Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

心と模型-2-

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2月の終わりころに適応障害の診断を行政サービスで受けてもうすぐ3ヶ月。

あの後すぐに病院にかかったり、会社に報告したりした。

 

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一つわかったのは先生も様々だなということ。

行政サービスで来ていた先生は俺のことをカウンセリングの後にすぐに診断したし、産業医の先生はその辺はやんわりだったけど、「完治するには我慢していた期間の倍の期間が最低かかる」みたいなことを事実として話してくれたし、その一方で今通っているとこの先生は、そういうことは全然言わない。ただ「治るのでのんびりやっていきましょう」と明るい口調で言う。

 

今は在宅勤務なので会社には行かないで済んでいるので、吐くことはない。そこは幸運。サンキュー、会社。

 

薬を飲みながら徐々に回復を狙っていこうというのが現状で、大分良くなっている。

 

実際に薬を飲んでいてわかることは2つある。

 

1つ目は軽い抑うつ剤。これは効いているのかどうかが最初はマジでわからなかったが2週間とか1ヶ月とか飲むとわかってくる。ある日それくらい前のことを思い出すと、なんであんな風に悩んでいたのかがわからなくなる程度には効く。「あー、今、俺、いい感じに戻ってきたなー」っていうのが振り返ることでわかる。ただしこれは次の薬の効果もあったからこそという実感もある。

 

と言うわけで2つ目。

これは睡眠導入剤だ。以前疲労について調べたことがあって、そのときに身体的疲労から精神的疲労へと移行していくことを知った。俺はもともと眠りが浅いので中途覚醒などは全然気にしていなかったが妻の指摘で、2時間おきくらいに起きている状態を知って流石におかしいと思ったが、この睡眠のフェーズで身体の疲れが取りきらず精神的疲労まで行ったと思う。振り返れば前の仕事でも身体の疲れが全く取れない時期があって、少し精神的に疲れていたのだ(だから疲労について調べたのであった)。

話が少しそれたが、この手の薬の効果は思っていた以上にあった。まず、中途覚醒無し。そこまで強い薬ではないのでいきなり眠くなったりはしないが寝るとなるとストンと眠りに落ちてしまう。

そして、それで身体の疲れが徐々に取れてくる。そうすると頭のキレも戻ってくる。そこに弱め抑うつ剤が効いてくるので身体と精神の二つをあげていこうという感じ。

 

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俺の場合は自分がそういう状態であるという認識が薄かったので、身体の疲れが取れたときは本当に驚いたし、そのグッドコンディションが続きだして初めて抑うつ剤が効いていることがわかりだした。この辺を鑑みると慢性的な寝不足で思考が低下して判断力が鈍ったり不安や自信喪失、結果的に精神的に疲れるという流れだったのかと今は思う。

 

そして最後に模型。

模型は、今も理想の仕事の形の一つだと思うしやっぱり自分で作って出来上がりを見るのは楽しい。ただ、以前ほど依存するような組み方はしなくなって、いい感じに取り組めている。自分の中で負の一貫性の原則と呼んでいる、悪い方向でのハマり方はしなくなっていてとても気持ちよく作れている。出来上がるものに悲壮感と、それを打ち消すように書かれた「冷たく真面目に語るような」コンセプトも発想もずいぶんなりを潜めて少し明るく軽やかになったと思う……のは俺だけだろうな。

 

でもディードリットの記事はキットの新鮮さもあって書いてて楽しかったし、俺は結構好きだ。

 

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今は模型を作るのが単純に楽しい。特に最近は説明書とか、箱とかそういうのを壁に貼って遊んだりするのも良い。

銀塗装とスケール

模型を作るときにスピード感ってのがあって、そこをこう「形になる速さ」とか「金型がどうのこうので」とか「パーツ点数の少なさ」なんて言語化するパターンが多いと思うのですけど、そういう事実みたいなものを事前事後の要素から引っ張ってくるのと別に頭の中に流れているリズム感みたいなのも一つあると思うんですよね。

聞いている音楽のテンポとか、家から駅まで歩くときのスピード感と、銭湯まで向かうときのそれとか。スキップとかします最近?

 

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普段私が模型を作るときに感じている、あるいは欲している速さに合致するような予感がしたのが銀塗装。そう、戦闘機は大体銀に塗ると良いという話がある。確かにそうだ、塗ってみるとそんな感じがバリバリする。

 

そんな銀塗装をやってみると、機体の持つラインがよくわかる。

 

つまり、これはある程度デカ目の機体の方がうまくいく……ようなのは知っていたけど、部屋に置く場所がないので1/72サイズのものにした。今回は初のロシア機で無骨なフォルムはGショックのような頼れる相棒的なものではなくて耐水5000m、ただし持ち主は……みたいな感じでアメリカのような華やかさよりは冷たさが際立つまさに「兵器」。そのルックスから銀塗装はありかと思ったが、どうも単純にことが運ばないのが面白いところ。

 

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写真の通りであっという間の大胆な方針転換で、銀塗装というフォルダを開けてみると、イエローゴールド、ピンクゴールド……と金に様々な金があるように銀もそうであると仮説を立てた。そこでカーキグリーンを投入して緑っぽく色を振ることにした。というのも普通の銀だとあまりにも味気なさすぎるからだ。

 

