Re:11colors

毎週木曜更新(2021年1月現在)。革靴、模型、日常。

俺のイギリスをプラモに押し付ける

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初めて買った本格靴はChurh'sのShannon。愛すべき質実剛健と言いたくなるような姿と当時住んでいた部屋の家賃を軽く越えていく価格が天秤にかかったが、その良さにすっかり魅了されてしまったので「いやー」なんて棋士が頭を抱えるような仕草をしながら手に入れた。それから、俺の革靴生活はスタートを切る。本気なイギリス物は見た目の重さが違う。良いか悪いかは別として、重たいとか、硬いとか、そういう強さがつきまとう。

 

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バッカニアという飛行機を知ったときには「ああ、イギリスだな」という感じがすぐに分かった。スマートなボディとは言いきれないズシッとした見た目だったり、何かの理想を体現しようとする華のあるアメリカのジェット機とは違う雰囲気の良さ。かっこいいのか悪いのか、という判断で言えば「これがかっこいいんだよ」とかっこよさを押し付けたくなるよさだと思う。苦いのが美味い、それがコーヒーだ。

そのバッカニアを1/100スケールでプラモデルにした、タミヤのコンバットプレーンシリーズのものを一年前くらいに手に入れ、先日作り始めた。最初はムラのあるグレーで下塗り。そして重厚感に沿うようにとつや消しのブルーグレーを上から。一気につまらなくなった見た目を「今回はこういう仕上げにするのだから」と納得しながらなんとなく放置していたのだけど昨晩、思い直して塗装を全部落として再スタート。

 

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俺のイギリスやジェット機ってなんだろうと頭の中でフワフワしたものを集めて大きなフワフワにする。これを言葉にして俺のイギリスはコレ!としたいところだが、私はこういう抽象度が高い状態をそのままにするのも好きなので、フワフワが固くなる前に筆をとって塗り始めることにした。イメージはBarbourのオイルドコートのスモーキーな感じやBaracutaのスイングトップ。俺のイギリスは少し埃っぽく、雨に濡れたようなしっとりとした感じだ。

 

塗れば塗るほど自分の中のイギリスが雰囲気良く出てくるのが分かる。大雑把な塗りはボールペンで描きつけるイラストのような勢いと雰囲気のある仕上がり。俺は、プラモデルを作る匠ではなく、軽快に、そして緻密に仕上げるイラストレーターの気分。なので塗料の状態はいつもよりも慎重にキープ。決してつまらない見た目にならないように、そこから逃げるように、とはいっても雑にならないようにと即興的に行きたい自分と、丁寧に行きたい自分を行ったり来たり。あ、今日の塗装は楽しいぞ。

 

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仕上がった姿は俺にとっては最高の軽快さ。生地に風が抜けるような軽やかさは今まで作ったプラモデルの中でも随一で、今のところとても気に入っている。ちょっと派手かな、イギリスってもっとこう、地味というか耐え忍ぶというか……なんて思ったりもしたが、よくよく考えればBarbourやBaracutaの裏地はとびきりのチェック柄に思わずニコッとしてしまう軽さとロイヤル感がたっぷり詰まったものだったことを思い出した。

 

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