Re:11colors

毎週水曜更新(2021年9月現在)。革靴、模型、日常。

言葉にすることは言葉にしないこと

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昨日は1日書けて友達の事業の文章作成をした。

気をつけたのは、言葉が彼の作る素材や作品を蓋をしてしまわないこと。提出したものをベースに少し話し合いをして「『これは無駄のないフォルムからくる洗練さ』でパワフルさはあまり無いのでは?」という意見が出て「いや『これは無駄のないフォルムが生むパワフルさ』だろう」なんて返した。

 

近いものだと飛行機の翼がそうだったりして、無駄のないフォルムが揚力などのパワーを生み出しているという状態。形状は洗練されているかもしれないけど生み出す力は強いみたいな話。

 

こんなやり取りをしながら自分が「書かないようにしている言葉」があったことを確認できた。書いている(言葉にする)と同時に書いていないのである。言葉にしているのだけど言葉にしていないというわけで、友達に書いた文章には彼の制作物が持つ荒々しさや溢れる生命力に対して「洗練だとか、品があるだとかってのは使えるけど、使うと制作物そのものがつまらなくなってしまう」と、書いているのに書いていない状況が発生していた。これがとても面白かった。

 

「俺はさ、ロジカルに詰めていくのは好きだけど、なんていうかこうエモいのは書けないんだよね。俺が書くと全然ダメで。でもさ、これを幅広く売っていくにはクリスチさんが生む思いもよらぬところから人にアクセスする力で、ユーザーに『これはいい!』って思ってもらいたいんだ。結局ものが良くても突破口は言葉で、そこは俺はドリームチームで行く必要があると思っている」

 

私の友達は、こんなことを言ってくれて、彼の言うエモいに相当することを私は受け取ったのだけど、その後の文章作成にあったのは、彼の言葉にできない気持ちを形にするための注意深い創作活動だった。書くことは、同時に書かないことであると言うことがよくわかる。書いた言葉以外は無言になってしまう。

飛行機の翼を「無駄のないフォルムの洗練された姿」と書けば、その裏にある「パワフルな揚力を生み出す」ことは突然黙り出す。両方書けば、と網羅的に書き続ければ文章量は増え続け、読んでもらえなくなってしまうし、価値を見出して欲しい人に届かなくなるだろう。

 

書けば喋り出すものもあれば、黙るものもある。

 

じゃ、そのまま無言で。とならないのが人に何かを届けるための突破口として言葉を扱うときの簡単だけど難しいよね、でもやっぱり扱うもの同士の志が一種の聖なるものである場合はうまく行くんだな。という話でした。

 

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羽生善治 闘う頭脳 (文春文庫)

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