ああ、今日はプラモデルの色について話そう。
色。そう色だ。色というのは非常に扱いが難しいが、楽しい分野だ。
特に今は、黒を白にするようなことが簡単になったし、今後ももっとそういうことは進んでいく。きっとムラなく、すぐに色を塗る事自体もいつか可能になる。
そうなると色を塗ることはもっと簡単で楽しいことになる。
ただ、色を取り扱うことの難しさはそんなに変わらなだろう。ここが難しい。
例えば今、俺達がポケモンGOにでもハマっているとレッドはほのおのレッドになってしまうし、帰りに寄ったスーパーでトマトが特価だったらきっとその瞬間のレッドはトマトのレッドだ。もちろんりんごでも構わない。
ただ、それぞれのレッドは纏うフレーバーが異なる。ほのおのレッドは動きがある可能性が非常に高い有機的なシェイプで、まさにメラメラと燃える様子。一方トマトはどうだろう。丸く、コロンとしていてギュッと詰まった感じがする。
同じレッドでもこんなにも違うというのは当たり前の話なのだが、これは色を取り扱うときに注意深く観察する必要がある。
「俺はその色に塗ることで、何を、表現するのか」
ここに塗装の楽しみや、あるいはそれをしないことの楽しみがある。
俺が、エレールのトラクターをネイビーに塗ったのは、シタデルカラーが丁度使い切れそうだったという備品的な観点が一つ。加えて、ロードスターと色を合わせたら良いんじゃないかというのも一つ。あと一つは最後に話すのでここでは待ってほしい。
上記の3つの理由でネイビーにしたのだけど、その前に何色にしようかは結構悩んだ。
例えば
・赤 ✗部屋に赤い塊は主張が強すぎる気がするのと農機感が強く出すぎてしまう。
・緑 ✗ミリタリー感が出てしまう。トラクターのシェイプや構造がきっとそうさせてしまうのだろう
・オレンジ △これは一瞬、部屋に飾ってあるポルシェのイェーガーマイスターと同じ色にもなるので整合性があるように思えたが、このトラクターをオレンジにするとたちまち工事現場のフレーバーが漂ってしまうので断念
・黄色 ✗オレンジと同様で建機の香りがしてしまう
・ピンクや紫など色相環のそっちのほう ✗✗トラクターの雰囲気と合わなすぎる。特に今回はフランスのエレールというメーカーなので個人的に特にそう思う
・その他の色 あんまりイメージ沸かず
という悩みがあった。特に赤緑オレンジは元気の良い色なのにトラクターが持つフレーバーに合いすぎてしまうのが困った(今回ははっきりした色で塗装するのが楽しみだったので甘い中間色というよりはパリッとした色を使いたかった。なので選択肢は自ずと絞られていた)。ざっくり言えば赤は農機の赤。緑は兵器の緑。オレンジは建機のオレンジ。緑は検討の余地はあるが、葉っぱ感が出てしまうのがどうか。タイヤのオレンジに対して緑だとかぼちゃになってしまうし。黄色だとたんぽぽだし……とまぁスコンと抜けないのが現実だった。ミントグリーンとかそういうのが良いですかね。爽やか過ぎる?
この検討自体は、改めて文章に起こしてみると形の持つ属性と、ある程度意味のある色を自分で考えて塗るためには必要な過程だとよく分かる。
色は色そのものが持つイメージと、それを塗るものが持つフレーバーとの組み合わせが興味深い結果をもたらすのが面白い。
特に、今回のように好きな色に塗る!という場合はそうだ。
「好きな色」と言いながらもキットにある程度引っ張られてしまうし、そこに特に策もなくトンチンカンな色を置いてしまうとこれはかなり難しい。
仮に俺の部屋がピンクで包まれていたなら、もちろんピンクは、ありだ。ピンクで塗る意味があるから。
あと、先程あげた理由の残りの一つについて。
それは得意な色で塗るということだ。これは、私の場合はネイビーがそうなのだけどデニムが好きな分、色に対する解像度が高い。なのでムラなどの解釈は非常に広くなる。
もっとわかりやすくいうと色に対して贔屓目になってしまうのだ。
デニムが好きでネイビーに塗られたトラクターはコットンやインディゴの生産地で使われているものかもしれないとか、他人から見れば適当なことそれらしく話すことができる。私の場合は部屋にデニム素材のぬいぐるみがあるので変な説得力もある。
その色を用いると仕上がりもそうだが、出来上がった姿を愛することはとても容易く行えるので、部屋にあることにとても満足できると思う。