1/24 マツダ ロードスター発売記念 スペシャルトークショー
この動画を、超音速備忘録のからぱたさんに勧められて見た。
冒頭のホワイトボードに描いて見せる車のスタイリングの話がとても面白くて、面白くて仕方がないのだけど、デザイナーの中山氏とクレイモデリスト(でいいのか?)浅野氏がともに指で触れるという話をしていたりタミヤの方もそれについて触れているのが同じくらい面白かった。
話をまとめると中山氏は0.3mmのシャーペンの芯を指でつまむとそこに芯があることを触覚として認知ができることから指の機能の話をして、淺野氏は指でクレイモデルの微妙な造形のバランスをとるという話をしている。
また、タミヤ側としても取材中に実際に触れてみて車の面の様子を確かめるとのこと。
そして、それがキットとして形になったときの車の印象に関わってくるみたいな話もしてた気がする。
この話聞いて「わー!」って思ったのは、プラモってもちろん偽物なんだけど、実車にふれるときよりも広い面積を指で触れることができるってこと。0.3mmの芯を認識するそれで。もしかすると髪の毛一本だって摘めば認識しているかもしれない。
実車の側面をを人差し指で一撫でするのは大変だけれど、プラモならすぐだ。車を抱きしめても、腕や胸は指ほどにそのシェイプの面白さを感じ取る機能はないけどプラモなら上からグッと鷲掴みすればちょうど人差し指や中指の付け根あたりが天面の角にあたってその形の面白さを認識するだろう。
それに、例えば箱を開けてビニールを破ってボディパーツを手に取るときの指の感覚とか、デカールを貼るときの端っこを持ったりすることや、シャーシにボディをはめ込む時の少したわませる感じとか。それと後はそうだなー、完成したものはまだ部品の一つでしかないボディを持つときと違う風に持つ気がする。
サスペンションのコイルのネジネジのパスタみたいな感じとかワイパーがフロントガラスの曲面に対して最適にアプローチする角度を探すときとか、そういう瞬間瞬間に、指が一つのセンサーとして、ピタッと来る感じだとかカチッとハマる感じだとか、逆にそうでない場合に探る動きだとかそういうことをいちいち無意識にしていて、それが「気分良く組み上がる」だとか「徐々に形になっていく」という視覚的な成果につながって
「おー!あと少しだ!」
とかやってるんだと思う。
そのときのパーツを触る手や指はきっと俺の想像のつかない角度でつかみ、触り、一つの塊を組み立てているだろう。これはプラモならではだ。「組み立てる」という司令に対して手が、指がメチャクチャな角度にパーツを回す。シャーシなんかグルングルン回ってるもんね。そんなの工場じゃありえないし、そんな触り方は実車ではできない。
組み立てることに関して俺が精々覚えているのはタイヤをホイールにはめるときのグイッとやる感じくらいだ。あと、前輪の左右をつなぐ棒をパチっとやるときくらいか、いや、コレは結構怪しい。
そして出来上がったプラモを飾るスペースに持っていくとき、飾っていたプラモをしまうとき。そういうときに、すっと掴む最も無意識の掴む手の形、そのときの指が感じる大きさとかミラーが指に当たるとかそういう小さな違い。今、手元でルノーアルピーヌのA110を手に持ったけどマウスを持つみたいな感じだった。
家にある、完成したプラモ、改めて手にとって見てほしい。
そして、今組み立てているプラモを指はどんな風にパーツを触っているかを認識して欲しい。
組み立てるためにめちゃくちゃに回し、水平垂直を取るために慎重に触り、組み上がったあとにかっこよく見える角度を探すように、しばらく置いていたそれに積もったホコリを指で払うときの、指の感覚は、それは、きっと「俺だけが知っている」本当の何かだと思う。