
家から歩いて少ししたところの軒先に「ご自由にお持ちください」という札とともにざくろの鉢植えが置いてあったので、一回悩んだ後に持ち帰ることにした。その場で持ち上げるにはなんてことのない重さだったが、運搬するとなると結構重たくて、何度か道端に置いては休憩した。
育て方はわからないが、出勤する途中に立派なざくろの木が植わっている。確か昨年の夏くらいには「今年は雨が少なく、気温も高かったため崩れずに実を結びました」なんて紙が貼られたカゴにいっぱいのざくろの実が入っていた。そんなざくろの暮らしっぷりを身近で眺めていたせいか、持って帰りたくなったのだろう。
味気ない、茶色の枝に緑の葉っぱ。夏ころにはジワリと枝が伸びて日差しを浴びながら新芽や葉を生み出す。このころには「育っているなぁ」という気持ちが生まれて、日々の変化を楽しんでいた。育つとはいうものの、文字通り「変わる」ことの方が面白かった。

秋に差し掛かるころにはつぼみが出始めて、花を咲かす準備を始めていた。このときは葉の成長が遅くなり、開花にエネルギーが注がれていることがよくわかった。花というのは植物を育てる上で一大イベントなんだなという気づきもあった。毎朝外に出てはざくろの様子を見ていた。伸びる、生える、といった延長線上の変化とは全く違う魅力があり、物珍しさが私の好奇心を刺激したのだと思う。開花のあとは台風や大雨にさらされ、花が散り、咲くシーズンは終わりを告げた。雨が降るごとに涼しくなる世間のせいもあり、外に出て様子を見る機会が減ったのだった。

先日「わーすごい!」と声が聞こえた。私は密かに知っていたのだが、ざくろは見事に葉の色を黄色に変えていた。夏ほどに水は必要としないし、ここ最近はやたら雨が降るので熱心に水をやらずとも状態は悪くならない。どちらかというと「関心も薄まり、見る機会もなくなってきたな」と申し訳なさそうに、様子を見ている中で黄色い葉はまだまだ植物というのは魅力的だということを教えてくれた。徐々に伸びる、蕾が花に変化するとは違って、すべての緑が一気に黄色くなるというのはこれはこれで感動が大きい。また、植木鉢にたっぷりとたまる落ち葉も魅力的で、このころが最盛期だと感じた。
このあと葉も散り、枝のみになると本当に本当に関心が失せると思ってこの記事を書いたが、こうして時系列で振り返ると「散った後は芽吹きがあるのか」と次への期待が高まってきた。
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