Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

「紳士靴七話」の話

11月23日(木)開催の文学フリマ東京に向けて準備が進んでいる新作「紳士靴七話」のプレビューが始まります。

もちろん私が作ったものなので始まるも何も、って話なので正式には「始めます」が正しいと思う

 

私は今まで

 

 

  • 紳士靴四話
  • 紳士靴四十七話
  • 紳士靴九話
  • 紳士靴十八話
  • 紳士靴十一話

 

 

と幾つか靴のことを書いた本を出していて、最新作が「紳士靴七話」ということになる。話数は発行したものの新しい古いーー。つまり漫画の1巻2巻などのような表示ではなく「その本の中にどれだけ靴の話が載っているのか」を意味している。

なので、今回は7つの話が載っていることだ。

 

既刊をお持ちの方はご存知のとおりに私が持っている靴の絵と話を毎回載せているので今回も例に漏れずそうなっているのだけれども、例外のものが今回は3話(!)もある。それらを端的に一つ一つ触れていこうと思う。

 

1.「絵のないページ」

私の本は九話を境にしっかりと絵が載るようになったが、そうでないページが有っても良いのではと以前から少し書いていた。この形式のページはエッセイの要素が強く、靴の話というよりはそこから一歩引いた内容のものが多い。前作で言えば「ぽんぽこ仮面の靴」と題して書籍の中の挿絵に描かれている靴の話をした。今回もそういった様子の話が一話入っている。

 

2.「持っていない靴の話」

紳士靴四十七話はその特性上持っていない靴で占められていたが他のものは殆どが私が持っている靴が載っている。この話は「持っていなくても書きたい」そんな強く惹かれる物語が靴に込められているように感じるものを描くことが多い。今回は……どうだろうか。

 

3.「女性の靴の話」

これは2の範疇に入るものだと思うが、手に入れたところでどうにもならないものなので少し属性が違う。個人的に印象深い靴があったのでそれに関してのエピソードを書くことにした。

 

 それ以外の4つの話は私が持っている靴の話で、履いていてどうだとかこういうところがかっこいいとかそういう話が載っている。今回も一話一話が程よい長さで、たまに寄せられる感想のうちの中の

 

・カフェで読むのにちょうどよい

・電車の中で読むのにちょうどよい

 

といった日常のわずかな時間に楽しんでもらえるように心がけて作った。

極力、専門的な話は避け、書くにしてもわかりやすくを心がけているのでぜひ手にしてもらいたい。

今回のプレビューはここまでだけど最後に表紙を公開して終わることにしよう。

 

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書 名:紳士靴七話

サイズ:A5

ページ:38ページ

価 格:600円

 

サークル名:紳士靴四話

ブース位置 : オ-11 (Fホール(2F))
カテゴリ : ノンフィクション|エッセイ・随筆

 

c.bunfree.net

 

 

J.M.WESTON 180、半年

半年前にオーダーしたJ.M.WESTON180だが、今の気持ちはどうだろうか。

 

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絶妙な中間色の発色が美しい、砂漠の様なスエードのローファー。

J.M.WESTONは革の種類も多いので色々と悩むところだが一目惚れしたのはこの点だ。スエードのカラーバリエーションが多く、なおかつそれぞれ微妙にニュアンスがあって良い。これをどう活かすか、どの色を選ぶかで「砂漠感」を重視したわけだが結果的にどのシーズンでもこういった淡い色を入れたい日が出てくるので年中出番があるという状態になった。この辺の微妙な心の色模様を満たしてくれるようなものが靴にあるのは嬉しい。

 

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最初は部屋で試履きしようものなら15分くらいで音を上げ、数日間ならした後、強引に一日履こうとしたら夕方には頭に痛みが走るように。「とても痛い」

ただこれは本当に不思議だなと思うがどういうわけか馴染んでくる。痛みはなくなり、むしろ足が収まっている様子が独特で心地よい。ただ、カカトは抜ける。抜けると言っても無理に抜けるようなダラダラとした歩き方をすればという形で。

合う合わないもあるので一概には言えないが、楽に履けるってことは脱げやすいということでもあるだろう。これ以上、足長を縮めたら指は詰まりすぎるし足幅を狭めたら明らかに閉まっている。この辺は相性の問題もあるし難しいところだろう。

向こうだって「履くならこのサイズ」という感じもあるだろうし。

 

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あと、このローファーに関してははっきり言ってオーダーがよく映える靴だと思う。

