Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

イラストのようなものとイラスト(のようなもの)

自分が描いているこれはイラストなのか、なんなのか。

とよく悩む。いろいろなイラストのスタイルがあることは重々承知だが、こんななぞったような、むしろなぞったほうがマシなようなものが絵なのか??と思う。

 

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今もそう思うのだけど、一時的に「いや、これは図だ」という納得をしていた。

ある靴を解説するための図であってイラストではないと。

だから、その辺はあまり気にしないようにしてただただ、描いていた。

ただ両足しっかり描くようになってから「うーん??やっぱり図ではないのか?それでもなぁ……」と頭を抱える羽目になっていた。なっていた、のである。

 

最近、上のブーツのようにがっつり描かなければ定期的に描くにも苦労しないだろうと目をつけ5〜20分くらいで仕上げる遊びをしているのだけど、一昨日くらいに「これはイラストっぽい!!」と出来上がったものをInstagramにあげたあとにピンときた。

こういったものは大体「ここがダメだなぁ」と思う点がそのあとに見えてくるのも面白い。

 

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これに関して最初に「あ、イラストっぽいわ」という感想を抱いたのだけどイラストっぽいなと思うのは迷いなく引かれている線であったり不思議なテクニックで靴紐が結ばれている部分がさらりと描かれているところであったりする。特に、後者に関しては非常に不思議な感覚を私は覚える。素人考えで靴の絵を描くというと例えば踵、土踏まず、つま先、甲……と順番に進んでいくことがセオリーに感じるし、紐はそういう意味だと靴に重なることがほとんどなので線も重なるのが常なだったのだが、この靴の紐の部分はどういうわけか他の部分とあまり線が重なっていない。

理由ははっきりと覚えていてこの紐周辺を描くときに「あーここは先に結び目の輪の中を描いておこう、他の部分も同様でネガスペースを描いていって最終的に描きたかった形が浮き彫りになるようにしよう」と考えていたからだ。その辺の一定の手順に沿わずに進んだ中で「今はこう、だからここはこう」と進めていって気づいたらどんどん進んでいく感覚は楽しいものだ。

ただ一方で、先に書いたとおりでダメだなと思うところもある。

 

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そう、わかっていないところはわかっていないまま描かれるので全く絵にならないのだ。単なる線の集合がごまかし空間を作っている状態になる。

履き口や踵、レースステイ周辺の曲線は雄弁に語るのにソールのキワはもごもご口籠りお茶を濁したような頼りなさ。つま先のエッジがよく立っているのと自信がない曲線の合流地点はもっともダサいことになっている。

 

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そしてもう一つが筆が滑って大事なことを忘れてしまうことだ。

この絵は右下の左右の靴のエッジが作り出す三角形の部分に注目してそこから描いたのが個人的には面白い体験だった靴だが何せ眠さに負けて後半はひどいものであった。

特に忘れてしまったのはサイドゴアブーツのゴアが平行につけられているはずなのに大きくゆがんでいることだ。こんなことはわかっているのに眠さでいささか手を自由にしすぎてしまったようだ。

 

じっくり描いてわからないところがなくなれば、ササっと描いても絵らしくなるのだろう。日々反復。

坂崎千春のアデリーペンギンの絵を額装した

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ペンギンが、ペンギンの絵を見ている。

先日の記事の続き。

 

re-11colors.hatenablog.com

 

手に入れた絵をせっかくだからと額装チャレンジ。

お店は画材を何度か買いに行っている田中金華堂さん。

twitter.com

 

額装フロアにある、アイドルの限定デザインの缶であったりアニメグッズをひとまとめにしたものなどのサンプルを見て「ここならなんでもできそうだな」と思ったのといろいろなものが持ち込まれている様子が怖くないなと感じたりと、まぁこのお店なら怖くないし大丈夫だろうと思ったということでお願いすること。

私は額装に関して全くの素人だったが、お店の方はかなり親切に対応してくれた。

まずは、持ち込んだものを額装する方法を幾つか教えてくれて、その中でオススメのものを提案してくれました。その後は額縁選びです。

無難なこげ茶とかそういったものが出てくるのかと思いきや「面白いもの……面白いもの」とその絵だからこそ合うものを時間をかけて選んで出してくれる。やっぱり向こうはプロである。

「大体こんな感じですね」と絵の色味に合うような額縁を持ってきてくれ、四隅に合わせてくれたが緑のものがほとんどで左上の白っぽい額縁も節目は緑系。

 

