色を塗ることを覚えると間違いなくプラモの世界は広がる。広がるというか、プラモという身体から手がにゅっと伸びて、プラモじゃないものを掴みだすようになる。
かたや、色を塗ることにこだわりすぎるとその世界はじんわりと閉じていく(と思う)。あれをこう塗ろう、見えないけどこうしよう、本物はこうだ、昔のこれはこうだ。こだわりが詰まった世界を再現するのは楽しいが大変で、大変すぎると飽きるかできない自分に嫌気が差す。
色をどう塗るのかは、難しい。ただ、色を塗ろうと思うプラモに出会える可能性はかなり高いと思う。「塗ってみてください」とか「塗りやすいですよ」とか言われなくても塗りたくなる。これは文フリ東京で出す「発見と模型」でも書いているが、組み立てるという作業を積み重ねると全く違う作業へ関心が向くから不思議だ。向上心。
そして、塗りたくなるプラモがあることにこの世界の広さと深さを感じる。
塗りたくなるときにどう塗りたくなるのかも記しておきたい。
もちろん、本物のように塗る方法もあるが、それと別で好きな色に塗ることもある。
好きな色は、好きな色だ。どんな色だろう。
私はこの水色はサックスブルーのオックスフォードシャツをイメージした。
これは微妙な茶色。マロングラッセという色を再現したかったが、結果的にトープに近い色になった。好きな色って自分のどこにあるのかを考えるのも面白い。服や、野菜、果物。お菓子のパッケージ。なんでもある。それに、手を伸ばせる。
「あ、これいいな」
と思う色で模型を彩るのは悪くない。
塗りたいと思えるプラモは本当に、本当にある日突然出会う。
そうしたら、いつかそうしたら、好きな色に塗って欲しい。そして、塗ることは実のところ一度手順を覚えると塗料をスイッチするだけでなんでも出来ることに驚いて欲しい。塗装という手が、ありとあらゆるものを、掴んで、模型に塗りたくっていく。
それが楽しい日を覚えて、塗らない日も忘れない。
そうして、プラモをたくさん楽しんで日々を過ごしてみてはどうでしょう。
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