トンガリ靴というのは文字通り先が尖った靴であるがその特徴的なフォルムは正に時代の徒花といっても良いような存在だった。
アクの強い独特の存在感ながらもわかりやすいルックス、個性を持っているため沢山出回った(様な気がする)。特に私が学生時代の頃は「何だあのかっこ悪い靴は」なんて思ったものだが、きっと多くの人がそう思ったであろう。
当時を振り返るほどの記憶は無いが「あの靴は何か、かっこの悪いものだ。自分とは住む世界が違う人のものだ」と心に刻まれたことは確かだ。
そのような靴の仲間、というか祖先にきっと当たるであろう靴が特にイタリアで生まれた記憶があるがそれらは今見ても尖ってはいないが細長い。そしてその細長さが実に程よいバランスで作られているものを見かけることができる。
特にここ数年はテーパード、スリム、ストレッチと割と身体の線を良く見せるようなものが多くジャケパンスタイルの自由奔放さも相まって視覚的にスリムに見せる効果がある細長い、程よいロングノーズの靴はうってつけに思う。
ただ、タイトルのトンガリ靴アレルギーからか敬遠されているのか需要が無く、あまり美しいロングノーズの靴を見かけることが少ない。
実際に履いてみると結構スッと決まるのだけれど、今その辺のバランスが良くてメジャーなのはSANTONI、MAGNANIくらいか。ベニーニョとかも選択肢に入るか。
割とこのアレルギーがコーディネートに於けるブレというか一貫性を損なう、外しというよりはハズレみたいな状態を招いているような気がするし、幅を狭めてしまっている感じもする。ギア的なツラのアウターなんかが真冬に強く推されるのも靴との相性なのかなとかなんとか。