今年は暑い日が多く、真夏日なので涼しいという皮肉な事態が起きるほどだ。
外出すれば汗をかき、かと思えば電車内や施設内は冷房がガンガンきいている。
「本当の夏バテを味わったことがないのか?」と驚くほどに内外の温度差がひどく、苦労した。とはいうものの今年は外が暑いので温度差を縮めるためには室温を上げるしかなく、それはそれで良い手とは思えない。
私は学生時代に冷房を強く効かせたがる勢にやられ露骨に体調を崩したことがある。夏バテとはこういうものかと驚いたものだ。気持ち悪い日が続き、汗もあまりかかなくなりとにかくしんどかった。それから夏は半袖で安易に暮らせない季節となった。上着を常に持つようにして、対策を打っている。
そんな夏との過ごし方に今年は帽子が加わった。昔は結構かぶっていたが、日差し対策というよりはオシャレのためにかぶっていた。なのでそれが面倒になった際にほとんどのものは手放したので、新たに買い足したということになる。
このアイリッシュリネンの薄いピンクの帽子はセールで手に入れたもので、青もあったようだが売り切れていたのでピンクにした。最初はどうだろう?と思ったが夏に被るには色合わせの面でも比較的いろいろな色を使うし、まぁ楽しくまとめられるだろうということで購入した。というか暑いので良い帽子が欲しかったというのが先にたった。
ここでいう良い帽子というのがなかなか難しい。いろいろと候補を立てる前に気持ちが急いてしまってこの帽子を買ったがその後に候補が浮かんで一通り試したがツバが作る日陰の大きさはこの帽子が一番だった。
日光に対して顔がすっぽり隠れるので被っているのと被っていないのでは暗さが違う。CMYK印刷用にとキャリブレーションをしたPC画面がストンとワントーン暗くなる感じだ。
他の帽子もある程度影はできるものの、この帽子まではいかない。
こうなってくると似合う似合わないとは別のところでこの帽子の長所が出てくる。また、興味が湧いてこれ以上のものはないのかともっとアウトドアに振った帽子を試そうとするがそれはそれで服装との調和が取れない。機能性素材の風合いも悪くはなく好きだが、ツバがデカくなればなるほど機能面が悪い方向に作用し服装に合わなくなってくる。
最終的にこの帽子が、見た目にも日陰をつくる力においても一番ということになったので「ピンクだろうがなんだろうが合わせられるだろう」と読んだのは正解だった。
特に白眉なのは日陰をつくる力もそうだが、このアイリッシュリネンという素材が生む軽やかな風合いだろう。こればっかりはちょっと良い帽子屋さんで探すか何かしないと見つからないようで、適当に「暑いから買おう」なんて思って探す程度では似たような素材感の帽子を見つけることは出来なかった。
またいつか、私がこの暑さを軽視して帽子を手放そうとする日が来るとは思うがこの帽子の良さはそれをさせないのだろうと思う。
それにしても、こういった帽子にたまに付いているこのポケットってなんのためにあるのだろうか。