Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

Revell 1/24 ベントレーブロワー の「なんとかなる」感

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日本の靴とか、デニムとか、まぁなんていうんですかね。

「日本のもの」ってかなりよく出来ているんですよね。時計もそうか。

 

ただ、私の場合は靴がそうなんですけど「よく出来ている」だけでは勝てない魅力ってのが海外のものにありまして。友人も「どんなに日本のものが良くても、優れていたとしてもやはり海外のものに惹かれてしまう」という話をしていました。

 

実際のところ、靴を国別に特性分けするのって、できそうでできないのでこの話はざっくりいってしまうと「好み」に尽きるんですけど。

 

wivern.exblog.jp

 

実はこの記事を呼んでからずーっとベントレーのブロワーは気になって気になって仕方がなかった。一目惚れだろう。ただ、惚れた日に関してはおよそ1年半前のことだ。

記事に目を通してキットの詳細を知ると「海外製」のプラモデルだということに気づいた。それで「ああ、これは俺には上手く作れないな」と思ったのが当時。

でも今は「カテゴリ:模型」を作るほどにはプラモデルを作った。

そしてプラモデルには、靴と似たような何かがあるのではと好奇心が湧いてしまったので買いました。

 

まず、箱がキャラメル箱なことに驚く。そして説明書にはもちろん日本語表記はない。

うわっ……と一瞬思うもののプラモデルを作るときは日本語を読む場面があんまりないことに気づいて、言葉の壁は存在しないと思うことにした。

 

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買う前に「古いキットなので歯ごたえありますよ」と事前情報を頂いてたけども、案の定、歯ごたえバキバキのゴリゴリでした。

 

パーツが合いそうで合わない。ダボとダボ穴を能動的に合わせにいくと、今度は少しずれる……。基本的には「全体のバランスを見て作ってくれ」というようなスタンスです。なので、水平垂直に関してもこちらから能動的に仕掛けに行く必要があります。

 

re-11colors.hatenablog.com

 

このときの経験が生きるかと思いきや……生きません。

なぜならなにせ昔のキット。パーツの接着に関しても安定した角度で保持するのが難しい。フェンダーとフロントライトは特に難所。

 

ただですね「水平垂直を能動的に取りに行く」と考えて作ろうとすると不思議なものです。フェンダーティッシュをタイヤとの間に挟んで角度を保持したりしだすんですよね。試合中に強くなるっていうやつです。

 

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エンジンオープン状態をどうしても再現したくて、カッターで切って開いた状態で接着するのにも保持するために消しゴムを具合の良い角度に切って使ったりしていました。

 

そして、この「エンジンオープン状態を作ろう!」という強烈な意思のもとに作成を進めるので、いざその場面に近づくとそのことばっかり頭の中で考えていたんですけど、そのときに

 

「あー俺はこのベントレーのブロワーに関しては『猛烈にこの形を再現したい』という強い精神力が働いてるんだなぁ」

 

なんて思ったりしてました。だって、タミヤの新し目のキットと組むときの感じがぜんぜん違う。一個一個を確実に組み合わせていけば良いと思ったらそうじゃないこともある。全体を俯瞰して、先を読んで、というか文字通り説明書の先の項目も読んで

 

「あー、ここがこうなるからここはこんな感じかー」

 

と把握する過程がありました。途中からはもう本当に将棋の大局観そのものです。

タミヤのそれとは当たり前だけど全然違う。そして、うまくいかないところで大局観不足を感じて次は確実にうまくなるという感覚を得る。

 

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ただ、最終的には

 

「な?なんとかなっただろ?」

 

と言わんばかりの姿。なんとかなってない所はなんとかなっていないし、もっと良い順番で組めそうな気がするんだけど。

 

そういう「なんとかなってないけどなんとかなっている感じ」に関しては、あるよな。と思います。それでいて、そういうものは大体かっこいいから困る。

ワークブーツで革に血筋バリバリ入ってるのにかっこいいとかそういう感じ。

これはもうね、ズルいですよね。

致命的な不具合ではないものはほとんど味方になってしまう。

 

