Re:11colors

毎週木曜更新(2021年1月現在)。革靴、模型、日常。

プラモデルにおける人形は服を着た人形だという話。

実際に人って作れないよなといつも人のプラモデルを作りながら思っているんですけど、だからこそ楽しいみたいな感じが私の中にあります。

 

人って創作活動で一種の花形みたいなところがある。靴の絵が描けるより、目の前のあなたの似顔絵をぱぱっと描いて差し上げられたほうがきっと尊敬されるだろうし、自分の手で可愛い女の子や美人のお姉さんの絵が描けたら間違いなく楽しい。やっぱり人を創作することは私の中では他の創作とは違う、別格といった趣がある。

 

mihairu.hatenablog.com

 

彼の素晴らしいブログを見て思わずタミヤの1/35ドイツ歩兵セット(大戦中期)を手に入れたのだけど、人のプラモデル(フィギュア)の面白さにつくづく驚いた。というのもよくよく考えると、人にはパーツ分割の制約が無いのである。

 

無い、というのは例えば車ならタイヤとホイールがどう分割されるのかとか、戦車だったら、飛行機だったらと、大抵ルールみたいなのが通っているのだけど、それが無いということ。実際にはそんなのは無視して、僕らがあっと驚くような分割をしてくれても構わないのだけど、車はこう、飛行機はこう、という常識みたいなのがあって、そこを無視できないのが乗り物系のプラモデルの制約だ。

これはきっとそれぞれのモチーフとなる実物が実際に人の手によって作られることや、なんとなくこういうものだと共通理解がなされているからで、それに沿ってプラモデルの設計を行ったほうがスムースに組み立てられるからなのではないか。常識を上手につかうというか。

 

その点、人の実物を作ることは僕らにはできないので、作る上でのモチーフの共通理解というのは、実は無い。せいぜい子供の頃に遊んだ人形の首が回ったり、脚と腕が動いたりするので、大まかにそういう分割になっているという「人形に対する理解」がそのまま人のプラモデルの分割と近似性を見せている程度だろう。ところで「人を作る」とは言うが、彼らは「服を着た人」なので前身頃と後ろ身頃でパーツが分かれているのは正解に思えるが、どうだろうか。

 

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実際、前後で分ける分割は昔のフィギュアで存在しているが、これはそれとは違うかなりチャレンジングな内容に思える。「普通」だったら脚をくっつけて、胴体、左右の腕、顔……というような手順とはぜんぜん違っていて、そもそも人を分割する上で「モチーフに近しい分割というのは無いのだ」というような気付きや、従来的な分割は「人形の分割だ」と、既存の思い込みを取っ払うような設計で驚きを隠せない。そして「服を着た人を作る」ので服のように分割をするというのは悪くないアイデアだ。

 

無論、少しプラモデルに明るいとウォーハンマーの影響の話は出てくるだろうが、あっちはあっちで「何が何でも(一見メチャクチャな分割になろうとも)良い形を作る」というような発想が見て取れる。一方でこの兵士は、服に沿って分割をしてみてはどうか?というアイデアの可能性がある。「変態的」と称されることもあるウォーハンマーの分割のようで「服の合わせ目で割る」といった秩序がある。

 

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「人形は、服を着た人形である」とフィギュアの常識を見直したかのようなプラモデルがタミヤの1/35ドイツ歩兵セット(大戦中期)なのではないか。

 

 

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