組み立てに比べて、塗装は今年の夏まで苦手だった。
苦手な上に「楽しい!」と思えることはほとんどなくて「塗装された完成品が欲しいから仕方なく塗る」という感じ。まず準備が大変だし、筆塗りだと思ったような見た目が得られず、苦手意識しかなくて、嫌だった。塗りムラが目立つ表面を見ていることも、乾燥するまで待たないといけないことも、失敗したときにプラスチックの質感が失われる喪失感の方が大きいことも、全部が嫌だった。それに、戦車や飛行機に指定されている色がどれもキレイじゃないように思えた。今になって思えば塗料によってはスケールエフェクトを意識してややスモーキーな仕上がりになっているという知識はあるけど、私の頭の中の完成図に見合うものはなかった。
ただ、こうして書いてみるとよくわかるのだけど「塗りムラが目立たない」「乾くのが早い」「色がキレイ」といった塗料があればよかったのだ。そしてそれが私にとってはファレホだった(シタデルカラーも一時期検討していたのだけど、整備されたメソッドと自分とそりが合わなかった。多分、私は自由に塗って上手くいくものが欲しかったのだと思う)。ファレホは教えてくれた人の教え方のうまさもあって今まで苦手だと思っていた塗装に自信を持たせてくれるきっかけになった。
ストレスに感じる部分が全部なくなると、今度は塗装の仕上がりについて考えるようになる。ようやく塗装を判定する余裕が出てきた。今までは失敗しないようにするための意識でしかなかったけど、こちらから仕掛けていくような感覚で仕上がりを評価し、何がどうなっているのかを観察し始めた。そこから絵画にも関心が行くようになったし、イラストや漫画の持つ勢いや雰囲気づくりにも気が向きだした。頭の中にあった漠然とした「これがやりたい」というものが形になって出来上がっていく。色のコントロールも私とファレホは相性がいいように思える。
ファレホで塗装するようになって思ったのは、塗装という行為はかなり道具による相性差があるということだ。タミヤアクリルでかっこよく仕上げる人もいるし、シタデルカラーでそうする人もいる。もちろんファレホだってそうだし、筆塗りに限らずエアブラシを含めてそうだろう。とにかく「試してみないとわからない」という状態。
テニスのラケットのガットのテンションがどれくらいの方が自分に合うのかとか、コートのどの辺に立って、どういう風にゲームを組み立てていくのが良いかなんていうのはネットの記事を読んで信用できないからっていくら本を読んでも、一流選手やコーチの話を聞いてもどうにもならない。実際に自分がやってみて初めて自分に合うかどうかがわかる。特に塗装に関して言えば誰かの考えは行動の助けにしかならない。そんな風に塗料には相性があって、それをうまく記したものがないものだから「試すしかない」としか言いようがないというのが現状なのかもしれない。
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