少し前、大ファンである河合克敏先生の本「河合克敏本」が出たので嬉しくて買ってしまい、「そういえばとめはねっ!って読んでないな。というかこの本を見てたら読みたくなってきたわ」と思い、電子書籍版を全巻ダウンロード。
※今は紙の本は入手しにくいのでKindleで買いましょう
書の世界を14巻通して、主人公たちの成長に合わせて知ることができた(そして変わらない、河合克敏先生の「楽しさ」を追求し続け、そこから生まれる成果は人の心を動かす。という姿勢に泣く)。そうして私は顔真卿を知ることになった。
「顔真卿ってこれなんて読むんだろうか?」と漢字の並びに疑問を持っていたのはまだとめはねっ!を読む前の仕事の帰り道。東京メトロの上野駅にポスターが貼り出してあるのを帰り道に目にするので、字面はなんとなく頭に入っていたが、作中に出てきて、彼がどういった人物で何を成したのかを知った。
そこで、ポスターの話である。
このポスター、英語で
「UNRIVALED CALLIGRAPHY:
YAN ZHENQJNG AND HIS LEGACY」
と書いてある。
私がハッとしたのは文章の内容ではなく、この書体。
これはTrajan(トレイジャン)という名前で約2,000年前にローマに建てられた「トラヤヌス帝の碑文」をベースにしたもので、かなり有名なもの。
私が最初に書体、タイポグラフィについて専門学校で教わり、初めてセリフ体とサンセリフ体などの分類の中で更に細かく分けられていることを知ったときに出てきた書体なので非常によく覚えている。
わかりやすい判別方法はQのやたら長い棒だろう。やたら長いせいで文字詰めの関係で隣の文字の下まで侵入してしまい、漢字の部首のしんにょうみたいになっている(そこが面白いのだが)。
この碑文をベースにした歴史の香り漂う書体を、顔真卿展の英語表記に使っているのが良い、。拓本や碑文が当たり前のように根付いていた中国の文化背景(行ったこと無いし、とめはねっ!の話だけしか知らないが)にばっちり合っていて、これ以上にない取り合わせだと思う。
ただ、これが「果たしてすごいのかどうか」というと案外そうでもない気もする。なにせ顔真卿やここで副題に挙げられている王羲之などを調べるか、あるいは私のようにとめはねっ!を読んで書道の世界をグルーっと覗いてみるかすると、まず中国側の事情はよく分かる。加えてTrajanについても私が専門学校で最初に習ったくらいだから、知識としては常識だろう、と考えると必然の組み合わせを起用したまでに過ぎないということになる。
なので、すごいのか?と言われると「どうだろう?」と思う。「良い」とは思うが。
しかし、反対にこうでなかった場合を考えると怖い。
調べればわかること、まず教わるであろうこと、この基本的な2つを見落としていたらと思うとゾッとする。だって、私ですらわかるほどの取り合わせなのだから、ここで私がデザインしてこのチョイスが出来なかったら……怖い話だ。
あと、これはTrajanじゃないです、と言われたときのために「Tarjan風のフォント」ということにしておきたいそれと、Trajan Proとも言います。
そして祭姪文稿、直に見てみたい。
会期が短いのでスタートしたらすぐに言ってしまうのが吉と思われる。
チケットもかっこいいといいな。
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前衛書に燃える島奏恵が真面目で熱くて良いです。
自分に似たものを感じる(何故か後半メガネのフレームが変わる)。
大槻藍子も良いですね。この人も真面目というか、本気というか。
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河合克敏ファンなら買わないと損します。めちゃくちゃ面白いです。
それと、とめはねっ!に関しては文庫本を是非出していただきたい……。
お願いします。