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毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

時代が追いついた男、KICK THE CAN CREWのMCUについて語る

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KICK THE CAN CREWのニューアルバム「THE CAN」がリリースされ、わかったことがある。

 

それはKICK THE CAN CREWの究極の戦士ことMCUの個性が果たす役割だ。

 

KICK THE CAN CREWが精力的に活動していたころにはKREVA(後期はスタイルの変化がみられるが)やLITTLEは押韻を評価されていた。それに対してMCUは「独特の世界観」だとか「日常的な言葉選び」みたいな評価を受けていたと思う。わかりやすいスキルというよりは、とらえがたい個性をなんとか言い表そうとしていたというか。

広告批評の2004年1月号のインタビューではメンバーからは「言葉を勝手につくる」と言われ、本人は「ルゲス」という言葉が自分の中で流行っていると話していた。他にも「曲の仮タイトルをつけている」だとか、「アントニオ猪木の詩集を最近は読んでいる」みたいな話をしていて個性の一端を垣間見ることができた。

 

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その具体的に何ともいいようのない個性が今回のアルバムTHE CANの1曲目でとうとう明確に定義された。"時代がMCUに追いついた"といってもいい。その個性とは、今でいう「拡散されやすいフレーズ」をポンっと歌詞に乗せる力だ。

3人がそれぞれの個性を発揮する中で、唯一無二のライミングのLITTLEと圧倒的なスキルのKREVAと来て、突然「バイキルト」とドラクエの攻撃力アップの呪文を織り込んでくるMCUは正に「独特の世界観」や「日常的な言葉選び」そのものだ。

 

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そして「バイキルトで元気貰っています」とリスナーとの架け橋をいともたやすく生み出してしている。まださほど聞き込めておらず、歌詞をつかみ切れていない状態でも、象徴的なフレーズとして作用しているのだ。

独特のセンスという意味でいえば、先程の「ルゲス」もそうであるが「言葉のエイリアン/KICK OFF」「ゴロウムツばりに何百匹の動物(ムツゴロウ王国のムツゴロウさんをひっくり返す)/灼熱舞踏会」などなど、確かに独特すぎるセンスが炸裂している。

 

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バイキルトで乗り切ります!みたいな引用RTしたらいいねがもらえて嬉しいの図です

 

こういう印象的なフレーズが明確に生きる場面がこの2022年になって、とうとう来た。そう思うと私はゾクゾクしてしまうのだ。実際にMCU語として「百獣お願いします」や「是非ウス」というフレーズをTwitterで見ているので、なおさらその気分は高まってしまう。

もう一つの個性ともいえる「日常的な言葉選び」に関しては聞けば聞くほど、もっと染み込んでくるだろう。何せ「待ち合わせは駅前に13時、このときばかりは戻る中3に/color variation」なんてあまりにも”ソレ”なパンチラインを言葉選びと押韻の堅さでインディーズ時代から確かに示していたのが、彼なのだから。

 

 

今日の物販

 

 

 

 

 

 

以下、雑談


今回のアルバム全体を通して、割と単純でアグレッシブなトラックが多く個人的には「 YOUNG KING」を思い出させる雰囲気なのが好きだ。

 

KREVA自身が嬉しそうに「MPC4000搭載」と歌っていたMagic Number以降はトラックが豪華で複雑になって3人のHIPHOPは高度な次元に達していたのだけど、今作に関して言えば、フィジカルな音楽としてのHIPHOPというのがとても感じられる。声が生きるトラックが多いのではないか。

 

また、KREVAが唄えるのが大きく、先行シングルのBootsはテレビサイズになってもKREVAがサビを唄うので三人の出番がある構成になっているし、住所に関しても客演の岡村靖幸との潤滑剤として「唄うKREVA」が作用している。前作がKICK!で今作はTHE CANということは次作のタイトルはもう決まりですね。

俺たちのオンを取り戻せ。平日に没頭するフィギュア塗装

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仕事が終わって家に帰って横になってダラダラしたり、椅子に座ってボケーっとTwitterYouTubeを眺めるなんてのも楽しいっちゃ楽しいんですが。

 

それらの時間って楽しいけど手元に何も残らず「ああ夜だ寝よ寝よ」なんて素直に寝れればいいけどそうもいかずに「次の動画を見終わったら」なんてやりだすともう最悪。明日のパフォーマンスは超低下確定。

 

それに、ずっとそれやっていると、家と会社の往復感が半端なく、働くために休んでいるみたいな気分になってきます。とはいうものの、会社に行ってみると仕事のことを四六時中考えている人たちがいたりして「大人ってすげーな」なんて思ったりもします。

 

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「逆だろ……逆……!俺たちは休むために働いているんじゃないのか?」と”オンすなわちプライベート” ”オフすなわち労働”の「本来の姿」を取り戻すためには平日にも何かをするしかない。

 

というわけで私はたまに平日にも関わらず、プラモデルをつくるというか、塗ります。何を塗るかといったら、主に人間を塗ります。フィギュア塗装の良いところってその気になれば2~3時間で終わるところで、平日に没頭しながら「あー終わった」なんて塗り終えると、心地よい疲労感と眠気が襲ってくるのでそのままぐっすり寝るなんてこともできます。

 

フィギュア塗装のメソッドはいろいろあるのでネットで調べてみると面白いし、塗料はタミヤアクリルでもファレホでもシタデルカラーでもなんでも「この仕上がりいいぞ!」と思った完成品と同じものを揃えれば良いです。あ、ただサーフェイサーよりもプレミアムトップコートつや消しの方が取り回しが良いので、そこはオススメしておきます。

 

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使いきらなそうな量の塗料を何色も買い込むとマニキュアだとかアイシャドウをたくさん持っている人の気持ちがよくわかりますし、そういう人たちは「塗りたいから塗る」という気持ちが少なからずあるのではなかろうか……なんて気がしてきます。

 

この日は下地に「これいい色なんだよな……」と思って塗った暗めのオレンジイエローが、まさにぴったりタミヤ北アフリカ戦線のプラモデルの成型色そのものでびっくりしたのですが、そのあとは好きな色で塗っていきました。

筆塗りってやってみるとわかるんですが、顔なんかの繊細な部分はさておき、大体の部分では「赤い部分に青い塗料がはみ出したら、その上に赤を塗る」みたいな感じでどんどん塗り重ねて帳尻を合わせていくことがほとんどなので結構、スピード感があったりします。

 

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そして、その塗り重ねの部分に「元の色じゃなくて違う色を重ねていくとおもしろいのでは?」ということで、「赤い部分に青い塗料がはみ出したら、その上に緑を塗る」みたいな感じで無限に色を増やしていったら結構いい感じになって楽しかったです。

 

それにしてもICMに代表される1/32スケールの飛行機にまつわる人々はいい顔をしています。ミリタリーもののフィギュアの主流である1/35よりも表情が生き生きとしているのがよく、目や眉なんかもなんとか描けるし、描くことに意味があるギリギリのラインだと思います。

この男性はイタリア空軍パイロット熱帯仕様のものですが、とにかくハンサムで、塗っていて「こんなにかっこよかったっけ?」となりました。なにせ箱や説明書に書いてあるのは口ひげをはやしたユーモラスな男性なので……。

 

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完成させた翌日の仕事中に「早く仕事終わらせて次は何塗ろうかな」なんて考え出したら、もう勝ちです。

 

今週の物販