自分が描いているこれはイラストなのか、なんなのか。
とよく悩む。いろいろなイラストのスタイルがあることは重々承知だが、こんななぞったような、むしろなぞったほうがマシなようなものが絵なのか??と思う。
今もそう思うのだけど、一時的に「いや、これは図だ」という納得をしていた。
ある靴を解説するための図であってイラストではないと。
だから、その辺はあまり気にしないようにしてただただ、描いていた。
ただ両足しっかり描くようになってから「うーん??やっぱり図ではないのか?それでもなぁ……」と頭を抱える羽目になっていた。なっていた、のである。
最近、上のブーツのようにがっつり描かなければ定期的に描くにも苦労しないだろうと目をつけ5〜20分くらいで仕上げる遊びをしているのだけど、一昨日くらいに「これはイラストっぽい!!」と出来上がったものをInstagramにあげたあとにピンときた。
こういったものは大体「ここがダメだなぁ」と思う点がそのあとに見えてくるのも面白い。
これに関して最初に「あ、イラストっぽいわ」という感想を抱いたのだけどイラストっぽいなと思うのは迷いなく引かれている線であったり不思議なテクニックで靴紐が結ばれている部分がさらりと描かれているところであったりする。特に、後者に関しては非常に不思議な感覚を私は覚える。素人考えで靴の絵を描くというと例えば踵、土踏まず、つま先、甲……と順番に進んでいくことがセオリーに感じるし、紐はそういう意味だと靴に重なることがほとんどなので線も重なるのが常なだったのだが、この靴の紐の部分はどういうわけか他の部分とあまり線が重なっていない。
理由ははっきりと覚えていてこの紐周辺を描くときに「あーここは先に結び目の輪の中を描いておこう、他の部分も同様でネガスペースを描いていって最終的に描きたかった形が浮き彫りになるようにしよう」と考えていたからだ。その辺の一定の手順に沿わずに進んだ中で「今はこう、だからここはこう」と進めていって気づいたらどんどん進んでいく感覚は楽しいものだ。
ただ一方で、先に書いたとおりでダメだなと思うところもある。
そう、わかっていないところはわかっていないまま描かれるので全く絵にならないのだ。単なる線の集合がごまかし空間を作っている状態になる。
履き口や踵、レースステイ周辺の曲線は雄弁に語るのにソールのキワはもごもご口籠りお茶を濁したような頼りなさ。つま先のエッジがよく立っているのと自信がない曲線の合流地点はもっともダサいことになっている。
そしてもう一つが筆が滑って大事なことを忘れてしまうことだ。
この絵は右下の左右の靴のエッジが作り出す三角形の部分に注目してそこから描いたのが個人的には面白い体験だった靴だが何せ眠さに負けて後半はひどいものであった。
特に忘れてしまったのはサイドゴアブーツのゴアが平行につけられているはずなのに大きくゆがんでいることだ。こんなことはわかっているのに眠さでいささか手を自由にしすぎてしまったようだ。
じっくり描いてわからないところがなくなれば、ササっと描いても絵らしくなるのだろう。日々反復。