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正面で見るとガッタガタの部分が合ったりするのも、なんかいいんすよね。

カッコいいっていいことですね。

 

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レッドウイングのマグカップは模型と飾ると抜群にかっこいいので最寄りの直営店で、買いましょう。

 

ドイツレベル 1/24 ベントレー Blower プラモデル

ドイツレベル 1/24 ベントレー Blower プラモデル

 

 





 

チャッカブーツ9852

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戌年の頃に犬のタグのある靴を」が目標でしたが、すっかり年を跨ぎました。

結果的に「こういうのないかなー」と思っていたものが手に入ったので今年も幸運です。

 

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チャッカブーツは羽根が生み出すV字と爪先の緊張感がポイントです。

8番ラスト、1940年代に作られたとかいうレガシーですが、実際この形状はもっと無骨とかそういう観点ではなく語られてもいいと思う。

 

これが思ったよりも良いものだったので友達と「これなんでこんなに良いんだろうね」と話していると「現代風とか、そんなことも考えてないのに、なんすかね」という結論に至りました。なんででしょうね。

良いチャッカブーツの条件というか、これはもう革靴全般でしっかりと考えないといけない話でもあるんですけど、実際のところ革靴がどんなに革靴として良かろうと、履かないとマジで意味がなかったりして、俺はその辺を割と注視してしまう。

 

 

いい靴でもなんとなく出番がない靴って結果的にそこなんですよね。足を入れたいと思うかどうか。履くときにストレスを感じないか。履けばストレスが無いのはわかってるんですよ。いい靴だから。最初はそれに酔ってて、靴を履くことに儀式的なアレを感じたりとかするんですけど、結局そういうのっていつかはなくなってしまうという。

 

例えばなんですけど、ラッセモカシンのスポーティングクレイチャッカって異常に履きやすくて、そればっか履きたくなる。結構型崩れするし、うっかりすると左右で全然出来が違うとかそういうのもあったりするけどそればっかり履きたくなる。

 

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そこなんですよねー。って話をしてもあんまり意味はないし逸れに逸れるので話を戻しますが、このチャッカブーツはそういう「履き良さ」がめっちゃある。

あと、ベックマンにたまに感じる「これ、かかと低くね?」という感覚がこの靴にはないのは多分一体型のソールだからな気がします。ベックマン、かかとが少し低く感じるんだよな。高さはこのチャッカ(というか8番ラストで一体型のソールのモデル)と同じなんだけど(理由は何となく分かるけど秘密です。2つ履き比べるとよくわかる)。

 

よく若い頃にいい靴を買っておけみたいな話が出るけど、俺だったら若いうちにここの靴を買ってガッシガシ履いて修理に出してみたり、お手入れしまくってみたりして、それでもなお良さを醸し出し続ける姿に感動するかどうかとか、そもそもお手入れが習慣づくかどうかってのを試すために買っておけって勧める。

 

お手入れしなくても結構持つし、ここの靴はマニアックに見さえしなければ、丈夫さという観点ではずっと変わらないし、若いうちに買ってこれがぶっ壊れる頃には普通に新しいの買える年齢にもなってたりするし。

 

まぁ、なんていうかそういう話って今はないし、こういう話をしても「考えさせられる」とかいう人が多いんだよな。

 

 

 

 

いい大人が買うには高くないので、気になるのであれば買って自分の気持ちの動きを見てみると面白いです。とりあえず、若いうちに買って一緒に年をとった方が良い靴です。

俺達はエンジンと生きている

昔、鯨の肉の缶詰を食べたときに「ああ、これは哺乳類が海で暮らした感じの食感がするな」と思ったことがあります。

 

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この「PLAMAX MF-21 minimum factory みのり with ホンダ耕耘機F90」はいざ組み上げるとどこかそんな感じがするキットでした。

 

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メインのボディのパーツ分割は、なんか飛行機っぽい。

縦にスッと長いものを貼り合わせる。

 

