合唱コンクールてあるじゃないですか。「男子ちゃんと歌って」のやつ。
中学三年生の頃に御多分に洩れず、ちゃんと歌わない男子だったんですけど、途中経過の発表会みたいなので一年生がとても上手くてなんかそれで火がついちゃったんですよね。三年生が。
そしてそこからは「ちゃんと歌ってるからアンサー返せよ男子」に変貌した俺たちのクラスは他所のクラスとバチバチにやりあってそのまま優勝することになった。そのときに先生の誰かが
「3年生はなんて言うか、力で持ってきましたよね。迫力がすごい」
なんて話してたのをまだ覚えてて、やっぱその後にも「下の学年もすごいうまかった」みたいな話もあって、余計にその「力で持っていく」ってことが頭に強く刻まれたりした。
タミヤのプジョー206は、そういう「力で持っていける可能性」を秘めてるキットだと思う。
その箇所はどう見てもインパクトが強く、カッコいいデカール。前後にデカく施されたエンブレムはとにかくかっこいいのと迫力があります。それに加えてこんなにも自社のマークを強く押し出したデザインも見たことなく、独自の存在感で「作る!」という視点から見ると纏う闘気は凄まじく、ネットで画像を見てると大きく見える。
しかも問題なのが、前後に2つあるということ。
この雷神と風神みたいな、二体同時に倒さないとクリアできないボスみたいな存在で、だからこそ惚れる、好きになる、目が離せない、頭をよぎるという唯一無二の個性。前門のプジョー後門のプジョー。
どっちも失敗できないし、どっちかを諦めることはできないというのがまたね。
ずるいよな、それがカッコいいって。
失敗するにしても成功するにしても、手をつけないとこの強さを体感できないから買ってみたんだけど、箱を開けてデカールを見ると、思ったより小さい。これはもう勝ったなと。闘気に負けてない俺。
んでもうずーっとやる。6時間。Netflixのハイスコアガールは全部見終わった。
途中、定着した思ったものがズレたりして頭抱えたり、全てを諦めてしまおうかとかすごい深刻に悩むんだけど、そこで心の動きに目を向けると
「箱を開けたときに小さいって思ったのに、今はとても大きな問題のように見える。自分の心ってのは勝手だなー。どうせこの後も勝手に心は動くんだから続けよう」
という最高の精神状態を手に入れて貼り続けました。
こうなってくると、失敗しても普通に直すし、似た色の塗料買ってレタッチすれば良いとか思い出すからそのままスルスルスルスル進む。定着が悪い曲面はスパッとカッターで切ったりして。
それで出来上がった姿ってのは手をかけただけであって、というより、手をかけないと押さえつけられないものをなんとか形にしたという様子で、静かに燃える平常心が宿った見た目。凄みがある。
これはやっぱりこのプジョーのマークの取り扱い方が生み出す魅力で、作ってよかったなって思う。
とにかく力で持ってく。真剣に形にし続ける。それで「できたー!」とか言ってるけどこれ、貼ってないデカールがまだまだ細かいの結構あったりする。それでも
「おお!できてる!」
てなるんだけど、それが合唱コンクールで先生が「力で持ってきましたよね」って話したことと同じだよなって。
多分先生は一、二年生のが歌としてはうまいけど、何とかしてやろうって気持ちでそのまま俺らに勝ちをあげざるをえないことをそういったんだろうて思う。
こういう、採点しにくい何かが魅力の力作って、本当の何かは作った人の気持ちの中にだけあって、それが結果になるのは楽しいし、特にこのタミヤのプジョー206はそういう果たし合いのような、熱気と熱気がぶつかるような、なんかそういうジリジリとした鍔迫り合いみたいなテニスのいつまでも続くラリーみたいななんかそういうのが詰まってるので、ぜひ作りましょう。
タミヤ 1/24 スポーツカーシリーズ No.221 プジョー 206 WRC プラモデル 24221
- 出版社/メーカー: タミヤ(TAMIYA)
- 発売日: 2006/10/04
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