この味気なさを避けるためのテクニックで、パネルラインごとに色を変える手法があるっぽいがこれがまた難しい。というのもかなりパリッとキレよく塗り分ける必要があるように思えたからだ。実際「行けるっしょ!」と思って筆塗りで気前よく塗り分けてみたが、わずかなズレが目立つ。ここが1/72の泣き所。1ミリのズレは72倍になって目の前に現れる。1/48の方が被害は少ない。それに、この繊細さは何より私が求めているスピード感と若干異なるので、パネルラインテクニックは見た目的にも気持ち的にもなし。バッチリマスキングしたらとてもかっこいい精悍さが生まれると思います。

 

加えて冷たさを良しとしたので、ラインのブレを「有機的な温かみ」つまり「まぁこれも筆塗りの味っしょ」とすると整合性が取れないのでなんだかわからん塊が生まれてしまうことになる。

 

厳密な作業をする必要はないが、厳密な思考は薄め液も、乾燥時間も取らないのでいくらでもやった方が良いと思うのは私だけ、ではないはず。

 

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最終的には考え方をひっくり返すことでOKを出した。1/72のキットにバッサバッサと筆跡を残したり叩くように塗ると1/48よりも勢いがよく出ると考えた。特に後者が効果的で板の凹凸が筆塗りでかなり表現された。一回叩くと良い凹凸が生まれる。

 

カーキシルバーみたいな色味になったわけだけど結果的に少し砂っぽくなったというか「銀です!」とはならなくなり、抹茶黒糖ミルクラテみたいな感じで複雑さと奥行きが増したし、微妙に色を振ったり、バシッと筆で叩いたりすることでこの複雑さをテンポよく生み出せるのはこのスケールならでは。

 

 

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ハセガワ 1/72 ミグ27 フロッガー D #C10

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左手の先にプラモの存在を目撃する PLAMAX minimum factory ディードリット

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我が家に美少女プラモデルが来ました。ありがとうございます。

ロードス島戦記ディードリットさん。我が家ではエルフ子と名前がつきましたが、名前がつく程度の存在感という時点で我が家の人形の中では特異な存在。

 

このプラモデルに流れる根底のビートは一見明らかで「俺も綺麗な女の子を作りたい」というものだと思います。5色の、そしてどれも綺麗な成型色はコントロールされた美しさがあって、最高ですね。私は、綺麗な女の子を作りたいのかは自分でもよくわかっていませんが作っているときは楽しかったです。このディードリットさんをはじめとしたプラマックスのシリーズ商品はその辺の楽しさをキープすることに意識が向いていると思います。

 

つまり、切って貼ることとデカールを貼ることさえできれば一定の成果として綺麗な女の子が得られるのがこのキットの特徴です。これは見逃せない事実で、出来上がったときの最低ラインがかなり高いということです。ベージュ一色、あるいはガレージキットのようなものではこうはならず、反対に技術の粋を集めたバンダイの一連のシリーズのもののような積み上げ方よりも手順が少なくシンプルで、コースターのような速さがあるので爽やかに完成まで進められます。

 

あるいは、シンプルであるが故の良さが出ていると思います。

複雑な曲線やシェイプをサーっと形を追って色を分けるだけでも、そこに立つ良さがあるのはポーズの良さや成型色の色合いがなせる技ではないでしょうか。

 

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さて、このプラモデル。これがプラモデルであるなと私が思ったのは左手です。髪の中に突っ込まれたその左手はパーツが存在していません。ここに隠された「これはプラモデルである」というビートの痕跡を伺うことができるとすら思います。

 

てっきり存在すると思ったのはなんででしょうか。頭の中でプラモデルではあるがフィギュアのようなものだと思ったからですかね。フィギュアといっても可動無可動とあると思いますが、前者だったら左手は存在するでしょうし、後者だったら髪とくっついていると思います。私たちはディードリットを作るときに手首から先がない左手を(もしかすると私のように左手があるもんだと無意識で思いこみながら)作り、その先は「髪の毛の中に入っていること」として組み立てを完了させます。

 

他にも興味深い点はいくつも見受けられますが、何の気なしに作っていて「お、左手無いぞ」という気づきはこのキット固有のもののように思えます。

 

また、美少女プラモ特有の文法というかハイライトを味わうことも見逃せません。

美少女がそうである理由は顔が美しいからというわけになるのですが、このキットも例に漏れず顔周辺の密度がぐーっと上がっていく最後の工程は

 

「そこを成立させないと他がいくら上手くてもダメ」

 

ということがよくわかります。

なので、瞳のデカールはバリエーションを含めて6回チャレンジすることができますが、右目と左目をそれぞれ成功させる必要があることを忘れてはいけません。タイトロープを渡るような福笑いを行うことになりますが、かわいいポジションを、いちいち説明書ひっくり返したりしないで完成写真を見ながら探すのはストレスがなく、程よい忍耐が求められるのでストレッチのような感覚で、終わった後は気分がいいです。

 

残念ながら私はまだこのジャンルのプラモの組み立てに慣れておらず、顔周辺のパーツがうまくはまらなかったので一度首から上のパーツを切り離して組み合わせてしまいましたが、しっかりと仮組みを行って貼り合わせることができたら、なんと楽しかったことかと今でも思います。

 

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そして最後に一つ。デカールに貼られているキット名の部分を切り取って貼ることでとても綺麗な立像としての姿を表します。キット名を然るべきレイアウトで置いてくれるのは私にとってはとても素晴らしいギフトでした。

 

初めて食べたものがとても美味しかったような感覚で、今の感想を率直にいうと「おかわりしたい」といったところです。

 

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