「これは大きいかもな」と思いつつ、好奇心が勝ってタミヤの1/35のT-55を買った。
箱を開けたら案の定でかい、というか箱がでかい。ただ、箱がでかいということは結構な満足感もあって、例えばREDWINGやTricker'sのブーツなんかを買ったときに近い。重さとか大きさとか、そういうのが満足感につながる。
説明書もなかなかの厚み。ホチキスで中綴じ製本されており、工程数も多そう。いくつかのタイプが作れるということなので、実際にどんなものかなと説明書を読んで作りたいタイプ、というか一番手間がかからなそうなタイプに必要な工程だけ蛍光ペンで囲む。「案外手順は少ないな」なんて、思いながらパーツを切っていくことにした。
私は戦車模型はあまり得意ではない。忘れてしまう穴あけ、どっちが上だかわからなくなるパーツたち。一生懸命、アライメントを合わせたのに隠れてしまうパーツ。この辺が難しい。ただ、車体の上に荷物を積んだりすることは好きで庭に草花を植えるような感覚であったり、戦車をステージとしたジオラマ的な作業だと思う。荷物を積んだりして要素を増やし演出することが、車両の外にあるのかそうでないかの違いだから、もしかしたら私はもう、ジオラマを作れるのかもしれない。
そういう意味だと、戦車はかなりのものがパーツとして入っているのでボリュームも密度もある仕上がりが約束されてるのだと思う。戦車本体だけでなく、人や荷物が入っていて、それも物によっては複数入ってる。そう考えるとパーツが多く、説明書が熱いのも頷ける。これが例えば人や荷物が別売りだったりするといちいち探すのも面倒だし、手順としては相当混乱すると思う。私がジオラマを作れるかもしれない理由は戦車を通じて、演出を知れることから来るが、反対に作れない理由は草木や、土を作る術を知らないからである。
知らないというか、道具を揃えよう、作り方を調べようと能動的になれないからだ。こういう作業はどんどんプラスチックから離れていき専用の塗料や土台となる素材が必要になったりするし、マニュアルがないので、説明書に助けてもらいながら一つの塊を作るというプラモデル的な楽しみからはどんどん外れていってしまう気がする。そこにあるのはきっと、かっこいいリアルな戦車を作りたい!という情熱なんだろうなとも思うのだけど。
その点、戦車模型自体はかなりこってりとした美味いものが出来上がると思う。戦車自体がジオラマ的で美しいという考え方は今回T-55を作っててようやく気づけたことで、これくらいのボディサイズだと荷物がかなり積めて(雑具箱が3つくらいある!)、より、その華やかさや賑やかさが魅力的に映る。
大きい戦車は、今風に言うとちょっと高いトッピングがたくさんのラーメン的、昔風に言うとパフェ的だと思う。濃厚な世界を味わいたいときには、戦車なのだろう。
今日の物販