「肌を表現するのに水色を塗ることは、センスがあるように感じる」
こう思ったのは私が、肌を表現するのに当たり前のようにピンクを下地に塗っていたからで、その理由は「ピンクを下地に塗ることは、血色がよく見えるからである」というセオリーをその通りに受け取っていたからであり、それは言われた通りのことを、根拠を気にせずに黙ってやっているような感じに違和感を覚えていたからだ。私にとっては、そのような自主性のない肌の表現と対極にある行為が水色を塗ることであった。
ふと漫画を読んでいると、肌の色味を調整するために、水色や緑色、紫色などのクリームを肌に塗るコントロールカラーという化粧道具について触れられていて、それを読んだ私の頭の中はコントロールカラーで一杯になり、すぐにそれがどういう効果を持つのか調べることにした。そこには「コントロールカラーの水色は透明感を出す効果がある」と書いてあった。
理屈はというと、肌に塗ることで肌の赤みを水色が打ち消すというもので、補色関係にある二色が重なり合うことを利用して色を調整しようという発想であり、薄く塗るだけでも十分効果があるのでメイクが厚くならず、透明感を維持できるというメリットがあるようなので、早速フィギュアの肌色表現に取り入れた。そうして、下地を水色に塗ってみたところ、当然のように血色の薄い肌が出来上がった。
ここでようやく、ピンク色を下地にすることで得られる血色の良さは、たとえ「血色がよくなるから」という理由を知らなくても、一定の満足感があり、「このレストランでは絶対これを頼め」というようなわかりやすさがあり、だからこそセオリーとして認識されているということに気づいた。
ただ、この日の私の手元には蛍光オレンジがあり、偶然にも青系でまとめられた胸像があった。蛍光オレンジは彩度が高いので透明感を失うことなく血色を補うには十分な色であり、しかも青と補色関係になるので「青っぽさ」を打ち消す色で、胸像全体の彩度が低い中では良いポイントになりつつ、オレンジ自体が「進出色」でもあるので盛り上がっているような立体感が出るのではと仮説を立てた。
それに従い、頬の部分と胸の部分にに塗ることで立体感を加えることにした。結果はというと、血色がよくなりながらも強調したい部分はしっかりと盛り上がって見えるようになった(特に頬の部分がグッと明るくなったので可愛らしくなった)し、オレンジ色が入った分、全体的に見ても青い部分との対比が良くなり、びっくりするくらい色気が増して、結果的にエロくなりすぎてしまったが、胸のあたりや頬の部分にほんのり残る青色がどこか透明感を感じさせ、涼しげな印象になった。
下地の色が持つ雰囲気の良さを上手く活かすことができる場合は、肌の表現に水色や薄緑、紫などがほんのり覗くというのは効果的であるようだ。
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