Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

オフィスの間取りは変えられないが財布の間取りは変えられる〜affordance〜

私がよく会社で後輩に何か教えるときに「どこそこのドアが立て付けが悪いから、引っ張りながらドアノブを回す。とかそんな馬鹿な話は、実際にはあるにあるけど自分たちからそうなってはいけない」なんて話をする。

 

このドアノブみたいな話は大なり小なりあってマジで解決できないものとよそから入ってきた人間からすれば「これくらいなら直せよ」ってパターンがあって私は外様なので割と直してしまう。でも直らないものは直らないので、例えばタイトルの通りに間取りみたいなのは無理だろう。ここの導線がダメなんだよな。とか、この椅子と机の高さの関係性が悪いとか。で、たまに無意識で自分たちができる範囲のことでそっちに流れてしまうときがあるからさっきの話が出てくる。

 

そういった意味で、財布はどうだろうか。

 

鞄もそうだが、財布も部屋が仕切られていて、その語の通りに部屋の集合体であとは心の持ちようでそれが家だったり会社だったり銀行だったりするものだろう。

なので、それぞれが色々と考えを巡らせて財布を買っている気がする。

 

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買ったのはaffordanceというブランドの財布で、丸善日本橋店の革職人店で知り、そこで「次にやるスパイラルでの展示ではグレーが出る」ということだったので、それが良いと思い実際に見てみるとやはりそうだったのでグレーにした。

 

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ボタン開けて広げると更にボタン留めされた部屋があって手前・奥と小銭とカードを入れる部屋。

 

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あまり財布に関心がないせいもあって知らなかったが紙幣を縦型に入れるこのデザインが白眉。まとめてガバッと入れやすく、かつ端っこが折れ曲がらない。出すのもパシパシパシと指で繰り出せるのが非常にスムースで気持ちが良い。

 

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「何か文字を打てますけどどうします?」と聞かれたので内側に完成日を打ってもらった。このサイズ感が控えめなのがとても良い。

あとは、ここの革は特徴的で良いなと思っている。ヌメ革が染められたもの(?)だと思われるがマットな見た目と触ったときに手に馴染む感じ。

色味が深くなることや、光沢を放つことが約束された風合いでそれを汚く感じさせない程度の明るい色味もラインナップに入っている点も見逃せない。

 

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神社の屋根色をイメージしたブルーグリーンも中々。

 

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買った財布はこちら。

エイジングは毎日使うものなのでいずれ。

喜びの道具に込められた小さな「よしっ」を朝の玄関で。

最近また、新しい靴が出来上がった。

あまり褒められた話ではないが新しい靴が入ってきてもそれがすでにある靴に勝てない場合がある。最近は滅多に無いが勝てないならまだしも稀に負けることがあるからそれはそれで苦しい。

この新しい靴は今のところ「思ったより履いている」という感想が素直で、良さが上手く伝わると思う。履きやすい靴はたくさん持っているがこの靴は、作り手の狙い通りに履きやすい靴だと感じる。簡単に言えば「仕掛けにハマっている」。

 

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木型は見た目の通り。そして言葉を付け足すならインサイドストレート。一見丸っこく見えるが意外と品がある。ここに惚れる人は多いと思う。「そうじゃないんだよな、自然とかそっけないとか、優しいって。そうじゃないんだよ。こうなんだよ」って。

何が言いたいのかというと、丸いのにその丸さを強く感じさせないというところが偉い。

 

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ここの靴の製法は

 

・九分仕立て

・革底のみのマッケイ製法

・マッケイセメント製法

 

となるのだがマッケイセメント製法を選んだ。中板とアッパーはマッケイ製法で縫い付けるけどアウトソールは接着でくっつける製法。仕上げがまた丁寧でそれでまた更に「きれいだ!」となる。特に外側は湾曲が特徴的だからそれを野暮ったくさせてしまうのか、キレイに見せられるのかはこの辺の仕上げの上手さにかかっているのでは。

