メガネのレンズにはいつからか必ず色を入れるようにしていて、それは単におもしろいからというだけの理由だった。色は適当に決める。そして、濃さは一番薄い色。明らかにカラーレンズであるというのが職場でバレると厄介かな、という後ろ向きな理由からだった。
たまに、昭和の30代が集まったような写真を見ることがある。何で見るのかはよくわからないけど、例えば大企業の創業時代だとか、昔の野球選手だとか、そういうの。あとは私のスマートフォンには、前の職場の人の若い頃の写真というのが雑に残っているので、それも該当する。
それを目にすると大抵いるんだよ、色眼鏡の人が。しかも、場合によっては複数人いる。なんか楽しそうじゃん。私が厄介だなと思う職場の人たちの若い頃みたいな雰囲気なんだよ、よく考えたらさ。彼らは彼であの頃精一杯おしゃれを楽しんでいたのだと思う。だったら、私だってメガネのレンズの色が濃くたっていいじゃないか。大人のおしゃれだ。
というわけで、ちょうどレンズのコーティングが剥げていたメガネのレンズを入れ直した。その際に「色はどうする?」と言われたので、入れることと、いつもより一段階濃くすることを話した。仕上がったと連絡を受けたので引き取りに行くと明らかに色が入っている。しかも、ダークイエローのフレームに対して青のレンズを入れたので、反対色の対比で結構目立つ。
試しに何度か職場に掛けていくと、びっくりするくらい誰も気づかない。そんなもんか、といえばそんなもんなんだけど、鏡を見るとレンズ越しに見る目の周りとそれ以外の肌の色は全然違う。それでも言われないので、大丈夫だということだ。
ブルーがかったレンズは空が綺麗に見えるし、メガネとしても微妙なニュアンスが出る。なので、「結構雰囲気が変わるもんだな」という気持ちと「それでも職場程度の関係性だと気づかないもんだな」という面白さがあった。まさかそんなものをかけていると思っていないのもあるのだろう。
良い歳なので、こういうおしゃれが似合うようになってきた。
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