私は割と無塗装で模型を仕上げることが多い。
塗装して仕上げたものなんて作ったキットの数の十分の一にもすぎないと思う。無塗装は、楽しい。模型を作る過程の「切って貼る」これにめちゃくちゃフォーカスできる。なんなら、最初は無塗装で作りまくって模型に重要な「位置決め」を徹底的に覚えた方が良いとすら感じる。転輪や牽引用のリングの向き、それで合ってる?
説明書に指摘されるのはいつだって、組み立てに関わる向きや裏表の話が主で「作る上でこれを守らないと障害になること」が言葉や視線誘導ではっきりと目につくようになっている。
反面、今挙げた転輪の向きが揃ってるとかそういうのは「揃えましょう」とは書かれていない。こんなの書いてたら説明書は分厚くなるばかりだ。
無塗装はいつだって私を簡単には許してはくれない。
出来上がったものが日光を浴びれば、流し込み接着剤で質感が変わった部分はザラッとその姿を見せてくるし、うっかり接着剤が指につこうものならベタっと指紋が残る。削っても、削った跡が残る。
一生懸命、向きを揃えたつもりでも、どこかのタイミングでずれてしまう。無塗装だからこそ、そういう至らない点の方が目に行く。R35も、そうだった。
「塗装を頑張りました」
「ウェザリングを頑張りました」
「合わせ目を消しました」
無塗装はあまりにも基礎的で当たり前すぎてそういう「頑張りました」が無い。
また、筆で色を塗ったときに筆ムラを味だと許したりするように挙げた作業には(きっと加点項目だからだろう)そういう「許し」がある。
無塗装が、加点要素として持ち得る可能性と許しは「水平垂直の向きが揃ってる」とか……それくらいだろうか。
無塗装は簡単だが、難しい。
「包丁で切るだけ」なのに「切れた!」っていう人と「切れてない」という人がいる。そういう世界でもあると思う。
だから私は、無塗装は楽しいと思う。