Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

プラモの飾り方

プラモのある生活という記事を書いたが、それを実現するためには飾り方が大事な気がしている。

 

re-11colors.hatenablog.com

 

この言葉自体がものすごく抽象的なものではあるが、私の場合はちょっと目をやるとプラモがあるとか、暇なときに少し飾り方を変えてみるとかそういう楽しみが得られるような状態を指している。

 

そういう楽しみ方について検索してみたところ、すぐには出てこなかったのでせっかくなのでまとめてみることにする。あまり役に立つ層が見えないが、私のように数点の気に入ったものをその時々に、並べるだとか、そういうことが好きな人間もいるだろう。

 

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まず、ベタ置き。

これは一番楽な飾り方で、これだけで正直なところ済んでしまう部分すらある。

ただ、これの効能について考えることはなかなかないだろう。

ベタ置きの良いところは世界が広がっていることだ。これは他の飾り方をいろいろと試すとより分かることだが、とにかく境界がない。生活とプラモがぺたっとくっついていて、無限に広がる世界をプラモが専有することになる。私もかなり好きな飾り方だ。プラモに対して自分が思っているよりも広い面積を取ってやるといいだろう。水槽にアロワナのような大きな魚を一匹泳がす感じとでも言おうか。

 

 

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次は何か飾り台に置くという飾り方。

 

これは手間をかけるという点では一番思いつきやすく、プラモを良く見せるためには重要な飾り方だと思う。

注目すべきは飾り台の高さや素材で、木材はもちろん、石を模した発泡スチロールなどもあるし探せば様々なものが出てくるので「手をかけやすい」飾り方に感じられる。

 

私がここでおすすめするのは、そういった専用の飾り台を用意するのではなく「家にある何か」であったり「おおよそ台に使われないであろうもの」を台として使おうとすることだ。

要は、ある程度高さがあって飾りたいものが乗ればそれは台と見做そうという話だ。

私は皿であったり、革靴の踵の詰み革を適当に使っているが、陶器のツルンとした光沢はどこか水面を思わせるし詰み革はザラザラとしていて荒々しい。

ガラスの皿などもなんとなく使って見せても良い気がするが、どうだろうか。

 

この飾り方の特徴は、陶器の光沢に水面を見出すように、台が持つ素材感を情景の一つに見立てることができることだと思う。

また、高さが出れば出るほど周囲との境界がはっきりしてくるので注意が必要だ。

 

「独立した作品」

 

としての強さを持たせたいのであれば気にしないで良いが、その重厚感が却って日常と非日常を切り離してしまうこともあるのは良く見ておきたい。「なんとなく動かしにくいんだよな」と思うのであればそれは切り離されすぎているかもしれない。

境界が生まれる分、「切り分け」ができるので複数のプラモを混ぜて飾る場合にも効果的。

 

 

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最後は布を敷くというやり方。

 

これはもう適当に布を敷いてしまえば世界観がガラッと変わるのが、不思議なのでもしかするとハマってしまう方がいるかも知れない。イギリスにまつわるプラモであれば、イギリスの伝統的なチェック柄を調べてそれに近いハンカチなどを買うのもよし、そんなのお構いなしに、プラモの雰囲気や色に合わせてmarimekkoなどの有名所の、キレイな生地を買って見るのもよし、まぁ多種多様だ。

 

直接的に人の目に訴えかける魔法が容易に使えるのが魅力なのと、高さを出さずに境界を生み出すことができる点や、広さをある程度調整できる点が魅力。

どこか、飾るスペースが仮にあるようだったら、私がクマのぬいぐるみとロードスターを飾ったように、布の国の中にいくつかのプラモやそれに合うものを置いてみると布が世界を一つにまとめていることがよく分かると思う。

 

こういった飾り方は、なんとも取り上げられにくいというか、カテゴライズしにくいものだと思う。結局は「部屋にどう合わせることができるか」という点と「プラモに囲まれた生活」にならないように気をつけることに尽きるのだけど。

 

www.sousou.co.jp

我が家のテーブルクロス。

 

www.marimekko.jp

有名所。

 

old-fashioned.jp

小さめのものならハンカチで十分

 

www.brooksbrothers.co.jp

 

ハンカチはまぁ、いろいろあるので、良い感じのを買いましょう。

農耕機のキーリングとかいうかわいい存在

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農耕機ってなんすかね。昔のものは特に可愛く見える。不思議だ。

