Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

良い色の飛行機を

色を集めるっつー手段がありまして、この辺はあんまり模型誌では語られないような気もしますが、一つ明確な手段で木を一本ズドンと植えるような楽しさがあります。

 

簡単に言えば日頃、目にする色に関心を持ちましょうって話なんですが、例えば消防車と郵便の小さいワゴンが偶然にも2つ通り過ぎると2つの異なる赤があることに気づくんですよね。前者が黄色っぽい赤だとすると後者は青っぽい赤だったりします。

そんな風に見てみるとタミヤアクリルの特に艶アリの色って絶妙なストライクゾーンっていうか最大公約数の色をしてるんですよね。誰が見ても「赤」「黄色」みたいな。それをさっきの二台の赤い車の話みたいに少し微調整するだけで、もっと焦点が絞られます。

 

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そんな感じで飛行機を水色に塗りました。

少しだけ黄色と白を足して。

 

飛行機は「エアレーサー風」とかやろうとすると、その風味を決定づける翼全面に渡るデカいロゴみたいなのがなかなか用意出来なくて、リボンのついてないキティちゃんみたいになるような気がしてるんですが、その辺を一切無視してぶっちぎるやり方として「色にめっちゃこだわる」ってやり方がありだと思うんですよね。そうすると目的と手段がクルッと入れ替わって「良い色の飛行機を作る」みたいな感じになります。

 

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ここまで来ると初めてタミヤウォーバードなんかに代表される1/72の飛行機のもつ小ささの割にデカ目な平面としての翼が塗った色をばっちり見せてくれるステージになったりします。ムラなく塗るのが比較的簡単でキラッと光る、素晴らしいカラーチップ。これが、カーモデルだとなかなかこうはうまく塗れなかったりして。

 

で、出来上がるとなんだか良さげな色の塊が生まれます。飛行機を飼うなんて創作話を見かけましたが、まさにその通りでジャングルとかにいる発色の良い鳥みたいな感じですね。

 

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プロペラなんかは筆でスッとひと撫ですれば良いですし、先端部分もそうですね。この辺でアクセントをつけるのが吉です。明度差、色相差をつけて楽しくしましょう。

僕はエンジンカウルに相当する部分が別パーツだったりするとそこもメインの色との対比が面白そうな色で塗ってパキッと境界線を生かして仕上げて、パーツ分割の面白さを目で見て思い出せるようにします。

 

良い色の飛行機、作りましょう。

 

 

赤い飛行機、Color variation

赤い飛行機を見ていいなと思った。

 

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これは、作った人の心が伝わったのだろうなって感じがした。飛行機は他の色に塗るのが難しい。整合性がなかなか取れないと思っているのだけど、そんなことはどうでも良くなった。

 

今まで「好きな色で塗る」ということに関して少しロジカルなボールをぶつけてて、だからこそ「気軽に」とか「思った通りに」ってほんとにバカだなって思うときもあったんだけど、それは作った人間がそういう事を言ってしまった瞬間に、その模型が「そういう存在」になってしまうらしいということが今回よくわかった。

 

模型は確かに、今の自分がそうだけど上手くなると一気に上手くなって、それはもう自分でわかるくらいに上手くなる。タミヤウォーバードを右往左往しながら作ってた俺はもういないし、週末に完成させたいと気を急いで思わぬトラブルに巻き込まれる俺も随分と姿を現す機会は減った。だから、今はフォッケウルフはまさに「気軽に」作っている。

 

「ああ、気軽に作れてしまうな」

 

そんな風に思いながら進めているけど、だからといって各手順を撫でるように作ったわけでもなく、色の調合なんかは特に気にしてやったし、筆塗りによる塗装も言葉にしにくい具合を見ながら、そしてチャレンジしながら行った。塗装はやはり第1層を剥がさぬように塗ることに「筆の当て方、力、塗料と溶剤の量」が関わることがよくわかる、良い時間だった。あとは塗膜の形成を目で確認しながら塗るのも楽しかった。

 

きっと何にでも言えることだが、上達することと心に余裕が生まれることはほとんど同義でだからこそ見える世界が少し変わる。必死に山を登っていたのが、ふと落ちている石や草木に関心が湧き、鳥の鳴き声の違いなどを楽しむようになるように、模型も上手くなると見える景色が少し変わる。

 

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俺が、模型をどうこういうとしたら「興味があるならまずは気に入ったのを作ってみようよ」くらいしか言えないような気がする。

山や海へ誘うにはそれだけで十分な気もするが。

 

 

 

 

兵士を作ろう

作業に対して得られるリターンみたいなのが、模型にもあって、それがあるからキットの好みやどのジャンルのものを作るのが楽しいみたいなのがあるようです。

 

私の場合、最近本当に思うのは「飛行機は早く形になる上にデカいから楽しい」というもので、反対に戦車は、履帯とか転輪とか大きさとか全体のフォルム作りにそこまで寄与しない作業が多い印象を持っているので少し疎遠です。密度を出す遊びをしたいときは作ると思います。

 

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で、今回のタイトルの「兵士」ですが、これがまた絶妙ですね。早くて、美味い。大きさも手頃。寿司かおにぎりかって可能性が出てきます。

 

本当に謎の分割方法でパーツに分けられているんですが、これが却って模型におけるパーツ分割の考え方がよくわかります。わからなくても、いずれわかります。

 

実物通りではなく、出来上がりが魅力的に写る、かつストレスのない分割を行なっている様子。あと、人形じゃないんですよね。ボディがあって服を着せるわけではない。多分ですが、人形というよりは像に近いです。いずれ大仏で驚異のパーツ分割の模型が出ることを願います。

 

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本当にパキパキパキーって数パーツで人の形ができて、後はヘルメットかぶせたり荷物を背負わせて、手に何かを持たせたりしてどんどん進めます。

このときに訳の分からない分割を食らった兵士が形になる右脳的イリュージョンと、形になったものをそれらしいアイテムでデコレーションする左脳的なアレが順番に行われるので面白いというわけです。

 

あとはまぁ、本当は色なんか塗れるともっと楽しいのでしょうが、気にせず飾ります。特にタミヤの2000年以降くらいのものは躍動感や造形力が高いので、色を塗らなくても問題ないし塗らないことで色んなものと相性が増します。

 

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ちなみに、海外では漫画はカラーが当たり前ですが、日本はモノクロでそれが向こうからすると奇妙に見えるそうですが、モノクロを自然に補完する、情感豊かに感じる心が私たちにはあるといいうことにしましょう。枯山水とか庭の石とかね。そういうのと結構似てると思うんですよ。なので

 

「模型作ろう!」

 

と思うと思わず色塗らないとなって思ったりしますが、そんなの気にしないでまずは自分にもそういう楽しむ心があると思って、切って貼ってみると良いと思います。私も1年くらい狂ったように模型作ってて最近上手くなりましたが、それにしても「箱の絵の様に作ろう!」と思うと途端に作れるキットが無くなりますからね。好きに作ろうと思うといくらでも欲しいものが増えていくので、好きに作ろうって最初のうちに思えると良いかなって思います。塗らなくてもいいとか、そういうのを自分で決める迷いのなさってやつですね。未完成のものですら「サモトラケのニケ」と言ってしまえばまさにそうなんで。

 

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慣れると切って貼るだけなら数十分もしないで作れます。その時間の割に出来上がったものでちょこちょこ遊んだり何かと写真撮ったりするのがかなり楽しいです。