「ミニチュアは手放さない方がいいですよ」
これは、私がウォーハンマーというミニチュアゲームを始めたときに常連のお客さんと話をしたときに、なぜか言われた一言だ。どういう流れでそうなったのかはわからないが、とてもよく覚えている。
ウォーハンマーは自分で組み立てて、色を塗ったコマを使って戦うアナログゲームだ。僕の場合は直営店に行って遊んでいる。このゲームに必要なものはいろいろあるが、ビジネスとして面白いところはコマとルールブックを買うことでゲームがプレイ可能になるという点だ。ウォーハンマー にはいろいろな種類のゲームがあるが大半はこれにあたる。「どうやって遊ぶの?」というとあんまり情報が出てこないのはルールブックが有料だからという部分もあると思う。
この、コマとルールが別立てであるというのがポイントでルールブックは改版が行われる。新しいルールブックが出るたびにコマの能力が変わったりルールそのものに訂正が入るわけだ。それによってコマの強弱が変わったり時折新たな戦力が追加されるので、新たな戦力を補充することはあるかと思うが、それでもコマは使える(過去にいろいろあったみたいですが)。そういう観点からの「手放さない方がいいですよ」なんだと思う。
実際のところ、今年の夏ころからウォーハンマーのコンテンツの中の一つである「ネクロムンダ」を遊ぶためにギャングチームをひとつ作り、そろそろ10回に達しようかというゲーム数をこなした。この段階でもうミニチュアには結構な思い入れが出てきてしまっていて、手放すというのはあまり考えられないなという気持ちだ。
特に面白いなと思うのは使えば使うほど、ドラマチックな場面を過ごすことになり、忘れられない思い出がミニチュアに宿るところだ。誰彼構わずぶっ放すハープーンランチャーと呼ばれるワイヤー付きの槍を発射する銃は、何度も相手を高所から引きずりおろし、それと同じくらい誤射をしてしまい仲間を貫いた。いまいち活躍し切れておらず、新しいミニチュアを作ろうかなと思っていたリーダーはとうとう先日、倒すべき敵を猛攻で倒し店内は拍手で包まれた。大人になると損得なしに自分の頑張りでみんなが拍手してくれることなんて、なかなかないぞ。
いつも仲良くしてくれる先輩が「これは行くしかないっしょ」と私の攻める気持ちを後押ししてくれたことも忘れられないし、そうして成果を収めた後に「こういうでかい敵を倒すためのような装備だから、良かった!」と話してくれたことも忘れられない。
アナログゲームは対戦相手あっての遊びだ。ネット対戦みたいにランダムでマッチメイクはしてくれない。なので、いつまでこの遊びが続けられるだろうという気持ちは常につきまとう。ハマれるのは環境があるからで、それは幸せなことなのだ。いつかゲームから離れるときが来るだろう。それでも、敵も味方も撃ち抜いたアイツや、交代させようかと思ったら大活躍したリーダーを手放すことはないだろう。もし、一度離れて、戻って来るようなことがあれば「ああ、これは一生ものの遊びを俺は手に入れたんだな」と実感するに違いない。離れなければ、それはそれで最高だけど。
今週のお題「一生モノ」
今日の物販