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毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

まとまった休みに無理矢理本を読む。パワー読書について

 

具合を悪くしながら本を読むというのが読書体験としてどうなのかはさておき、まとまった休みの期間に「パワー読書」を私は行う。

 

パワー読書とは読むのに時間がかかりそうな本を、無理矢理読み切ってしまうという行為だ。無理矢理というのは「気合で」という話でない。コーヒーなどによるカフェインと、チョコレートなどによる糖分に頼って読むということだ。私はコーヒーを飲むと頭痛、腹痛、冷や汗が止まらないといった様々な反応のうち、少なくとも1つ、多いときはすべてが身体に発生し具合が悪くなる。エナジードリンクは飲み過ぎたら昨年肝臓の数値が悪化したので、使えない。ただ、それでも読む。

 

パワー読書のメリットは一気に読むという点にあると思う。なので、1日か2日程度で読み終えることが望ましい。なぜこれが良いのかというと著者の書きたかったことを途中下車無しで一気に吸収できるからだ。終盤になるに連れて、それまでに書かれていたことが、層になって重なっていくことが感覚的にわかりやすい。

 

欠点としては感想の抽象度が極めて高くなるというものが挙げられる。例えば「どんな本だった?」という質問に上手く答えることが出来ないことがほとんどだ。ある程度の日数をかけて区切って読んだ本の場合は、複数のドキュメントとして頭の中に格納されるイメージが私の中にはある。しかし、パワー読書で得た知識は頭の中に一つのドキュメントでインストールされるような感覚で、細かく網羅するというよりは、俯瞰的な形式で覚えるといった形になる。なので、どんな本かを答えにくい部分があるのではと考える。

 

 

どんな本が望ましいのかを考えてみようと思ったが、難しかったので、パワー読書をするきっかけを交えながらどんな本を読んだのか話をする。最後には具体的な書籍のリンクも貼る。

 

私はここ数年はプロジェクト管理に興味関心があるので、振り返ってみるとそういった本がほとんどだ。それは、仕事の進め方に関心があったからだとも言える。なぜ関心が湧いたかというと、その場その場で使える"スキル的なもの”よりも、レイヤーが上の知識を欲したからだ。

 

他人と仕事をすることを考えた場合に、自分と相手の仕事の進め方が正しいかどうかを知りたかったし、どちらも正しくないかもしれない可能性を探りたかった。それに、仕事のやっかいなところは「特定のシーンを指す言葉」が少ないところだと、今の職場に来て感じていた。

 

例えば、サッカーで言えば「ダイアゴナルラン」という選手が斜めに走る動きがあるが、これを「ダイアゴナルラン」と言うことで、今まではそれが出来なかった選手ができるようになる。それに、無意識で行っていた選手も再現性を持った動きとして習得することが可能だろう。

 

 

現職ではそういう言葉があまりなく、漠然としたやり取りでの進行が多い。仲が良いから上手く行ったというような、個人的な関係が成果につながることもあるが、それはそれで「仲良し同士だから成果物がよく見える」というだけな気もする。それに、その波に乗るとしたら付き合いが良い人間にならないといけない。そうなると「結局はコミュ力」という答えに着地してしまうし、仕事終わりに飲みに行くとか一緒に昼飯に行くとかそういうことが「仕事上のコミュ力」になってしまう。自分の時間ってなんだろうと思いませんか。


というわけで調べても答えの出ない問題に対して、本屋で見つけたのがプロジェクト管理やソフトウエア開発の本だった。ただ、この手の本は抽象度が高く、読むことに苦労する。ましてや自身の仕事で同じことが起きるとは考えにくいので「本当に役に立つのか?」という疑問も湧く。そうすると、読むことが億劫になる。なら、一気に読んでしまえ、というのがパワー読書の始まりであった。

 

 

したがって、物語よりはハウツー本のような、わかりやすくいうと「勉強のための本」がパワー読書に適していると私は考える。ソフトウェアエンジニアでもないのにオライリーの本が置いてある棚であれやこれやと探すのは大変だったけど楽しかった。トム・デマルコの本はキャッチーなタイトルと、可愛らしい表紙の絵で思わず手にしてしまう魅力があった。

 

いくつかの本を読んでわかるのは特定のシーンに対して「ああ、これは〇〇だな……」という理解が得られるという面白さだ。そこから「△△が必要だな」というところまで理解が進めばもう十分だ。それを仕事に関わる何人かに話をしてみる。反応の良い人が見つかるので、その人には自分が今何を考えているのかを話す。そうすると仕事を通じたコミュニケーションで仲間が生まれる。私はこういうものを仕事上のコミュ力だと言いたい。

 

先日、仲間である先輩にとぼけながら「もしかして僕って仕事進めるのうまいですか?」と話をしたら「いや、めちゃくちゃうまい」と言ってくれた。そこまでくれば、パワー読書は役に立ったといえるのではないか。私は、仕事の進め方を欲したが、人によっては話し方かもしれない。感覚としては「今ここで生きる具体的なスキル」というよりは、もっと根源的な問題に触れるための何かを読むのが良いと思う。

 

 

 

 

 

 

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