Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

絵を描き続けることで〜デッサンの55の秘訣〜

絵を描いて描いて描いて得るものはなんだろうか。

前よりも上手く、早く描ける様になった絵。意欲的に時間を描けて大作に取り組める技術と探究心と意志の力。きっと色々あるだろう。

私は昨日の夜「好きなデザイナーが辿った道筋を同じように辿れる可能性がある」というとても喜ばしいことに気がつけた。

それがどれだけ嬉しいかというと絵が下手な中で練習していて良かったし、このタイミングで始めたことをラッキーだなと思えるほどだ(それまでは小さい頃に無意識にこういう基礎を積み重ねられてれば楽だったのに。と思っていた)。

 

troxlerart.ch

 

私は何度か、Niklaus Troxlerというスイス人のグラフィックデザイナーにこのブログで触れている。それは好きだからだ。

知性を感じさせるシンプルで明確なそしてユーモアや想像力を掻き立てるグラフィックはもう10年近く好きで、今でも何か物を作るときの評価基準に

 

「それはニクラウス的か?」

 

とか

 

「トロホラー感はあるのか?」

 

と自分に問いかけるほどだ。

なので私が描く絵のゴールはもちろん「niklaus troxler的な何か」になっている。

 

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troxlerart.chより引用

 この精密ながらも洗練された様子の美しさはなんということだろう。

10年前でも、今でも同じように美しく思う。ある時期はこういった楽器と何かを混ぜる作品が多く、この頃に纏っている雰囲気が好きで最高だなと思っているので続けてもう一つ引用させていただきたい。

 

 

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troxlerart.chより引用

 

なんて見事なビジュアルだろう。絵の良さだけじゃない。

「River」だから魚がサックスの中から飛び出している。

演奏者はきっと体と楽器を水に浸しながら川を渡ったに違いない。そんな想像がこの一枚に含まれることにクスリとする。

この時期のものが好きは好きだが、作風は変わり続け、表現したいものが変わっている。

 

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troxlerart.chより引用

 

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troxlerart.chより引用

 

 

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troxlerart.chより引用

 最後のこれは2017年のものだが現在に近づくに連れて徐々に音のようなものを表現しようとしている気がする。楽器ではなくその場で奏でられるであろう「音」を。そして今は彼は奏でられる音だけでなく楽器がメカニカルに動く操作音もポスターに表現しようとしているように思える。

このポスターは楽器のメカとしての面白さをリズミカルな色分けで表現しているのがすごい。CMYKをそれぞれ100%で4色でやってる点は若い頃に得た最低限の表現で形にする完成が研ぎ澄まれていて見ていてキツくすらなってくる。すごすぎる。

 

溢れ出るNiklaus Troxler愛で随分話が長くなったが私は今、彼と同じような経験ができているかもしれない!と嬉しいのだ。

 

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シンプルになるべく忠実にカチッと描く。

 

 

 

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見えるものにもっと、興味関心を持って描いてみる

 

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見えるものが描けないことを恐れずに危険水域に突っ込んでみる。

突然「こう行ってみてはどうか?」と線の引き方が見えてきて恐る恐る進める。

 

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とりあえず危ういまま攻めて見る。

 

「靴が描きたいんじゃない、新品の靴ならではの紐の慣れていない感じとか羽根の閉じきっていない様子、突然見えるパキッとした光沢が描きたい」

 

これを描いているときはそういう気持ちだった。

このスリルのある賭け、没頭しながらも自分を確かにコントロールする場面も必要になってくる作業は非常に面白い。油断して「やってしまった!」ということすらも面白い。上の絵は描き終わったあとに壁面の板の連なりを手癖で描いて、この絵の魅力をひどく下げてしまった。

 

このエキサイティングなひとときは自らの寿命と引き換えに周囲の人間の寿命が見えるような「目の変化」が巻き起こす。なぜかある日そう見える。面白いとしか言いようがない。そしてそうなる頃には「行けんじゃね?」と手はある程度の準備はできているようで、心はもう決まってしまう。

 

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そういった体験をされてみたい方は「デッサンの55の秘訣」の画家の筆跡の章は非常にオススメだ。

理由は簡単で私はその章を見て模写の課題を一回終えた後に靴の絵を描こうと思ったら目が見る靴は課題を行う前と違っていたからだ。

 

今、私は彼を追うことができていると思えている。絵を描いていてこんなことになるとは思いもしなかった。

 

 

デッサンの55の秘訣

デッサンの55の秘訣

 

 

 

先週の記事です。

re-11colors.hatenablog.com

 

こちらは「ペンで描く」の記事です。

re-11colors.hatenablog.com

 

 

絵はいつ、どううまくなるのか〜デッサンの55の秘訣〜

絵はいつうまくなるのだろう。

と思うとまぁよくわからない。

せいぜい「気づく」とか「ああ、そうか」とかでその上、答えを知れば簡単なことだったりして少し自分の能力を疑うようなこともある。

あとはなんだろうな……自分は絵を描くことで仕事の進行が上手くなったりとかそういうことがあるからどうしてもそう考えるんだけど「問題と向き合う力」は確実に付く。

描けないところをごまかすとロクなことにならない(絵が結局完成しない)のと、あとはこれは「描けない」状態を

 

・そもそも見れていないのか

・見えているが描けないのか

 

で少し違うことだが後者の場合は「わかっているけど逃げている」なんて状態でもあってこれはこれで絵が上達しないので結局、下手な絵と向き合うことにならざるをえないのでそういった形で問題と向き合って解決に向かおうとする力がつくと思う。

 