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その後は今回の額装方法だとバックの色を決めるのでこれもまた合うものを選んでくれる。

 

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緑か、白か。淡い色でニュアンスが微妙に違うので却って悩む。悩む悩む。

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実際置いて印象をチェック。緑もいいなと思ったがペンギンの白味を目立たせるために象牙色に。微妙な色の差だからこそ白さが映える、白さが映えると黒さも映える(と持っている)。

 

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そして10日ほどで完成。

ペンギンの気取った様子と額縁から溢れるやんわりした貴族感があっていて良いなと思う。額装は、大切なものをそれらしく保管するというか保存するというかバシッと時を止めてしまうような行為で面白いなと常々感じていたが、様々な額装の方法や額縁の種類を実際にお店の方から提案してもらいながら決定していく様子は絵を買った人がその絵に独自の味付けをするという行為でもあるのだなとハッとさせられる楽しい体験となった。

注文した靴が出来上がりました

今年初めての新品靴の出来上がり。

作った靴はソフトウィング、ショートウィングと呼ばれる形のものでお店は目黒にあるBROSENT。知る人ぞ知る、という段階の店ではあるが長く続きそうな店。

 

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理由はいくつかあるが、個人的に着目してるのは「カッコいい靴が手軽に作れる点」でそれはこの店の個性だと思う。なかなか今はカッコいい靴って見かけなくて技が凝ってるとか、どことなく道具的なものであったり長く愛されてるもの割と流行ってる感じがするがBROSENTは格好良さ寄り(なのが良い)。

 

出来上がった靴に話を戻すが、踵周辺(ヒールカウンター)のうねっと一回波が入るところであったり紐を通す穴周辺の琴のような形(アデレード)の部分の曲線が起伏に富んでいて絵に描くときにその辺の豪奢な感じを見誤ると雰囲気が一気に変わるので、そこはやはりポイントなのだろう。つま先のウィングのバランスもキュッと小さくしながらも重厚感は失われてないので前後のバランスもよく取れているのではないか。

 

履き心地に一番関与しているのは履き口の狭さで足首付近までしっかり包むような高さとヒールカップの小ささが独特。加えて中に入ってる芯材も大きな面積をとっているので足首周りとカカトで止める感じ。触ると硬いが履くとそうでもないのは形状の良さ。かなぁ。全体的に立体感のあるような気がする履き心地なので足首周りを強く掴まれているような感覚も感じず、全体に負荷が分散されているのでよく良い靴で言われる「包み込むような履き心地」を体現していると思う。

あとは内振りのラストが良いとかそういう話だけど詳しくはこちらで見ていただれば(私はラストメイキングとか足に関しては素人なので主観がかなり入っていますので)。

 

www.brosentshoes.com

 

 

そして、この二つのラストが単純明快でわかりやすいのも良い。

今風にいうと「定番なラウンド」「イタリアンなスクエア」。

実際どっちも定番ですし、イギリス靴でもスクエアトゥはあるので好みで決めても問題ない。私はスクエアトゥをギュッと縛り上げて履く緊張感とか神経質な感じとか理屈っぽい感じに見えて良いなぁと思うのでスクエアトゥ(6穴なのもキリキリ感が出て好きき)。大事なのはそれぞれにどういう印象を自分が抱くか、とそれをもとに選べるか。

 

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続いて色。BROSENTはフリーカラーシステムという一風変わったメニューを取り入れているがヌメ革を染料で染め上げるというスタイル。お店にあるサンプルを見ると「大体何でもできるんだなぁ」と感じます。色々話を聞きながら決定。

 

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出来上がりを見ると「ああ、もっとここをこうしても良かったかな」とか「ラストはラウンドトゥでも良かったかな」とか色々思うが履いてみるとその辺は飛んできますね。レースステイ周辺はリザードで良かった……でも履くシーンさらに限定されるよな……とか。悩みは尽きない。

 

形は個性的なものがあるのでその辺は本当にかっこよさ重視のフレーバーが前面に出ていると思う(それこそ履き心地の良さが隠れてしまうくらいの良さ)。ダイヤモンドキャップのライリーが良い味出してますねぇ。

 

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店員さんが「カッコ良い靴を提案させたら間違いない」みたいな個性がありながらも優しいのが何というか、良い。

 

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ブログも面白いです。