「絶対に失敗して欲しくない」

というパーツ設計のゴツいタイヤは、軍用車両のタイヤをもっと強くはっきりと自覚させる組み味。

 

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ランダムな刃は、毎週連載を楽しみにしていた河合克敏モンキーターンのボートのプロペラっぽい。

 

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部分的にバイクっぽいデザインと解釈されたりするので、それもきっと俺がバイクのプラモデルを作ればわかることなのかもしれない。

 

この耕耘機は、なんかそういうことを作ってる間にずっと感じる存在だった。

知ってる形のようで、知らない形のものを組み合わせる作業は脳が良い意味で混乱する。めちゃくちゃ考えてしまう。

 

「これなんか飛行機っぽいな、いや車両?ん?なんだこれは(いや耕耘機なんだけど)」

 

飛行機みたいなパーツに車の車体の裏側によく付く細長いパーツのようなものがくっついたりする。しかも長いパーツはハンドルが付いている。

そんな悩みと真っ向から勝負して正体を見破ろうとしていると

 

「これは翼の代わりにくっついているもので、このハンドルでこのエンジンを、操る、制御するものなんだな」

 

こんなことがわかった。

この辺が鯨の肉の正体。飛行機が陸上で使われるなら、どうだろう。みたいな。もちろん翼がなくなって、車輪が大きくなって車になるんだけどね。当たり前なんだけど「あー」ってなるときあるでしょ。あれに近い。

 

これがバイク的解釈だと話が変わってきそうだけど、俺はF90に関しては縦に割ったパーツ分割から飛行機を作る体験が呼び起こされているわけで、バイクを作っているとバイクと車の間みたいな感じがするかもしれない。

 

俺は、このキットを作ったときに左右の車輪をボディにつけるピンが違っている点や、なんかうまいこと行く組み味についてもっと書こうとか、4色印刷で独自ルールで作られた記号ではなく誰でもわかる「!」マークで注意を促すアテンションだとか、デカールが同じものを複数枚用意されている点とか、みのりちゃんは「プラモを作る腕とフィギュアを作る腕が違う点をプラモ的な色分けで埋める画期的な存在だとか」そういう「良いキットだなー」という話をしたいなと思っていたけど、それよりも今まで書いた妙な組み味についてのほうが頭に残っちゃってたみたいで、頭の中でそれを思い出しながら

 

「あの体験は何だったんだろう」

「俺にとってこれはなんのためだったんだろう」

「こう思った感覚の正体はなんだ」

 

とか風呂に入ってずーっと考えたら、

 

「あー俺たちはこうやってエンジンだとか機械に囲まれて生きてきたんだな」

 

っていう気持ちがすっごい強くなった。

そして、俺はこのキットでこれを知れたんだって。

 

エンジンを生で見たことはないけど、大きなエネルギーが生み出す力をそれが必要なところへ作用させる、そしてそれを人が制御するためにプロペラだとか翼だとか、車輪だとかハンドルだとかそういう色々なものがあるんだなってのを、強烈に認識した。

 

「そら飛行機っぽくてバイクっぽくてボートのプロペラっぽいよな。だってどれもエンジンで動いてるんだもんよ」

 

でっかいエンジンに、ゴツい車輪、不規則に配置されながらも横から眺めるとキレイに配置されている刃。そして、それを操るためのフレームやハンドル、ブレーキ。

それを作る、動かす、眺める。そして、感動する。

 

手がつけられない暴れ馬を制御する、巨大な力を人が利用するような、そんな感じがでるのはこのモンスターマシン的なルックスだからだと思う。

 

あとは農業って身体的な距離は遠いけど、いつも食べてるご飯に関わるという点では近いものに携わるマシンだからか。俺はそのせいでそういう「エンジンに囲まれて生きている」ことに敏感になった理由なのかも知れない。

 

生の、強いエンジンが持つ強さと、それを役立てよう、制御しよう。というエンジンを使う根本的な理由みたいなものこの耕耘機には詰まっている。

 

 

 

 

 

こっちもいいよ。

 

amzn.asia

 

こちら、私のほしいものリストです。