Re:11colors

毎週木曜更新(2021年1月現在)。革靴、模型、日常。

箱の外にある兵士塗装という遊び。

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模型という遊びの中で人を塗るというのは、なんというか専門店で1粒いくらのショコラを買うような感覚に近い。

 

完成後に生まれるのはその人の営みがはっきりと映し出される世界で、甘みがぎゅっと詰まったショコラのようだ。そして、このときに「ああ、兵士ってかっこいいな」と思ってしまう。感動のもとは男たちがしっかりと役割に従事しているからだろうか。これがいいものが出来上がったという満足感の原因であることは間違いなく、地続きの非日常が兵士だからというのがあると思う。月曜日のサラリーマンセット、は作りたくなるだろうか。私の好みのショコラではなさそうだけど。

 

塗っているときの感覚はとても面白くて集中力が段違いに上がる。ぼんやりとおざなりには塗れず、それが面白い。小さなものに異様な密度の集中力が詰め込まれていく。慎重に、慎重に。塗るときの合言葉は「上手い人はそんなことはしない」で、この一言で雑なファーストタッチや乾燥を我慢できず次に進んでしまうことをだいぶ緩和できる。

 

この兵士を塗るという遊びの一番厄介なところは最初の一歩だと思う。それがしんどい。塗る/塗らないのハードルが異様に高く感じる。理由は簡単で「難しそうだから」。難しいというのは何か、アーティスティックなものを求められるのではないかということだと思う。人形師が顔を描くような、もっと身近に言えば美術の授業で向かいの席のクラスメイトの顔や自画像を描くようなあの感じに近い難しさを感じてしまうからではなかろうか。

 

実際にはそう言ったことはなく、思った以上に手順を守って進めることが求められる。そこが面白いと思う。即興性や場当たり的な作業はほとんど求められず計画的に物事を進めることが大事な気がする。そして、組み立て作業には「計画」は説明書に書いてあり、部品は全て箱の中に入っているので模型という箱の中で完成しているが、塗装は計画を自分で立てて塗らないといけない。塗料も揃えないといけない。難しいのはここだろう。あまりにもガイドがなく、作りたいという衝動に対して揃えるというターンがカウンターウェイトのように作用して前に転がっていかないという状態だ。

 

兵士を塗るという遊びの面白いところは「塗料を揃えるところでもある!」とは私は思わない。どちらかというと箱の側面に使用する塗料が全部書いてあって欲しいとすら思うし、更に言えばその塗料を揃えると他にどのキットに使えるのかという互換性も教えて欲しいと思う。私が今回使った塗料を使えば他にどの兵士が塗れるのだろうとかそういう話。

 

とにかく兵士を塗るのは楽しかった、充実感もある。

だからこそ、その前の関門を取っ払って欲しい。そして、この極甘の充実感が指や目を通じて頭の中に入っていく感覚を楽しむ人が増えてくれればと思う。

 

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