どれが正解って話は普段はあまりしないけどここの靴はマッケイセメントかマッケイが正解のような気がします。作り手側がおそらく気にした品や一種の軽やかさをどう出すのか?が分かりやすいのとあとはそのほうが安いからね。本格的な仕様が良ければもちろん九分仕立てでどうぞ。修理交換って意味だとマッケイセメント製法はある程度それが担保されているのと、わざわざ謳ってるメーカーもそんなに見ないので味わうのは悪くないと思う。揃えている革も面白いものが多くて、見かけないわけではないけど取り揃えているところは多くはないようなという物が多い。

私がオーダーした革も見るには見るが革小物がメインで靴に使うってのはあまり聞いたことが無い。ただ、そこに「なんか有名所とは違う良さのあるオイルドレザーを探そう」という意思は見える。それが良い。黒い革も複数あるし、スエードはイタリースエードをわざわざラインナップに入れてのグレーが珍しい。

 

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この革についてを見ているとトルコの革が急に出てきたりしてその辺がまた、なんというか実験的でもあるが、あのシェイプで行こうと決めた人が選ぶんだから……と期待させる。

 

肝心の履き心地とエイジングの話にそろそろ入るが、履き心地はパターンオーダーシューズでもあり、最近の日本人の足型に合わせられるのはこういった小さなブランドの良さでもあるので当たり前に良い。

ただ私が注目したいのは履くときの良さだ。羽根が大きい分紐を緩めたときにパッと羽が開くので足入れがとても楽だ。そのあとグッと紐をキツくしながら足を正しい位置にセットする。この過程が苦じゃなく、自分が靴を履こうとしていることを認識するようになっているのが面白い。「この靴を履いている」と。これはかなり良い点だと思う。

無自覚にやれやれと履くという話ではなく、意識して履くことを楽に行わせてくれる。

 

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その小さな「よしっ」という感じは割りと求めている人が多い瞬間ではなかろうか。大きな「よしっ」はなんだか気合が入りすぎてダサいけど、でも小さめなら……。と価格の高低でそこのバランスを取ろうとしたり、単純に尖りと丸みを対立させ「丸いのなら、そんなに気合もね……」と判断したり。

と自意識と戦って迷子になるパターンは靴以外にも往々にある。

 

ここの靴はそこが良く出来ている。全体の形であったり、革であったりデザインであったり。なんとなく、今の気分というか派手過ぎず、でも安っぽすぎず。とは言うもののコスパ重視はなんか違うし、ライフスタイルとかとも違うんだよな。という複雑なフレーバーを上手く仕分けて形にしている。なんでしょうね。個人的には品の良さが何故か漂っているところだと思うのですが。

 

エイジングについて書こうと思ったら結構な分量になってきたので少しだけ触れて終わることにする。

エルバマットのオリーブ、ニューヨークのブラウンでオーダーしたがともにイタリアのオイルドレザー。ただエルバマットの方が気持ち肉厚な気が。どちらもオイルをよく含んでいて履いて磨いてとやっていると良い経年変化をしてくれます。特にエルバマットのオリーブは表情が出る出る。

 

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チャッカブーツのオーダーも十分ありかなと思っています。

 

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気になる方は、是非(なんで宣伝……)。

あ、あと飽きるまでタイトルはこんな感じで行きます。

 

第25回文学フリマ東京出店レポート

四回目の 反省の 時間です。

 

 

それぞれの作品の特徴

 

●それぞれの作品の特徴を教えて下さい(前回の反省と同様なので新刊以外は読み飛ばしても)。

 

 ・紳士靴九話。既刊です。私が持っている靴のイラストとそれに関するレビューをエッセイ形式でまとめたもので「既製靴」と「注文靴」で分かれています。既刊と比べて絵の分量が多く、表紙も内容がわかりやすくデザインされています。

 

・紳士靴九話ポストカード。せっかくイラストが多く出来たのでポストカードにしました。

 

・紳士靴十一話。内容は十八話と変わらず、靴の紹介+気づき、日常という感じ。表紙のデザインや紙面設計をマイルドにしたので「靴と生活」から「お気に入りの靴とせいかつ」というようなテイストになったと思います。「十八話と九話の間くらいのノリ」な一冊。

 

・紳士靴七話。十一話のアップデート版。という認識でも良いのかなと思います。注文靴が多いのがポイント。

 

製作

 

●意識したことはなんですか?