甲の色を変えるなり、サドルの色を変えるなりのお決まりの方法を使って好きな色を2つ組み合わせるのも良いし、あるいは同じ色でも素材を変えてよりその色の魅力を引き出すのも良いことだろう。ステッチの微妙なスパイスを味わうのも良い。オレンジっぽい茶色と荒々しさのある麻紐のようなグレージュも私は気に入っている。

三色を上手くまとめられればより自分らしいものができるだろうが、あまりに尖りすぎると服を選ぶから出番が減ってしまいそうだ。

 

14万円と、頑張ってお金を稼ぐのはもちろんだが、そこからさらに頑張って「オーダーするぞ」と足を踏み出さなければ行けないので「気軽にオーダーしてみては」なんてことは言えないが、もう一足あっても良いのかななんて思う魅力はとてもある。鞄や時計、何気なく選ぶシャツなどの服の色やトーン。自分を見つめてお気に入りの一足を作るのは楽しいだろう。

 

私はこのローファーを自分の手持ちの靴の空いていた枠が収まるような感じがあってとても気に入っている。どの気分でもないときに履くとそこに漂う中間色を中間色とはっきり認識させる様子を見ていると「ああ、これこれ」と思う。

絵はどうしたらうまくなるのか

これはもう統一された答えのないものなのだと思う。

 

ただ「こうしたら、上手くなりました」という話がネット上を漂うし、あとは"かんたんにかけるコツ"みたいなのを取り入れてみて一瞬上手くなった気がする、たったそれだけというか。そんなことないんだけど。

その手の情報を見るだけだと上手くならなくて、実際にその通りに実行してみることとかが透明で高い壁のようにあるというか。その辺がまぁ、面倒なところだと思う。

やる気とか疲れとかそういうので壁ができるというか。

 

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昨夜に「あ、明日絵を描かないとな」と思ってとりあえず練習だけでもしておこうと一枚描いたんだけど20分位で描けてて、これは本当に驚いた。課題としていたスピードが突然解決された。

それでも後ろに付箋で「下方は太くしてどっしりさせる」とかなんか馬鹿みたいなこと描いてて笑えるでしょう。ちなみにそれ以外には「前に出ることろは太く」「重なるところは破線」「交差するところは太く」と書いたものが貼ってある。

馬鹿馬鹿しい。いちいちレベルが低い。

でも、本当にレベルが低いのかな。私はこうして絵を描いてるときに面白いなと思うのはこうして自分がわかるようにいちいち付箋を貼ったり「俺は基礎練習がバッチリ出来ている」と自信を持たせるためにやったものを壁に貼ったりしていることだ。これは本当に面白い。

 

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基礎練習は、正確な表現かは分からないが誰がやってもできるものだと思う。線を引いたり丸を描いたり。やるかやらないかは別として。そんな誰でもできるものを貼ってるのが面白いなと思う。

普通は、と言っても絵を描く人のデスク周りを見たことがないからわからないけど描く対象の資料とか、キレイな絵とかそういうのが並ぶと思うから。

誰でもできるものをやったこととか、わかったつもりでいざ制作に入ると忘れそうなものを貼ってる。「そんなにダメなのか自分は?」と思っちゃう。

でも、おそらく自分にはそういう「誰でもできるからやってもやらなくても同じ」とか「わかったつもり」なものを貼っておくのが良いのだ。

 

わからないものは勉強するしかない、あるいは誰かに教えてもらうか。

私はたまたま合う絵の本を見つけたし、本だって一度にマスターしようとしないでRPGで何度もダンジョンに潜って最終的にボスを倒すみたいな感覚を身につけられたのが良かった。心と身体が一致しないと良いパフォーマンスが生まれないことはメンタルトレーニングの本で事前に学んでたしって書けば書くほどやってきたことがチープになってる気がして笑える。

ただ上手くなったなと思うたびに「やったぜ」って思うし自分は天才だとかもともと才能があったんだとかそうやって調子乗って、気分の良いまま寝て、明日以降の自分に頑張ってもらうしかないし、それがまた練習とか勉強とかしながら何ヶ月か経つと「これで上手いとか言ってた俺なんなの。やっぱり才能ないっていうかまず、自分に甘いわ」ってなるし、その上手い下手が変わってく感じは「ああ、やってりゃうまくなるんだな」ってなんか見通しが立ってくるので、まぁこういうことが自信を深めることに繋がるんだろうなと思う。