Re:11colors

毎週水曜更新(2021年9月現在)。革靴、模型、日常。

拝啓、ICM

f:id:nero_smith:20210826180914j:plain

 

模型趣味を始めた割と早い段階で「どうにもこれは本物っぽいものを作ることを競い合う遊びらしい」という理解をした。いろいろなものを見ても一様にリアルな表現を追い求めているように見えたし「リアル」という言葉に支えられながらいろいろな道具を使って出来上がることを楽しむ遊びにも思えた。あるいは、作らずとも細かなところを「似ているか、似ていないか」という話をしたりする。そういう認識を最初に持ったので「それ以外のことはないのか?」という意識を持ち始めたし、実際にそれ以外のことについて話されることはなかった気がした。

 

例えば純然たるディスプレイモデルとして作るときに戦車の転輪の傾きが揃っているか、あるいは不揃いであるべきかどうかとか、飛行機の翼の角度がバッチリ揃っているかとか、そういう話をする人はあまりいなくてそれよりも「見たときに似ているかどうか」というような話題が多かったと思う。私は似ているかどうかは見たことがないものがほとんどなので、意識せず、それよりも「模型として綺麗に組み上がっているのか」を気にしていろいろな作品を見ていたし、それを基準に自分の好きなものとそうでないものを見ていた。

 

そんな中「この人はすごいぞ」という方を見つけてしまった。模型として綺麗に組み上がっている(そう思わせるような撮影技術もある)上に、色のセンスがとても良い。似ているか似ていないかと少し違うところに意識がある人だと思った。実物とは違う色の飛行機やトラックには色を通じて表現に迫る面白さみたいなのをすぐに感じさせてくれたし、少年漫画の誌面に昔あった赤と黒の二色印刷のページのような制限された中での美しさがあったし、私が好きなデザイナーのニクラウス・トロックスラーのような色遣いでもあった。一般的な慣習の色にとらわれず、自ら選んだ色と制限の中で表現する。そんな彼が作っていたのがICMのプラモデルだった。

 

ICMのプラモデルは細かなパーツが多くて、緻密。だけども、特に近年のものはキット選択の面白さとあいまってユニークな体験を味わえるキットが多いと思う。作るのは難しいけど見た目が面白いものが多いから欲しくなる。私にとってはなんだか他と違う魅力のあるキットだし、その上かっこいいものを作る人が作っていたのでICMを作ることはかっこいいことだと今も思っている(もう一つ、Hellerも忘れてはならないが)。

 

f:id:nero_smith:20210826180951j:plain

 

最近、初めてICMの飛行機が完成した。できあがったときの大人に近づいたようなあの感じは独特だった。私も少しは追いつけたんじゃないかと本当に思ったし、あの頃「すごい」と思った人が作っているメーカーのものを作れたというのがよかった。

ICM、好きだ。

 

ICMは独特のモチーフ選択もさることながら、1/32スケールで暮らす飛行機の世界をどう描くか?みたいなことをしっかり考えて、乗組員や整備士を作っているのが好きだ。あるいは1/24スケールで古い車を形にすること、それを1/35のミリタリーの世界にも落とし込む姿勢も好きだ。なんて思っていたらWorld's Guards と題して1/16で世界中の警備員をキット化しているのも面白い。

 

ちょっと大人になれた気がするプラモデルメーカーとしてのICM。次は何を作ろうか。

 

今週の物販