可愛いものはかなり好きなのですが、もろトラクターみたいなプラモデルはあんまりなくてその辺は、今後の展開に期待しましょう。海外製のものを手に入れてみてもいいかな。なんて。

 

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機能に従順なフォルムと、走った跡を想像するとどこに置いてもそれなりにフィットする姿も頼もしい。荒々しい質感のものの上に置けばその力を存分に発揮した現役時代。キレイなところに置けばコレクション。フレーバーはあくまでも牧歌的。

お前が、車界のデニムか。「トラクターにも会いますよ」なんて接客が聞ける日が近いかもしれない。

 

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そしてこのポップな配色は無限の広がりを感じさせますね。

俺、トラクターのプラモあったら絶対好きな色でバシッと決める。

 

 

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そして見逃せないのは「一見、分けのわからない何か」であること。

これはありとあらゆるものに通じますが、わけのわからないものは人の目を惹きつけますし、それを何かと定義づけるまでの間に形の面白さを堪能します。そして、そこから正解が出るまでの流れ。楽しいですよね。

 

え?、トラクター?こんな色があるのか?みたいなね。

 

そういった発見の感動を手に持つのも悪くないです。

 

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小さいし、キーホルダーだし。置いてもよし、鍵につけてもよし。塗装ハゲが美しいでしょうね。きっと。

 

www.minicar-ikeda.jp

 

www.minicar-ikeda.jp

ロードスターと好きな色

カーモデルの白いボディは色を塗らないという選択をしにくい存在でありながら、一方で好きな色に塗りやすいという側面を持っています。この辺は成型色を生かして仕上げると考えるとマイナスですが、塗るのであればむしろありがたいというのが現状です。

 


そしてこの好きな色に塗るという際に、本当に好きな色について考えてみると面白い結果が得られるのではというのが今回の話。

 


「好きな色」というのを実際に考えると何色でもよいわけではないことは割とすぐわかります。例えばボディはピンク、ホイールは前後左右を4 つを全部違う色……なんてことはなかなかやりません。「好きな色に塗って良い」といっても、ある程度の調和を無意識で考えている事がほとんど。

 


この無意識的な選びを一度意識の世界に引きずり込んでみると「今まで塗ったことのない色だから」とか「すでに飾ってあるものと合わせて」とか「実車通りに」とかそういういろいろな理由が出てきます。

 

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私が今回、ロードスターをブルーに塗ったのはジーパンの色だから。ジーパンが好きだというのはもちろんですが、さらに言えばジーパンの色落ちや生地の表情が好きだという点があります。ここに意識の世界に「好きな色」を引っ張った意味がある。

 

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筆塗りのセオリーの縦・横・斜めの順に従って塗ってしまうと最後は斜めのストロークがボディにどうしても残ってしまいます。これをデニムの綾織に見立てればそのムラを安易に愛することができ「筆塗りのムラをジーパンの風合いのように許すことができるのではないか」という仮設を立てたのです。その仮説の検証結果はといいますと非常に良好でした。綾織の生地のようなフレーバーを纏ってくれました(それはジーパンが綾織であるということや、綾織そのものがどういうものかを知らないとわからない程度の筆ムラが生まれたということです)。

手作業が故の不規則の軌跡は自然な様子を当然のように生み出してくれさえもし「筆塗りの楽しさ」を教えてくれるほどでした。

 

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 ボンネットの部分、少し斜めのラインの筆跡があるのがわかるでしょうか。

 

私は自分が好きな色から生地や素材へと「ムラ」を照らす照明の範囲を少し広げ、忌々しい筆ムラを「風合い豊かな表情とする」という広い視野を得ましたが、こういった「ムラは出て当たり前、味として許容する」で停止せずに更に一歩踏み込んでみるということは、新しい感覚の発見にも繋がります。

 


筆塗り、特に重ね塗りのコツはすでに形成されている塗膜を剥がさないイメージを持って行うこと。

 
そのために縦、横、斜めなどの方向で重ね塗りを行う必要があり、また、塗料と溶剤の比率も塗膜を剥がさないために意識する必要があり、一方で筆の滑りを良くすることは塗料と溶剤の関係だけでなく、筆の力加減も関わっている。

 
なので、重ね塗りを複数回行う筆塗りは実は「塗る」というより「乗せる」という感覚が強い。

 
なんてことがわかったりすると、次に色塗るの、楽しいですよね。こういうスキルを言語化というらしいです。それにしてもカーモデル、最後の筆のストロークはどういう方向が美しいのでしょう。

 

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プラモもっと作ろうと思います。