模型を作るときは、どんな世界に俺らは入るのだろうか。
超音速でぶっ飛ぶジェット機、うるさいエンジン音を鳴らしまくる車。
駆動音がうるさい戦車。まぁ、何でも良い。本物そっくりに作ってその時代に没入してもいいし、でっちあげたその世界を誇らしく語っても自虐的に「なんちゃって」なんて遊んでも良い。とにかくなんでも良いが作ってるときは最近あまり使われなくなった「世界観」を生み出すために何かをしているような気がする。
私は大抵、紙の中にいる。印刷物の世界。ビンテージのポスターとか、そういうの。
お洒落だよね。お洒落なのが好きだから仕方ない。
私にとって最高のデザイナーのニクラウス・トロホラーは明快な色使いと卓越したビジュアルセンスでいつ見ても最高の作品を今も作り続けている。私は氏の作品に多大な影響を受けているし、19のときに出会ってからガツンとやられ続けている。
そのせいか、シンプルに色を塗ることが面白いと思うようになった。
もっと言えばそういう方が、より効果的な気すらする。模型の面白さがよく出ると思う。
最初に部分的に一色で塗れば良いんじゃないかと思いついたのはエレールのシトロエンのHバンを作ったとき。
これは非常に効果的だったと思う。キットのパーツ分割との相性がすこぶる良かった。
こっちもなかなか悪くない。エブロの2CVフォルゴネット。
白には少しミルキーな色が合います。荷室と車体全面のボディのつなぎ方注意です。どうにも説明書とにらめっこしても正解がわからず、結果的にミスりました。
これはレベルの1/32のVWバギー。ボディをザクッと黄色く塗りました。
精密というよりは雰囲気が楽しいプラモなのでサラッと塗ってムラを楽しんで遊びましょう。
このときになぜ失敗したのか、数日前にようやく分かる。
そして最近のタミヤの1/48、シトロエン11CV。これはかなりうまく言ったと思う。
水色も白を多く足して結構ミルキーにしたのがよかった。ボディと同じくらいのネイビーとかも有りだけど、それは俺はやらないかな。他にも黄色とか、オレンジとか、どうでしょう。淡い緑もいいな。
こうして比べて見ると「一色で塗る」ということはつまるところ、成型色と2色になるということで、さらにクリアパーツがあったりタイヤがゴムだったりすると3色、4色と増えていきます。そして、失敗と言われてしまった飛行機は、なんと驚くことに、一色で塗ったら、一色になってしまったのです。
どこを塗ると効果的かを考えて塗ろうと思うとこの遊びは急激に楽しくなります。塗るのが面倒だから塗らないとか、ここはパーツが分かれているから塗りやすいとか作業上の問題と見た目のバランスが楽しいです。
私はカーモデルでそれをやるときは大抵はシートとホイールを突飛な色にします。ボディは成型色次第ですが、もしボディを塗るのであればシートは塗らないほうがいいかもしれません。そうやって悩みながら作るのはリアルに仕上げることとは違う頭の使い方をします。そして、ときに計画的に、ときに即興的に塗ることも楽しむコツの一つです。
今思えばこのシトロエンの背面のスペアタイアの部分は水色で良かったような気もしますし
フロントライトは成型色のままでも良かったかもしれません。
こういった遊び方はまだまだあまり例が見られていませんが、面白い発見があったりもします。例えば、シートを突飛な色にすると、成型色のハンドルが目立つようになります。これは色と色の当たり前の関係性を教えてくれます。同じ色は、紛れてしまう。
また、そうしている間は私はとても自由な気持ちになります。
何色も取り扱うと、終わらない仕事のように頭を抱えてしまいますが、一色をどこにどう塗ろうかと考える場合は少ない手数で最大の効果を出そうと思考し続けることになるので、それがハマったときの楽しさは独特です。
また、そうしているときは実車のようでなければいけないとも思いませんし、なにかのテーマに沿わないと行けないような気持ちにもなりません。そして出来上がったものはとびきり明快で、イケてる模型なのです。
こんな楽しい遊びが、あったのかなかったのかはわかりませんが、塗るのがめんどくさいという方は一色塗るだけで成型色が豊かに見えるという経験をするのも悪くないと思います。
今日の物販
タミヤ 1/48 ミリタリーミニチュアシリーズ No.17 シトロエン 11CV スタッフカー プラモデル 32517
- 出版社/メーカー: タミヤ(TAMIYA)
- 発売日: 2005/07/02
- メディア: おもちゃ&ホビー
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こいつはまた作ります。
タミヤカラーはパキッとしている色が多いので白を足して少し淡くすると馴染みが良いと思います。
スカイブルーにホワイトを混ぜるのがブーム。