Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

文フリでの完売と俺

文フリ東京が近づいてるなーとカレンダーを見て思います。

あと来週に一回ブログを更新すると次の更新日は文フリ後。早い。

 

文フリでの私の目標は「完売」だったりします。気合を入れて売りに売って売りまくるとかではなく、適正部数を印刷所に作ってもらってそれで売り切る。ということで完売です。もちろんそんなことは無いけど午前中に売り切れましたとかは少し違う。15時〜16時頃に売り切れることをベストとしています。

 

完売の目標って良いなって個人的に思っているのは難易度設定が楽なところです。

5部刷って、5部売れても完売だし。難しくしようと思えば部数を増やせば良いだけ。

で、当日はそれに向かって頑張る。前回と前々回は部数を増やしたんだけど、結構大変だった。1日中喋ってるし立ってるし休憩無いしご飯も食べられない。今回はややゆったりとしたいから、そしてジャンルを移動したから部数を減らしました。影響がわからないので。

 

知人から見ると「私がそこにいて、接客をして売るから良い」そうです。

この言葉は本当に嬉しくてよく覚えています。前に書いた気がするけど、本もブースも私も一体となった何かになっていれば良いなと思っています。

 

寄藤文平さんって好きなイラストレーターの方がいるんですけど「絵と言葉の一研究 『わかりやすい』デザインを考える 」って本に絵と言葉が一緒になると別の何かになるみたいなニュアンスの文章があって、それが頭の中にずっと残ってて、そう思うわけなのです。本は確かに本だけど、そこにいつも敷いてるチェックの布や靴の絵のブースの看板とか靴とかそういうのが並ぶと見え方が違ってくるとかそういうことなんだろうなと。

もっと具体的に言うとチェックの布は水平垂直が取りやすいからキチッと綺麗に置くにはぴったりで、そう並ぶと真面目そうに見えるし靴の絵の看板は実際に新刊に使われているものなので私のブースにはどういった絵が描かれたものが売られているのかがわかると思います。

加えて靴も置きますが「その靴が絵になっていること」を端的に示すこともできますし、靴を置くサークルもなかなか無いのでユニークさも出るので良いアイデアだなといつも思います。そこに私が何らかの形でポジティブな介入ができると良いなと感じていたので知人の言葉は嬉しかったというわけですね。

 

接客をするのかどうかって話もあるんですけど、その辺は半年前のことなのであまり覚えていないですが、割としているような気がします。「立ってますよね」と文フリでだけ会う人に言われたりもしますし(これは座る→立つの流れがお越しいただいた人をびっくりさせる可能性を消したいってのもあります)。

「どうぞ、ご覧ください」とかそういった類のものから本の説明をしたりとか。その辺は割と相手を見ながらになります。原画も持っていくので必要ならば出します。まさに対面販売ということになります。

ジッと本を手にとって読んでくれている人などは話しかけないほうが良いだろうなとか、逆にどれにしようか悩んでたらそれぞれの本の特性がありますので「これは読みやすい」「これは文と絵が混じり合っていてレイアウト的にはとても凝っているので、よくできた本が欲しいならこれですね」とかそういう話をします。

 

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例を出すとこの「紳士靴九話」は反応が良いと明確に感じます。レイアウトも文章量も絞り切りながらの充実感。「入門用」ってフレーバーがあるというか。表紙もなんかそんな感じ。

 

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反対に十八話は少しディープな内容。表紙も中のレイアウトも私の好み全開で作っているので楽しい本ではありますが受け入れられやすさという点では九話には劣ります。九話がさっぱりしすぎていると感じる場合は断然こっち。

 

この辺は前回気づいたことなので今回活かされると思います。自分が作ったものを複数販売するとなるとどうしてもお互いの特性とか持っている役割が見えてきてしまうようです。これもそれぞれが混ざると別の何かになる現象ですかね。

「完売」という話からだいぶそれましたが、本は仕事でも作っていたしフリーペーパーも作ってたので進行は読めるので要素だけ抜き出すと全く読めないのは売れる売れないだけなんですよね。そこを自分と作品とブースの三位一体で乗り切ることが文フリが楽しいなって思うところなので自分で「30部売るぞ」とか「50部売るぞ」みたいな目標を設定して達成できたら良いかなと。

 

あとは、いうほどでは無いですけど何回も出ちゃってるので「いつもの靴の人」みたいになってるのかはわからないですし聞こうにも聞けないのでアレなんですけど、最初の頃の、誰も私を知らない状態で売るみたいなのはまた味わいたいのでどこか別のイベントに出たいなとかそういうのはここ1年くらい思っています。春のテキレボは4月1日ということもあり出られませんでしたが、テキレボとかも出たい。

 

 

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

 

 

2017年5月7日(日) 文学フリマ東京で販売する新作が出来ました。

こんにちは。

進行が遅れに遅れて心配していた新刊紳士靴十一話が無事完成したので報告します。

 

