Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

釜石花巻盛岡 冬

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12月29日から31日まで今年二度目の岩手へ行ってきた。

目的はミッフィーカフェ釜石と鉛温泉藤三旅館の2つなのだけども、この2つを達成しようとすると釜石には3時間しかいられないというスケジュールになる。

 

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東京から新花巻までは新幹線で2時間半くらい。新花巻から釜石は2時間かけて釜石線に乗って向かうことになる。釜石線は「はまゆり」という快速列車に乗ると早く到着する(指定席の切符は事前に買っておくことをオススメする)。

釜石線はいつも私が乗っている電車と音が違っていて、例えばスピードを出すときはそのような音が聞こえたのでそういうパワフルな乗車感が楽しかった。降りたときに気がついたがディーゼル機関車というものでキハ110という車種であった。釜石線は、都心の電車と違って山を切り開いたようなところを走る。それが面白くて、町と町をつなぐ意味合いがとても強いものだと感じることもできるし、そこをパワフルな音を立てて走る列車に乗るのは楽しかった。

 

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ミッフィーカフェかまいしは夏に行ったが冬も相変わらず楽しかった。ここは、カフェ自体の広さと自治体の施設がくっついていることもあって少し、落ち着いた感じがするのが好きだ。天井も高く、開放感があり、店内にはその名のとおりにミッフィーが多くいるが単にごちゃごちゃしていると言うよりは、心地よく配置されているのが好きだったりする。

 

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これとか。隠れかわいい。

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初めて頼むランチメニュー。意外にもパスタのボリュームが有りよかった。

カフェをあとにして宿である藤三旅館へ向かう。無料の送迎バスに乗るんだけど、山奥の温泉地へどんどん向かっていく様子が楽しく、ここでも釜石線と同様に山を身近に感じながら進むことになる。

 

藤三旅館の最大の見所は白猿の湯という深さ120センチの立ち湯だが、そこへ向かうために3メートルほど階段で下ることになる。そして、そこから120センチ分、身体を沈め、上を見上げると3、4階くらいの高さの天井を見上げることになる。「この下って、沈んで、見上げる」のアクションが最高に楽しいが、今回は桂の湯という露天風呂も堪能した。冬の寒さのせいで露天が気持ちよかったのもそうだし、2泊3日の行程にし、2日目は宿で過ごすことにしたので風呂を楽しむ余裕があったということだと思う。

2日目は風呂もそうだが、宿周辺を散策することにした。ここはどこなのかがよくわかっていなかったのと、前回、自体の写真を撮るのが難しかったのもあったのでどこか良いところはないかと思っていたからだ。

 

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撮影スポットはいくつかあるだろうが、ここがどのような場所なのかよくわかったのはここだった。露天風呂から見える赤い橋からの景色。川沿いに館が建っていることがよく分かるし、それがこの「奥地にある宿」という様子をよく表していると思う。

 

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宿は2つの橋の間に建っており、反対側の橋からはさきほどの写真を撮った橋が見える。向こうから写真を撮ると「あっちの橋に行ってみようか」という話になるだろう。

 

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その橋の側、川に温泉を流しているものがあるが、近くに地域住民のみが入浴を許された小さな公衆浴場がある。本当に入ってはいけないような、ささやかな雰囲気。私は幼い頃に銭湯によく行ったものだが、ある程度分別がついてくると「いつもと違う客」がいることに気づいたりもしたし、ときにそれらが、空間の調和をちょっとした違いで生み出してしまうことも知っていて、そんなことを考えていたら、私達は、鉛温泉を来訪客向けの施設を通じて貸してもらっているのだなと言うことに気づいた。客向けの部屋と風呂が集まった施設としての宿。当たり前だが、そういうことにはっきりと気づいた。

 

事実、橋を渡ると一般住宅も数多くあり、雪で覆われた畑や、薪なども見られる。

 

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こういった山の中に住む人と、そこに私達のように分けて貰う人がいて、それは川で明確に分けられていることに気づくと、なんだかありがたい話だなとか、どうあっても住む人のようにはなれないのだなとかいろいろなことを思った。私は分けて貰う人だったからこそ、ディーゼル機関車の音の面白さに関心を示したり、広告の殆どない車内に落ち着いたりもしたのだなと。

 

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藤三旅館は古くも客室はリノベーションしてあり、館としてみたときにとても良いものだと思う。風呂も見どころだし、飯もめちゃくちゃ美味しい。ただ、この宿の魅力はその周りを歩いたときに本当によく分かる。チェックインの際に「2日目はシャトルバスで町へ出られますか?」と聞かれるが、そうではなく、周囲を散策するというのもこの地帯を知るのにはとてもいい経験のように思える。

 

前回の記事

re-11colors.hatenablog.com

 

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これを履いてガンガン歩いたが特に支障なし。

REDWINGのタフさをキープしながら短靴の踵の抜けやすさと、ブーツの脱ぎ履きのダルさを感じないので、入手難易度や修理のしやすさなど旅靴の決定版な気もする。

雨染みにならない黒がベスト。

1974年の風 タミヤ 1/35 SASジープ

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SASジープを作った。

このキットは名作に間違いないのだけども名作たる所以を書いてる記事をあまり見ないので少しさみしい。

文学かと思わず言ってしまいそうな解説にはそもそもの車の役割から細かな道具がどういう役割を果たしているかをわかりやすく、そしてかっこよく説明してくれている。これは作る前に読んでも良いし、後に読んでも良い。私は後に読んでその説明に感動した。なんだかわからないものがわかったからだ。

