Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

夏の日陰の涼しさが、テーブルクロスの気分を作る

 

飯を食った後にスーパーマーケットで食材を買おうとするとどうにも食指が伸びず、なんだかよくわからないものを買ってしまう。「〇〇が気分」というフレーズがあるが、腹が満たされた状態は「食材を買う気分」ではないのだろう。

 

今年はとにかく暑い。なので、夏っぽい涼しさを演出しようとして太めのストライプのテーブクロスを買った。ただ、一月としないうちに駄目にしてしまった。原因は珪藻土のコースターの汚れをハイターで落としたからだ。そのように落とすと良いと書かれているのを見たので、キッチン泡ハイターを使ったら本当にきれいに落ちた。そして、水ですすぎ、十分に乾燥させた。ただ、乾燥が足りなかったのだ。

 

「乾いてますよ!」といったツラをした珪藻土のコースターをテーブルクロスにおいて使っていた。そうしてしばらく経ってふと目をやるとロの字にぼんやりと脱色されているテーブルクロス。そんな模様が2つある。すぐに原因がわかった。表面は乾いていたけど珪藻土の深くに染み込んだハイターが蒸発したのだろう。テーブルクロスはテーブルを汚れから守るという機能は保持していたが、華やかに彩る役目は果たせなくなった。

 

次の日、さっそく代わりののテーブルクロスを買いに行くことにした。といっても実際は生地屋に行って1.5メートルほどに気に入った生地を断裁してもらうので、テーブルクロスというか布を買っているだけなのだが。

 

 

生地屋には当然ながら様々な色柄のものがある。それに素材もいろいろだ。買うときに汚れの目立つ目立たないも考えるが、大事なのは気分だ。そういう意味ではストライプのテーブルクロスは「今年も夏が来たぞ!」という気分のもとに購入した。典型的な、ビーチを感じさせるストライプというか。ただ、こうして夏を過ごしてみると、今年はとにかく暑かった。実際、出社するだけでスタミナが削られるほど。

 

そのせいか、ビーチを思わせるストライプよりもどういうわけか幾何学模様の整然さに打ちっぱなしのコンクリートに触れるような、カキンとした冷たさに魅力を感じる。グイッと生地を棚から引っ張り出して、ラベルを見ると「モロッカン柄」と書いてある。どうやらモロッコで使われるタイルの形をイメージして作られた柄のようだ。

 

これと、魚の柄、北欧風のゆらぎのあるタッチ描かれたマスカット柄と、どれが良いのかだいぶ悩んだ。魚の柄も野趣あふれる雰囲気で面白かったが、特に面白かったのはマスカット柄の方だ。北欧風のものは店内を見ると一様にゆらぎのある絵柄が多い。冬の寒さを感じるような気もしたが、何より暖炉の炎のゆらぎのような暖かさを感じた。「これは寒いときに見ると、暖かく感じる柄なんだな」と冬の室内と室外における寒暖をすぐに理解した。

 

モロッカン柄は、まさに反対だ。幾何学模様を均一な線で描いている。これは夏の暑さの中における日陰の涼しさだ。これをテーブルに敷き、氷を入れた麦茶でも飲めば最高だろう。それに、容器が作る輪っかの水シミもぴったりじゃないか。そう思い、黒地に白線で描かれたモロッカン柄の生地を購入し、帰宅したのであった。今年のとても暑い夏を過ごした、私の今の気分はこの柄のようだ。

 

今週のお題「最近壊した・壊れたもの」