

これなんか仕事みたいだよなって本当に思います。「こっちがそこまで説明しないといけないのか?」って疑問に思うときあるじゃないですか。そのマニュアル自体はあくまでも基本形であってそこにどうアレンジを加えて成果を出すのかはそれを受け取った人に委ねられるというか。なんかそんなこと考えながら作ってました。

 

「色塗るタイミング自分で考えないといけないけど、これ説明書通り一つ組み終わっては塗っての繰り返しだとダルいな」

 

って。

 

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あと、もう一個面白いことがあって、最初は楽しいんですよ。最初は。でもしばらくやっていって、自分の腕前だと少し厳しい場面とかに遭遇すると急にストレスになる。その日の気分とか製作工程の流れとかもそうなんだけど「趣味がストレスになる瞬間」がそこには明確に存在します。そのままズルズル続けると失敗は増えるときもありますが、なんとか取り戻そうと思いながらジリジリにじり寄っていくと流れが戻ってきて「さっきまでしんどかったけどなんとか盛り返したな」というゴルフで言う我慢のゴルフ状態を味わえる。

 

それに加えて「二回目だから」とかいう謎の甘えと舐めた態度のせいで一回目では失敗しなかったところを失敗する。それも面白い。

 

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作り終わったあとに「俺は絵を描くのに少し疲れて、平面というか立体物を作りたいという気持ちと、それを解消する存在がプラモデルだった。あと、色々合って筆で何かを塗り塗りしたかった」というやりたいことがかなり先行していたという事実に気づきました。出来上がったこのメッサーシュミットのBf109 E-3を見て「果たしてこれは俺が作りたかったものなのか?」という謎の自問自答が始まっています。

 

「完璧なものを作りたい」というよりは「完璧な作業工程ですべてを満たしたい」という不思議な気持ち。

 

あ、でもこの四角い感じの造形と細くて小さくて……という飛行機の造形はものすごく好みです。次もそういうの作りたいです。

 

 

西洋ファンタジー感もある、魚のサンダルを履こう。

夏は終わりそうだが、サンダルを手に入れた。

 

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サンダルを、オーダーしたことはあるだろうか?私は無い。というかサンダルをオーダーするという発想すらなかった。しかし考えてみれば、あっても別におかしくない。

たまたまそれを履いている本人に知り合って「なんですか、そのサンダル?」と聞いたら自分で作っているという。その奇妙な形が気になって仕方がなくなり、オーダーをお願いしたら快く了承していただけたので作ることとなった。

 

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この、バターナイフのような、葉っぱのような全体のアウトライン。うん。謎だ。というか、どこかにあふれるイタリアンフレーバー。手作り感をバッチリ、ディテールとして魅せる美しさや可愛さ。

私は最初はこれを見て「豆だな」と思ったりもしたがよく見ていたら魚のヒレや魚そのものに見えてきたので、それをテーマに注文することにした。

 

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なのでこの編込みのベルトは鱗や波を表現していて、足が触れる部分を裏の革にすることで全体の表情が光の反射でさまざまな様子を見せる魚のボディに近い様子に。

ライニングには茶色の革をはみ出し部分を多めに取ってもらい履き込んでクネクネしてくれば、魚の流れるように泳ぐ様子を表せるのでは?というアイデア

 

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留め具を大きめのギボシにすることで目のようにキラリと光るように。ベルトの端の処理はカシメでバチンと止め、ワイルドな仕上がりに(この辺から海の男の持つ荒々しさも加えたらどうか?という話が出てきた)。

 

こんな形で出来上がったサンダルの履き心地は、なんというか未体験の履き心地。

なにせ「サンダルでピッタリ」という状態が全く理解することができないからだ。足をピタッと抑えているのにサンダルなので踵の部分はゆるい。でも、スッと入るし。

うん。なんだかわからん。が良い。出来上がった帰りにはこれを履いて帰ったしその後も一度仕事が終わって帰宅してから外に出るときはほとんどこの靴、ではなくてサンダルだ。

 

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ぴったりでありながらも楽に履ける、オーダーサンダル。不思議な存在だと思う。

それと、靴もそうだけどオーダーのコツは見立てと自分なりのストーリーとテーマ。

ですね。それにディテールやデザインが自ずと寄り沿ってくるのです。