 

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説明書には荷物は自由に積んで自分だけのSASジープを作っても良いと書いてある。理由は「同じものは二つとないと言っても良いくらいに各々が装備をチョイスしていた」から。よし、自由に作る権利を手に入れた。このキットの一文は、だだっ広い海をプールにしてくれる程度に俺たちに楽しい自由を与えてくれる。優しい。

 

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乗っている隊員は異色といっても差し支えないアラブ系の頭巾をかぶっている。顔は渋く、カッコいい。この姿形のオンリーワンさについ目がいくが、見所は風にはためく頭巾だろう。風にはためいているのだ。今までたくさんミリタリーミニチュアを作ったが風を感じさせる男は誰一人いなかった。格好良さはあれど、それは精悍なポーズをしているとかそういうもので、人そのものの良さであった。

 

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風にはためく布が示すのはこの車は風が吹くところにいるということで、それ以外の身なりから自ずと熱風吹き荒れる砂漠の暑さが脳内で増幅され再生される。そのせいでこの二人の肌は汗でベタついてるだろうなとかそういうことを考えだすと、余計にジェリカンを積み、水筒をそばに置き、カバンなども、もれなく置いてやりたくなる。

 また、私が感心したのは椅子だ。座面はシャーシと一体成型されているので背もたれを差し込むだけで完成する。正直大体の模型はこれで良い気がする。

 

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このキットの見所はキレのあるディテールではなく総合的な強さだろう。風にはためく頭巾、背もたれを差すだけの椅子、自由に積むことがリアルだと教えてくれる説明書。ロマンあふれる解説。

 地元の洋食屋かなんかでトンカツ食べたときの、決してトレンドではないが決まった手順を確認守り続けてるから美味いみたいな、だからこそ、となりのチェーン店に負けない。そんなキット。写ルンですとか、Gショックとかジーンズとかの、1974年生まれのロングライフなやつ。

 

そして私のように、車をテーブルに置いてジェリカンなどを延々と貼り付けていると、出来上がって手に取ったときにこう思うだろう。

 

「重い」

 

こんなに密度のある模型を俺は他に知らない。

 

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夜戦炊事の冬 1/35

このキットを作るなら冬だ。週末が良い。そして夜だともっと良い。そして次の日の朝、自然光の入る部屋で写真を撮影するとそれだけでなんだか温かい気持ちになる。

 

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このブログにやられてすぐに野戦炊事セットを買った。

sidelovenext.blog64.fc2.com

 

このキットは膨大な量のシチューとコーヒーを作る設備があって、パンやチーズ、牛乳などもあったりする。それが何を指すのか。冬だ。温かいそれらを食べるのだ。

あまりにも平和な世界は戦いの裏返しなのはそうだが、それにしてもすごすぎる。

 

こういう模型を作る時間は結構な幸せだと思うのだけど、それはこれから誰かが喜ぶであろうものを生み出すマシンを作っているからだと思う。車も、飛行機も、戦車も、俺が作った模型の殆どはそうではなくて、反対のものもあったりもする(こうして書いているとピックアップトラックやバンが好きな理由がよく分かる)。

誰かを笑顔にするって素敵だよね。当たり前の話なんだけど、そのために鍋を混ぜるおっさんと、食材を渡そうとするおっさんがいる。もちろん提供先の男たちも笑顔だ。

 

温かいシチューを作る設備を冬に作るのは本当に楽しい時間だった。寒い夜に作るからシチューの温かさを感じられる。

 

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そして、そのあまりにも温かすぎる情景は周囲にものすごい影響をもたらす。

 

二人だけ並べていたらなんだかもったいなくて家にある同スケールのおっさんたちをぞろぞろと並べてしまったが、これが成立してしまうからすごい話。成型色がバラバラなのもそれぞれの所属は違うものの、みんな飯の前ではおとなしく並ばざるを得ないという感じで、めちゃくちゃ牧歌的。

 

自転車とかバイクとかも引き連れてると「遠くから来た」って感じがしてただの木の台の上なのにものすごい遠くからこのシチューを求めてやってきた様子を醸し出している。間でヘルメットをかぶってるおっさんが交通整備していたりとかも、なんかありそうで良い。ただ置いただけなのにものすごいストーリーが生まれてしまった。

 

こういうバラバラな彼らがふと心を通わせてるのってプロ野球中継で一塁でファーストとランナーが話してるのと同じで「ああ、この人達も敵同士だけど話すよね」っていう、そういうの。人と人のやり取り。色塗らないからだよな。これ。

 

普段は色を塗らないことを良しとはするけど、激押し!みたいなことはしない。でも、これに関しては塗らない楽しみがとてもすごい。塗らないほうがそれぞれがバラバラなのに今この瞬間だけはひとつなのがわかる。こういう時間がずっと続けばいいのに。

 

 

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野戦炊事セットはミリタリーミニチュアの人間交差点で、冬の夜に暖かい部屋で作るにはもってこいの模型。模型はもう、どう仕上げるのかではなくて、いつどのタイミングで作るかの時代に突入しました。

 

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