Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

他人の家の猫を塗る

 

伊藤若冲は鶏を飼い、それを観察して絵を描いたといわれている。手元に魅力的なモチーフがあり、創作意欲の赴くままにその対象を捕らえようという行為は、とても素敵な生活だと思う。

 

ワンダーフェスティバルで、猫のフィギュアを手に入れた。3Dプリンタで出力された小さな猫。もっちりしていて、かわいらしい。買ってきて、知人に「良いだろー」なんて話していたら、「ああ、彼女の家の猫を手本に塗るのは楽しいだろうな」とふと気付いた。

 

「猫の写真を送ってくれ。それを手本に塗装するから」

 

そんな要求をすると、ポコポコと写真が送られてくる。その後に「インスタのうちの猫のハッシュタグ見たほうが早いかも」といわれたのでインスタで検索するとたくさんの猫の写真が出てきた。写真を眺めていると「三面図が欲しいな」と素直に思った。それに加えて、撮影者のクセなのか、猫が撮らせてくれないのか、どうしてもわからない部分が出てくる。特定のアングルに偏ってしまっているのだ。

 

なので、わからないところは何となくつじつまが合うように塗る。それでもわからないところは想像で塗る。今、傍らにモデルとなっている猫がいたら抱き上げて模様を確認したい。ずっと一緒にいたら、じっくり見なくても色柄がわかるのだろうか。

 

 

「できた。やばい」

 

なんて言葉とともに、ひとまず形になったものを送る。「すごい」「泣ける」と返事が返ってきた。嬉しい。こちらとしても塗装を通じて、モデルへの探求心がグッと高まっているので「実は首の後ろの模様がわからない」だとか「右足の後ろはどうなっている」みたいな話をして追加の写真をお願いする。数分後、何枚か画像が送られてきて「じゃ、また」と返事を返して数日後にさらに塗り込む。

 

そんなことをしていると、猫の目の構造に関心が向いたりして観察がさらに深まってくる。どうにもキャラクターっぽい目になってしまうな……と思いながら描き直したりして、徐々に「知り合いの猫っぽいもの」が「知り合いの猫」に近づいてくる手応えを感じる。

 

 

「できた。マジでやばい」

 

と二回目の写真を送ると、やっぱり「泣ける」と返事が来る。「でき上がったら、勤めている店に飾ろう」みたいな話をしていると、彼女から追加で画像が送られてくる。「鼻が、もっとピンクなの」なんて。せっかくなので「顔を横から見たときの柄がいまいちわからんのよね」と聞くと、さらに画像が送られてきた。明日か、次の週末には完成するだろう。

 

 

今週の物販

 

 

 

 

 

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