問題の種明かしは誰がしてくれるのか。誰もしてくれないのか、ある日突然自分の隠れた才能が開花していきなり絵が上手くなるのかもしれないし、黙々と絵を描いているといつかわかるのかもしれない。

 

 

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デッサンの55の秘訣はそういった意味では「種明かしをしてくれる本」かなと思う。私は、言葉によって理解を得るタイプなのでこの本は相性が良さそうだ。

課題はまだ一つもやっていなく、一章しか読んでいないが私の抱える深刻な問題を解決してくれたことがそう思わせている。

 

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私の靴の絵はよく丁寧だとか、愛を感じると言われはするが自分としては面白みのない絵だなと思うときがある。線だって静かだし、全体にメリハリもない。太い細いもまるでIllustratorで線ごとにポイント数を指定するかのような味気のなさ。

味気がないことは悪いことではないが、それしかできないことに問題がある。定番の洋服しか着られないから「まずはビビッドな靴下を取り入れましょう」なんて雑誌で言われてしまうのだ。

 

この味気ない状態からいつ抜け出せるのかと思っていたところで「デッサンの55の秘訣」であるマール社、優しい。ありがとう。

 「一章のすべてがなんとなく血肉になっている」なんて話をしても意味が無い気がするので個人的に気に入っているところを上げる。

「実践的対話VS批判的対話」「線の言語(角度・形・トーン・大きさ)」「焦点化」

これは一章を読み終えて靴の絵を描いたときに頭に浮かんだものだ。

特に焦点化は「自分に必要だった何か」だったのだろう。

 

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一つ前の絵よりも時間を描けていないせいもあるし、まさかよく描けるとは思ってなかったので粗が目立つが、それにしても随分と味わいが生まれた絵だと思う。

「焦点化が特に印象的だ」という話をしたが左足レースステイが紐で引っ張られて歪んでいるのがこの靴の良さを端的に表している気がしたので興味深く描いた。肉厚だが柔らかな、オイルドレザーの風合いが伝われば嬉しい。

あとは描く上で課題の正面を向いたつま先をしっかり描いてみようと意識したのでそこも集中した。

その辺が決まってくると全体のプロポーションも「きゅっと絞って見える」とか実践的対話がよく生まれるので完成までは早かった。

 

本当にちょっとしたことであるかのようにいろいろなことを言語化して教えてくれる本で非常に読みやすい。ただ、他の本もそうだけど基本的には「練習しろよ」というのは変わらない。マール社の本、良い先生みたいなものが多い気がする。

 

 

デッサンの55の秘訣

デッサンの55の秘訣

 

 

 

こちらはペンで描くの記事です。

 

re-11colors.hatenablog.com

Get the gloveall。イギリスから日本に。

gloverallのダッフルコートを本国の通販サイトから買ってみた。

私は、昨年百貨店でセールになっているそれをみすみす見逃すというミスを犯し、そしてそれからは御存知の通りの一報があり

 

「あーこれは高くなるのかどうなるのか変なものが出てくるのかどうだろうなぁ。いずれにしてもあのとき買わなかったのは大きな失敗であった」

 

とその失敗をさらに悔やむ状態になっていた。

そして年が明けて面白い話が入ってきた。

 

「本国の通販サイトでセールやってるよ」

 

魅力的な話だ。一通り注文方法を聞いて関税は受け取り時に払うことなどを知り、試しに買ってみるかというわけでチャレンジ。

 

www.gloverall.com

 

ちなみに今は50%OFFのいわゆるモアセール中。

買い方は別に特別なことはない。

欲しい商品を選んで、サイズと色を決めてAdd to basket.

その後は下にポップアップが出るのでProceed to secure check out.

アカウントを作ることになるので住所を入力「Street Address 2」とかわかりそうでわからないワードは検索しながら入れていけば問題なし。

 

その後はアカウント登録時のメールアドレスに「発注受け付けたよー」 とか「DHLです!あなたの荷物の注文番号は…」とかメールが来るのでその番号をサイトに入力して追跡して楽しむのも良い。

 

あと、この辺は記憶が曖昧なんだけどDHLは配達の一番遅い時間が結構早い18:00とかだったかな。それで何日か受け取れないと佐川に委託してそこからは佐川の時間指定が利くような形になる(DHLの再配達希望日も翌日ではなく数日後を指定すると急に遅い時間が指定できるようになる)。一人暮らしの場合は別として誰か同居人に受け取ってもらうのが良い。私は一人暮らしなので佐川に委託されたあと一番遅い時間に指定して受取った。

 

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写真の通りで色はグリーン。ローデンという色名で裏側のチェック柄が良い。袖裏は私のはキュプラの裏地がついていたがそうでないものもあるのでその辺は正直わからない。モデル名と英語で何か書いてあるのを読むのかどうかの話だろう。

他にもローデンのものはあり、それが売り切れていたのでこれにしたというまでの話だったのでこの場合は裏地がどうとかは私にはどうでも良い話。

 

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丈はミドル丈にした。

「やっぱりダッフルコートって良いな!」

と思ったダッフルコートと同じ丈の長さのものと同じにしたため。

 

「少し袖が長いかな」と思う一方で「でも寒さ凌ぐにはこの長さだよな」という2つの気持ちを着ていて抱くのが面白い。結論は後者で、暖かさがこの冬にはありがたい。

 

いつまでやってるかわからない50%off。

頼んでみても良いかもね。

 

Mens Duffle Coats | Original Monty | British Quality | Gloverall

 

それで何年か後に「いやー昔ね、商社挟む前にさ、イギリスから慌てて『これが最後!送ってもらえなくなっちゃうし高くなっちゃうし!』なんてやったんだよ英語なんてわからないのにさー」なんて話のネタにするのも悪くないんじゃないかな。