Re:11colors

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山靴、無言の用の美

2018年は靴はもっと購入を絞っていきたいと思ってはいるがその同じ口から出るのが「今年の初めての靴は何にしようか」であるから全く信用ならない。

考えることは色々とあるが「無くなる前に買う」というのは靴にしろ、服にしろ、本にしろ同じだ。ここ2年くらいか、もう無くなるだろうなと思うのはタイトルに出てくる山の靴である。なので、今日は山の靴の話を書く。

 

私が日本の山靴が秘めるかっこよさに気づいたのは安藤製靴のことをふと思い出して調べてからだ。「ああ、キレイだよな。登山用なのに。ん?待てよ“なのに”ってなんだななのになのになのになのに……」と。ドレスシューズじゃないんだからそこまで繊細じゃなくて良いとか、ワークブーツのワイルドと取られる仕上がりのそれとかそういうのを見て思い込んだ上の「なのに」。

ああ「なのにキレイに作る」って言い方は違うんだな。面白いな。しっかりとものを作る上ではなのにもなにもない、良いものを作るってこういうことか。

なんて思いながら色々と調べていると廃業した店の話も出てくるし、高齢の方が一人で作ってるとかそういう話も見る。つまり、無くなりそうなのだ。

 

今こうして書いている間に私がパッと「無くなりそうだな」とイメージする山靴のメーカーは2、3ある。アイガーエイス(中森商店)なんかは結構ギリギリな気がする。安藤はどうだろう。まだ続くか。なんて具合に。中山製靴もきっとその一つだ。

 

過去に一度ブログでさらっと触れた気がするが、山ガールブームで息を吹き返したという話は今になってみればありがたい話だが足踏みしているとうっかりチャンスを逃しかねない、そんな気がするので2月か3月かにでも作りに行きたいと思っている。

 

 

 

私が欲しいのはチロリアンシューズなのだが、ネットで調べてもほとんど情報が出てこない。画像検索でちらっと引っかかる。カカトから履き口までと履き口からつま先までの距離を比べると気持ちつま先が長い?いや有名なフランスのメーカーのチロリアンシューズの比率が独特すぎるだけだろうか。その辺は結局、店へ足を伸ばさないと良くわからない。ただ、見ているとキレイな靴だなと思う。実際はどうなのだろう。興味は尽きない。

 

 

何にしたって「無くなる前に」これに尽きる。作る人がいなくなったら終わりなのだ。

異なるオイルレザーを履くことは、こういうこと。

もう3ヶ月位履いていると思ったがそうでもないらしい。2ヶ月位だった。

そんなに変わらないか。

全体的に柔らかくなるように製法、底材、甲革と選んだのと羽根の大きさが手伝って履きやすさのフィーリングが合うので出番が多い。きっとそのせいもあってずっと履いている感覚を覚え、長い間履いているような気分になるのだろう。

 

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TEMPESTI社のエルバマットのオリーブとMPG社のニューヨークのブラウンでコンビシューズをお願いしたがどちらもオイルドレザーと呼ばれる素材だ。

特徴は、なんだろうな。素朴な風合いが持ち味。一言で言えばこれだろう。

もう少し付け加えると一般的な皮革よりも油分が多い革ということになるだろうか。

引っ張ったり曲げたり内側から指で押すと油分が移動して色が薄くなるのが特徴で、履いていると先程書いたとおりで素朴な風合いが生まれる。艶がキラッとしすぎず、しっとりとした様子が優しく、好きな革の種類。「鳥の中でも文鳥が好きだ」と言っても、その中に幾つかの種類があるようにオイルドレザーも触った感じだとか色の出方だとかでなんとなく雰囲気が分かれる。

 

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エルバマットの方が柔らかい感じがして、しっとり。艶はふんわり。ニューヨークの方は比べると少し固め(それでも柔らかいが)。艶もバリっと出る。エルバマットが柔らかいせいもあって、硬そうに見えこの茶色は板チョコみたいな雰囲気。甘い。良い。

 

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経年変化で色の濃淡が部分部分で出てきてシワや小キズなども楽しくなる靴なので、こういった革と頻繁に履く靴は相性がとても良い。「ダラダラ履く」という言葉を綺麗にできる才能が自分にはないな。と思ったのでそのまま使うが、そういったリラックス、脱力の奥の奥にある本当のゆるい感じを上手く拾ってくれる。「自然体」とか言おうかと思ったけど、もうきっと今はこういった言葉はどれもその楽な感じを本当に表す言葉ではなくなっている気もするので、やっぱり難しい。

もちろんだからといって大きいサイズで作るとか、そういうことをしてはせっかくの設計が無駄になるのでジャストサイズでその感じを味わってみても良いかもしれない。

 

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制作事例は見ていて楽しい

www.delightfultool.com

 

チャッカブーツを何処かで作ろうと思うんだけどどこにしようか悩んでいる。

越冬、パターンオーダージャケット

真冬でもコートを着たくない日というのがその季節中何度かある。

めんどくさいとか、重たいとか、もう春だ!と自分で割り切りたいときとか。

もっと気にしてみると私の場合は体の殆どの部分を重苦しい布に包まれるのが重苦しい気分になり、着たくないと感じることが多いことがわかる。

特に連日それが続くとその気持ちはどんどん大きくなる。

 

各々が何かしらの対策を講じているかあるいは冬は着込むのが楽しいとかそういう前向きな気持を持っていることだと思うが(そう、私は雨も嫌いだ)、なにか良い手はないかと考えていたらお客さんが

 

「ああ、それね。わかるよ。僕はジャケットの裏地をキルティングにしたのを一着持ってるよ」

 

と教えてくれた。え!そんなことできるの。

というわけで早速いつも作ってもらっているところで相談したら「やったことはないが、ある」という回答でそれならやりましょうと提案し、そうですね。と向こうも快諾してくれたので作ることにした。

遊び、というか試しにという感じなので生地はそんなに高くなくそれでいて程よく派手なもの。

 

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あったかさを重視するためにダブルに。

 

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重なる部分が温かい。

裏地のキルティングは色があったような気がするがとりあえず黒で。

 

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ボタンは焼きボタン。カッサカサな感じが乾燥した冬にあってますね。

 

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肝心の暖かさだけれども「あ、暖かいな」と思うくらいには暖かい。

暑くはない。人によっては寒いかも。背中が特に暖かさを感じる。

これで中にセーターでも着てマフラーを巻けば行ける気がする。

明日、トライしてみます。