Re:11colors

だいたい木曜更新です。革靴、模型、日常。

レンズの中の多様性

「模型を写真に撮る」という行為はこのSNS全盛の2020年においてまったくもって普通の行為になった。TwitterInstagramfacebookと既に用意された川に笹舟を流すように、そしてそれを眺めるように当然のように写真を見ることができる。

 

その中には、作業場で作り立ての余熱を持って撮影されたもの、天候や時間帯にこだわり屋外で撮影されたもの、あるいは白い背景、なんとなく部屋にポコンッと置いて(そう、私のことだ)……などとさまざまなスタイルがあり、撮影という行為自体にもある程度の技術や演出力が求められたり、仕上がった写真の空気のヒダを唇の先や鼻の頭をくすぐられるように感じる必要がありそうだ。

 

また、「飛行機模型はコックピットにピントを合わせろ」という話をどこかで目にしてから私の模型写真も良くなったり、あるいはピントがどれくらいの範囲で合うと模型の大きさをうまく表現できるかなど、感覚ではなく技法的なものも少し知るとそれはそれで綺麗に撮れるようになったりと、感覚と理論の2つの車輪をうまくコントロールして突き進んでくと話が早い。

 

この感覚と理論はこうして文章に記す上で分けているに過ぎないことでもあるのだけども、例えば「綺麗な場所で写真を撮ろう」というアイデアと「その模型に縁のあるものと一緒に撮ろう」というアイデアはどちらも興味深い。前者はどちらかというと「模型寄り」のアイデアで、例えば外で本物のように撮るというのは、模型を本物に寄せたいという感覚とかなりリンクする。

 

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一方後者はというと少し理論寄り。イギリスのものだからイギリスのものを置いたらどうか。私はボルボの240マカオギアレースウィナーを深夜特急の1巻と一緒に置いたがそれはマカオが舞台だからである。この方法は模型にどういう要素が付き纏っているのかを読み解く遊びでもあり、模型そのものをオブジェ的に楽しもうじゃないかという考え方で、「素敵な空間作り」に重きが置かれていると思う。

 

この撮影方法は一見、技法が確立されていそうだがまだされていないと思う。ただ、確立しようとしたら結構簡単だとも思う。積まれた本の上に模型を置くとか、ミニカーをそばに置くとか、観葉植物、皿などと一緒に撮るなどやり方はいくつかあって、そうする理由がわかりさえすれば良い(それがわからなければわからないのだが)。

 

模型は最初に書いた通りで、一般的な作り手でさえ撮ることを意識した状態になったと思う。だからこそ、本物のように、綺麗にだけではなく部屋に飾っているかのような、あるいは部屋に飾っているそのままを写す遊びがもっと掘り尽くさせるといい。