1/35のティリーはシャーシと、ボディとタイヤがそれぞれ区分けがしっかりなされてるという話を聞いたが、実際に組んでみるとそうでした。
これは塗装するのに優しい作り方で、各セクションごとに組んでから進められるので素晴らしい。タミヤは(他のメーカーでもそうかもしれませんが)言外に、そういうことを仕込んでくるときがどうやらあるようです。
これは1/48のホルヒもそうでした。タイヤとシャーシ、ボディがそれぞれ分けられます。また、そうでありながらもこの奇妙な6輪の見た目をしっかりと保っているから恐れ入るものです。また「一体成型」と呼ぶようなパーツもシャーシ以外はほとんど無いのでパチパチとパーツを切って貼り合わせて、椅子などの細かな塊を作りボディの床面に載せていき……側面を作りダッシュボードを作っていくことになります。
この制作過程で異様な面白さを放つのはパネル状のパーツがまるで事前に計画されていたように、ぴったりとはまっていく過程です。これは何と言ったら良いのか難しいところですが、一度割った板チョコをまた元に合わせようとする感じに近いと思います。何が言いたいのかというと「一度組み上がったものがバラバラにされたものを組み立ててる」という感覚なのです。
これは言葉にすれば、模型全般に言える当たり前の事実です。作り慣れてしまった私もすっかり見逃していました。いつも「俺は今、組み立てている」それだけでしたが、実際は(特にタミヤのものの場合は)「組み上がるであるとわかってるものを組み立てている」のです。
その仕組まれた、幸せな瞬間の1つはボディ側面やボンネット周りであり、小気味よいリズムに気持ちが高揚するのを抑えることはできないでしょう。
それでいながら「タイヤ」「シャーシ」「ボディ」と3つのセクション(それと兵士もありますね)に分けられていることには驚きを隠せません。さらに1/48という小さめのスケールなのですから。一体成型で手順を簡略化するよりも難しいことを行い、それを簡単に消費者にやらせるのですから大したものです。
こうして出来上がるものは、とても堅実な塊で、それは見た目もそうですが作る工程で私たちはそれを真実であると感じます。
全席二人のキレのある造形の二人を乗せるか乗せないかは悩みどころではありますが、ハンドルとフロントドアさえ付けなければいつまでも悩むことができます。仮に乗せなかったとしてもカーモデル的な美しさは損ないませんし、乗せると私のように汎用的な後ろの4人を乗せて旅路を生み出すことになるでしょう。
ホルヒを作る上で注目したいのはセクションに分かれた設計と最後まで悩める「余地」があるということです。言い換えると保留し続けられるとも考えられるでしょう。
保留する力がある模型に私は過去に何度か遭遇しましたが、プラマックスのホンダF90耕耘機みのりの、マシンのスタンドが「実にわかりやすく」そうでした。通常よりも固めの嵌め合いで容易には取れないようになっており、だからこそ、この見慣れない耕耘機を興味深く配置することに目が慣れる時間を残してくれています。
模型はニッパーでパーツを切り取る段階から一方通行の道を進むことになりますが、その中に「保留させる」ポイントがあり、そこに気づくとまた少し違った組み立て感覚を得られるという話でした。
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