作業に対して得られるリターンみたいなのが、模型にもあって、それがあるからキットの好みやどのジャンルのものを作るのが楽しいみたいなのがあるようです。
私の場合、最近本当に思うのは「飛行機は早く形になる上にデカいから楽しい」というもので、反対に戦車は、履帯とか転輪とか大きさとか全体のフォルム作りにそこまで寄与しない作業が多い印象を持っているので少し疎遠です。密度を出す遊びをしたいときは作ると思います。
で、今回のタイトルの「兵士」ですが、これがまた絶妙ですね。早くて、美味い。大きさも手頃。寿司かおにぎりかって可能性が出てきます。
本当に謎の分割方法でパーツに分けられているんですが、これが却って模型におけるパーツ分割の考え方がよくわかります。わからなくても、いずれわかります。
実物通りではなく、出来上がりが魅力的に写る、かつストレスのない分割を行なっている様子。あと、人形じゃないんですよね。ボディがあって服を着せるわけではない。多分ですが、人形というよりは像に近いです。いずれ大仏で驚異のパーツ分割の模型が出ることを願います。
本当にパキパキパキーって数パーツで人の形ができて、後はヘルメットかぶせたり荷物を背負わせて、手に何かを持たせたりしてどんどん進めます。
このときに訳の分からない分割を食らった兵士が形になる右脳的イリュージョンと、形になったものをそれらしいアイテムでデコレーションする左脳的なアレが順番に行われるので面白いというわけです。
あとはまぁ、本当は色なんか塗れるともっと楽しいのでしょうが、気にせず飾ります。特にタミヤの2000年以降くらいのものは躍動感や造形力が高いので、色を塗らなくても問題ないし塗らないことで色んなものと相性が増します。
ちなみに、海外では漫画はカラーが当たり前ですが、日本はモノクロでそれが向こうからすると奇妙に見えるそうですが、モノクロを自然に補完する、情感豊かに感じる心が私たちにはあるといいうことにしましょう。枯山水とか庭の石とかね。そういうのと結構似てると思うんですよ。なので
「模型作ろう!」
と思うと思わず色塗らないとなって思ったりしますが、そんなの気にしないでまずは自分にもそういう楽しむ心があると思って、切って貼ってみると良いと思います。私も1年くらい狂ったように模型作ってて最近上手くなりましたが、それにしても「箱の絵の様に作ろう!」と思うと途端に作れるキットが無くなりますからね。好きに作ろうと思うといくらでも欲しいものが増えていくので、好きに作ろうって最初のうちに思えると良いかなって思います。塗らなくてもいいとか、そういうのを自分で決める迷いのなさってやつですね。未完成のものですら「サモトラケのニケ」と言ってしまえばまさにそうなんで。
慣れると切って貼るだけなら数十分もしないで作れます。その時間の割に出来上がったものでちょこちょこ遊んだり何かと写真撮ったりするのがかなり楽しいです。