良いところ

今までは「説明をするのに両足描く必要はないだろう」と片足のみを絵にすることがほとんどでしたが、今作は両足、一足まるまる描くことに挑戦しています。これは単純に絵を描くことに興味がわいたことが一つ。良い本に出会い、トレーニングを積むことに成功したことも一つ。練習をして自信が生まれ挑戦したい心がうまれて実行に移す。良い流れですね。両足描くことで靴らしくなることはもちろんですが右足を描くことが左足の完成度を高め、その逆もあることは驚きでした。

 

掲載順について

今回は絵を先に描いてから文章に入りデザインへ進む方法をとりました。この手法ならではだと思うのは絵を描いた順に載せる面白さな気がします。今までは例えば既製靴と注文靴のように大まかに分けていましたが今回は描いた順番です。なので後半になるにつれて絵も気合が入ってきます。

同じメーカーの微妙に違うだけの靴を比較して読むことで面白さに深みが出るようにといくつか仕掛けましたが絵の上達度合いがわかると思います。特に本作で言えば一番最初のLeMocと180は同じメーカーのローファーでルックスはそこまで変わらないのに絵になってみると随分と違うものです。というわけで先行プレビューということで絵を載せましょう。

 

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Le Moc

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180

 

両足を描ききることが当たり前になって自信が生まれているような気がしますがどうでしょうか。こういったところもページを送ったり戻したりして見比べながら読んでもらえると楽しいです。

 

素直な表紙

今回の表紙は実に素直にデザインが決まりました。といっても会議中にコソコソっと描いていたものなのですが(これは秘密にしてください)。こちらはもはやTwitterにアップしているので勿体ぶらずに載せることにします。

 

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やりたいことと良い成果が出ると見込めるものが合致することは良いことです。

そうなった原因は絵に関して自信を深めたことだと思うとトレーニングの大切さを感じますね。

 

ざっくり、そしてやや長めですが新作の紹介をさせていただきましたが、どうでしょうか。少しでも気になって当日ワクワクした気持ちで私のブース「キ-06」に来ていただけると幸いです。既刊の情報などはこちらを見ていただけると参考になるかと思います。

 

c.bunfree.net

 

 

それでは御機嫌よう。

坂崎千春のアデリーペンギンの絵が来た

私はスイカのペンギンが好きだ。

ただ、ペンギンって白黒で人形などは汚れてしまうので買えない。なので、家にはグッズがたくさん。というわけではない。ただ唯一、EDWINとコラボレーションしたデニムでできたそいつは生地の感じなどもえらく気に入って所有している(あのシリーズはまた再開しないのだろうか)。

それで、本当にたまたまそのペンギンの生みの親、坂崎千春氏の展覧会が新宿伊勢丹で開催されるということを聞きつけ、最終日まで休みがない中で最後の日に滑り込みでみにいくことに。

 

sakazakichiharu.com

 

ペンギン百態と題し動物とペンギンの絵を無数に展示するその空間は「かわいい」の一言。ただただ可愛く、私は癒された。蟻に噛まれるペンギン、アライグマにむにーっ遊ばれるペンギン。オニオオハシと戯れるペンギン。文鳥をのせるペンギン、ねことペンギン。プランクトンとペンギン。ラッコと浮かぶペンギン。

そして原画を販売していたのだが、それはとうに売り切れ。初日に行けなかった現職を恨んだのは言うまでもない。仕事め。

ただ残っているものは残っているもので「ジクレー版画」と呼ばれるインクジェットプリントの超高級版(とはいってもインクジェットプリントなのでそんなに高いわけではなかった)がいくつかあったのでそれを買うことにした。「私は伊勢丹で絵を買った」

 

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このかわいらしさ。である。ただただ、かわいい。

まろみのある曲線と、かわいいといってもそこまでかわいさに振っていない感じ。アデリーペンギンのどこか記号っぽいツラ。無表情なのにかわいい。無表情なものが好きなのかとすら思う。これで10,000円と少しとかだったので安いものである。何かあるたびに足を運び何かを買ってしまいそうだ。

 

「配送は4月の上旬になります」とあらかじめいわれていたので首を長くしてまっていたら月曜日に到着。配送する前に電話を伊勢丹の方からいただけて気持ち的にも安心して迎えられたがこの厳重さ。

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「取扱注意」は見たことあるけど「美術品につき代用品なし 取扱注意」とはスリリングなものである。開けるこっちも改めて曲がりなりにも百貨店で絵を買ったのだと緊張した。「毎度ありがとうございます」のゴールドシールも眩しい。

 

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他にもその場で買って持って帰ってきた九谷焼の小さな皿など、どちらかというと大人向けのグッズが多い展覧会だったが、非常に楽しめた。ホクホクしたとはこういうことか。この愛らしさは本当に羨ましい。

私も靴の絵をなんとなく描いてはいるが、だからこそ近づこうとすればするほど触れられないことがわかる良さを感じる。

だから、絵を買ったのか。