Re:11colors

しばらく毎週月曜日更新(2022年7月現在)。革靴、模型、日常。

時代が追いついた男、KICK THE CAN CREWのMCUについて語る

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KICK THE CAN CREWのニューアルバム「THE CAN」がリリースされ、わかったことがある。

 

それはKICK THE CAN CREWの究極の戦士ことMCUの個性が果たす役割だ。

 

KICK THE CAN CREWが精力的に活動していたころにはKREVA(後期はスタイルの変化がみられるが)やLITTLEは押韻を評価されていた。それに対してMCUは「独特の世界観」だとか「日常的な言葉選び」みたいな評価を受けていたと思う。わかりやすいスキルというよりは、とらえがたい個性をなんとか言い表そうとしていたというか。

広告批評の2004年1月号のインタビューではメンバーからは「言葉を勝手につくる」と言われ、本人は「ルゲス」という言葉が自分の中で流行っていると話していた。他にも「曲の仮タイトルをつけている」だとか、「アントニオ猪木の詩集を最近は読んでいる」みたいな話をしていて個性の一端を垣間見ることができた。

 

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その具体的に何ともいいようのない個性が今回のアルバムTHE CANの1曲目でとうとう明確に定義された。"時代がMCUに追いついた"といってもいい。その個性とは、今でいう「拡散されやすいフレーズ」をポンっと歌詞に乗せる力だ。

3人がそれぞれの個性を発揮する中で、唯一無二のライミングのLITTLEと圧倒的なスキルのKREVAと来て、突然「バイキルト」とドラクエの攻撃力アップの呪文を織り込んでくるMCUは正に「独特の世界観」や「日常的な言葉選び」そのものだ。

 

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そして「バイキルトで元気貰っています」とリスナーとの架け橋をいともたやすく生み出してしている。まださほど聞き込めておらず、歌詞をつかみ切れていない状態でも、象徴的なフレーズとして作用しているのだ。

独特のセンスという意味でいえば、先程の「ルゲス」もそうであるが「言葉のエイリアン/KICK OFF」「ゴロウムツばりに何百匹の動物(ムツゴロウ王国のムツゴロウさんをひっくり返す)/灼熱舞踏会」などなど、確かに独特すぎるセンスが炸裂している。

 

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バイキルトで乗り切ります!みたいな引用RTしたらいいねがもらえて嬉しいの図です

 

こういう印象的なフレーズが明確に生きる場面がこの2022年になって、とうとう来た。そう思うと私はゾクゾクしてしまうのだ。実際にMCU語として「百獣お願いします」や「是非ウス」というフレーズをTwitterで見ているので、なおさらその気分は高まってしまう。

もう一つの個性ともいえる「日常的な言葉選び」に関しては聞けば聞くほど、もっと染み込んでくるだろう。何せ「待ち合わせは駅前に13時、このときばかりは戻る中3に/color variation」なんてあまりにも”ソレ”なパンチラインを言葉選びと押韻の堅さでインディーズ時代から確かに示していたのが、彼なのだから。

 

 

今日の物販

 

 

 

 

 

 

以下、雑談


今回のアルバム全体を通して、割と単純でアグレッシブなトラックが多く個人的には「 YOUNG KING」を思い出させる雰囲気なのが好きだ。

 

KREVA自身が嬉しそうに「MPC4000搭載」と歌っていたMagic Number以降はトラックが豪華で複雑になって3人のHIPHOPは高度な次元に達していたのだけど、今作に関して言えば、フィジカルな音楽としてのHIPHOPというのがとても感じられる。声が生きるトラックが多いのではないか。

 

また、KREVAが唄えるのが大きく、先行シングルのBootsはテレビサイズになってもKREVAがサビを唄うので三人の出番がある構成になっているし、住所に関しても客演の岡村靖幸との潤滑剤として「唄うKREVA」が作用している。前作がKICK!で今作はTHE CANということは次作のタイトルはもう決まりですね。