Re:11colors

だいたい木曜更新です。革靴、模型、日常。

ロードスターと好きな色

カーモデルの白いボディは色を塗らないという選択をしにくい存在でありながら、一方で好きな色に塗りやすいという側面を持っています。この辺は成型色を生かして仕上げると考えるとマイナスですが、塗るのであればむしろありがたいというのが現状です。

 


そしてこの好きな色に塗るという際に、本当に好きな色について考えてみると面白い結果が得られるのではというのが今回の話。

 


「好きな色」というのを実際に考えると何色でもよいわけではないことは割とすぐわかります。例えばボディはピンク、ホイールは前後左右を4 つを全部違う色……なんてことはなかなかやりません。「好きな色に塗って良い」といっても、ある程度の調和を無意識で考えている事がほとんど。

 


この無意識的な選びを一度意識の世界に引きずり込んでみると「今まで塗ったことのない色だから」とか「すでに飾ってあるものと合わせて」とか「実車通りに」とかそういういろいろな理由が出てきます。

 

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私が今回、ロードスターをブルーに塗ったのはジーパンの色だから。ジーパンが好きだというのはもちろんですが、さらに言えばジーパンの色落ちや生地の表情が好きだという点があります。ここに意識の世界に「好きな色」を引っ張った意味がある。

 

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筆塗りのセオリーの縦・横・斜めの順に従って塗ってしまうと最後は斜めのストロークがボディにどうしても残ってしまいます。これをデニムの綾織に見立てればそのムラを安易に愛することができ「筆塗りのムラをジーパンの風合いのように許すことができるのではないか」という仮設を立てたのです。その仮説の検証結果はといいますと非常に良好でした。綾織の生地のようなフレーバーを纏ってくれました(それはジーパンが綾織であるということや、綾織そのものがどういうものかを知らないとわからない程度の筆ムラが生まれたということです)。

手作業が故の不規則の軌跡は自然な様子を当然のように生み出してくれさえもし「筆塗りの楽しさ」を教えてくれるほどでした。

 

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 ボンネットの部分、少し斜めのラインの筆跡があるのがわかるでしょうか。

 

私は自分が好きな色から生地や素材へと「ムラ」を照らす照明の範囲を少し広げ、忌々しい筆ムラを「風合い豊かな表情とする」という広い視野を得ましたが、こういった「ムラは出て当たり前、味として許容する」で停止せずに更に一歩踏み込んでみるということは、新しい感覚の発見にも繋がります。

 


筆塗り、特に重ね塗りのコツはすでに形成されている塗膜を剥がさないイメージを持って行うこと。

 
そのために縦、横、斜めなどの方向で重ね塗りを行う必要があり、また、塗料と溶剤の比率も塗膜を剥がさないために意識する必要があり、一方で筆の滑りを良くすることは塗料と溶剤の関係だけでなく、筆の力加減も関わっている。

 
なので、重ね塗りを複数回行う筆塗りは実は「塗る」というより「乗せる」という感覚が強い。

 
なんてことがわかったりすると、次に色塗るの、楽しいですよね。こういうスキルを言語化というらしいです。それにしてもカーモデル、最後の筆のストロークはどういう方向が美しいのでしょう。

 

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プラモもっと作ろうと思います。