見開きで靴の絵を載せるのをやめました。あまりキレイではないので。

あとは冊子自体を大きくしました。A5版です。

絵を良く見せたいならB5くらいでも良いのかなとかなんとか。

携帯性と可読性がネックになりますが。

それと、タイトルを大きくすると売れるなんて話を知りましたがこれは本当にそうでした。

 

●大変だったことはなんですか?

今回は時間がないのが大変でした。

 

●完成したものはどうでしたか?

シンプルでパンチの効いた一冊になりました。表紙が良いですね今回は。

 

 

ブース設営

●意識したことはなんですか?

今回は特にないです。次回からこの項目はなくなるかもしれません。

 

●上手く機能したことはなんですか?

今回はPOPとTwitter、WEBカタログの宣伝がかなり効きました。

Twitterを見てきました」「WEBカタログを見て」なんて言ってもらえる方が多数。

 

●機能しなかったものはなんですか?

A3ポスターの文字を盛大に間違えていて最新作のタイトルが「紳士靴十一話」になってたのは笑いました。原画とトレイを忘れました。

 

●ブース設営という意味だと棚を使った三次元的なレイアウトが見られますが導入するつもりはありますか?

これはもうないですね。質問としても次回からナシ。

 

 

販売

 

●意識したことはなんですか?

コミティアと同日開催だったので最初はそんなに気合を入れすぎないことと、ピークはいつもと違うはずなのでどういう流れかは気にしていました(よく見られていた方は私が始終キョロキョロしたりお客さんの意識がこっちに行ってないときによそを見ていたことに気づいているかもしれないですね)。

 

●上手く行ったことはなんですか?

リピーターの方が今回は特に多かったような。これはずっと右肩上がりですね。

 いつもありがとうございます。あとは、人通りが増えたときは接客時間を長く取って人だかりを作ったりとか。

 

●上手く行かなかったことはなんですか?

休憩に出ないとダメですね。あと、名刺はいらないわ。

 

●見本誌提出はどうでしたか?

見本誌は出した方が良いです。絶対です。

 

●事前の宣伝はどうでしたか?

Twitter、ブログで行いましたが今回はかなり機能しました。

宣伝大事。

 

●実際何部くらい売れましたか?

トータルで50以上は出てると思われます。

 

その他

・エッセイブースはどうですか

こっちのが評論ブースよりも人の流れは良いかなーって感じはします。

あと買い上げ率は絶対こっちの方が高い。

 

・ブースに足を止める層はどうでしたか?

 

女性がどんどん増えてます。全部買いも4回くらいあったかな。

何年も前の話を引っ張りますが「私があの場で接客をして売るのが良い」という言葉は案外的を射ているような気がします。話をして買ってくれる人が今回は特に多かったからそれが楽しかった。

 

総評

今回は売れた売れないとは別のところで私を私と認識している人やあるいは、事前に調べてきてくれる人が特に多くそれはすごい嬉しかったです。「決めてた」「気になってました」「リツイートしてくれて、良くて」どれもありがたい言葉で創作のモチベーションも上がります。「情熱がここまである人もなかなかいない」「なんでここにこういう人がいるのかわからないけど、良い」などそういう話をしてくれる人もいました。

最近は次回はどうするかな……と悩んでいたところなので、とてもうれしいです。

あとはTwitterで感想を書いてくれる人もありがとうございます。

本当にまぁ、なんでしょうね。ええ。

 

過去の反省記事です。

 

一回目はこちら

re-11colors.hatenablog.com

 

二回目はこちら

re-11colors.hatenablog.com

 

三回目

re-11colors.hatenablog.com