「何かを買う時にそれを身につけている人が浮かぶ」
こういうことがよくある。
初めて本格革靴と呼ばれるようなブランドを買ったときにも浮かんだし、LOLOでもtheoでも何でも良いんだけど、それはそれぞれにある。
写真の靴はその靴を履いて雨の日も雪の日も歩く…値段は高いのにガンガン履いて街を歩く人が浮かんだ。彼は
「ああ。これ?天気に関わらずガンガン履けていいんだよね。高いんだけど気にしなくって良いというか」
なんて応えるイメージだ。格好はジーンズにシャツで傘なんて持たない感じ。
指には大きな赤い石のカレッジリングをしていて(そしてそれは彼の服装や雰囲気からするとエラく外れている、パワーであったりマッチョさを醸し出している)、手ぶら。本を良く読むが手ぶらのせいもあってジーンズの後ろのポケットにしまうからぼろぼろ。
なんて具合に。
そのときの誰かはなんとなく今の気分を表していると思う。
最近はその妄想の純度が高いほど納得のいく買い物ができるような気がしている。
次に買おうと思っている靴の話をしよう。
彼は「革靴はかしこまりすぎるけど、スニーカーを履くのもなんだかな」と思ってそれを買った。何となくコンバースのハイカットっぽい、スニーカーそのものの作りなので履きやすいだろうなと思ったらそうだった。
もちろん、スニーカーが嫌いな訳ではない。休みの日はサンダルも履く。「足下がしっかりしてると何着てもちゃんと見えるよね、それにこれは濡れたって傷ついたっていいっていうか。今の手持ちの物は傷が味になりにくいと思うんだよね…。正直言って友人が履いてるの見て惚れたんだけど。レッドウイングなんかもそうなんだけどさ、でもそうじゃないっていうか。多分ストームウェルトが好きなんだよね」なんて言っている。
実際に彼の靴を見せてもらうとせっかくの革底にゴムを貼っている。彼がどう思ってそれを買ったのかが目に見えてわかる。
「これは靴べら使わなくても良いからお気に入りなんだよね。ジャケットとかにも合わせても良いのかな。知らないけど」
そういって彼は駅の方へ走っていく。
結局自分は靴はガンガン履ける物が好きなんだろうね。