Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

諸事情により、汚れていただく 1/12 アオシマ ホンダ ゴリラ

 

黒い背景の写真を撮るときに黒い画用紙を貼り付けるという動作が嫌で嫌で仕方がなかった。かと言って貼りっぱなしにしているのも見ているとうんざりしてくる。繰り返せば繰り返すほど紙はダメになるし、ダメなものを持っている状態も貼りつけるという動作も気に入らなかった。

 

とにかくこういうことに我慢ならない。それでもやるんだから相当なものだ。俺はそこまで黒背景の写真が撮りたいのだ。ただ、自分がダサいなと思う行為を年がら年中繰り返しているのは嫌なんだ。なので、先週の大掃除ついでに棚の背面に黒い布を貼ることにした。

 

生地はシーチングでいいかなと思ったら、照明に当てると思ったよりも透けたのでパス。ツイルはホコリがつきやすいのか、ロール上に巻かれた生地に付着しているのが見えた。色々見たけどオックスフォードが一番ホコリが目立たずよかったのでそれを購入することにした。購入した生地をハサミでカットして寸法を微調整して貼り付ける。写真にとると、いい感じに真っ黒な背景。これで嫌だなと思っていた作業から解放されることとなった。

 

 

しかし面白いのは、背景が真っ黒の棚が誕生してしまったので、黒いタイヤはすっかり同化してしまい、溶け込んでしまうことだった。飾る空間が変わってしまえば、今までオッケーだったものがそうじゃなくなるということだ。まじかよ、と思いながら、仕事のストレス発散に作ったアオシマの1/12 ホンダ ゴリラをガシガシ汚していったのだった。土汚れの目立つタイヤは今までの私にとっては「やりすぎ」の部類の存在だったが、黒い背景には驚くほどマッチするのである。それに黒とベージュの明度差が生み出すコントラストも良い。

 

 

汚したのは「使い込んだ姿を表現したいから」ではなく、「黒い背景に溶け込んでしまうタイヤが気に入らなかった」からだ。なので、汚すことは目的じゃなくて、黒と明度差のある色をタイヤに塗りつける手段だったのだ。色の調和を積極的に狙っていくための口実としての汚し(≒ウェザリング)というのはあると思うし、汚し以外にも色々なテクニックがそのように使われている面もあるのでは?なんて思ったりもする。

 

そこには再現ではなく、表現があるのかもしれない。