Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

普通で特別なことをしに旅行に行く

 

どうにも疲れていて、旅行にでも行くかと思った。気分転換が必要だ。

 

なんて思った矢先にTwitterでフォローしている人が、ぷらっと旅行へ行ってしまった。仙台から山形の方へ行って帰ってくるという旅を突如計画し、十分に楽しんで帰ってきた様子をタイムライン上で眺めていた。しかし困ったことに俺は旅行を知らない。一人でどこか遠くへ行くという経験がほとんどない。というか、俺は東京で満ち足りているのだと思う。なんなら自然にも興味がないかもしれない。

 

とりあえず、うらやましく思った感情をそのままに仙台に行くこととした。

ただ、この後がまるで決まらない。「仙台 おすすめ」なんて検索しても、俺へのおすすめはまるで出てこないし、会社の人に「マジで仕事疲れたから、仙台に行こうと思う。どこか良いスポットを教えて欲しい」と話しても、史跡や青葉公園が良かったという話をもらうだけ。史跡も公園も俺は興味がないのであった。

 

こうなってくるともう、自分の感受性の乏しさにがっかりする他ない。インターネットも、会社の人も「これがオススメですよ」と教えてくれるのに、首を横に振るばかりだ。まるでわがままなお姫さまのようで、自分のことをみすぼらしく感じた。それでも、旅行に行くならその土地固有のことがしたい。ただ、それがなんなのかわからないのである。こんなに悲しいことがあるだろうか。

 

 

しょぼくれて、横になってスマホをぽちぽちいじりながら、何を思ったのか「仙台 靴」と検索した。そうすると靴屋がいくつか出てくる。「ああ、靴屋か」と思って、さらに検索すると注文靴をやっている店が見つかった。そういえば、俺は数年前に、名古屋の注文靴屋に行きたいと思っていたことがあったのだ。

 

ホームページから問い合わせをする。すると翌日、電話がかかってきて、採寸の日時を決めたり、納期や価格について説明を受けたりした。「どこから来るのか?」といった話もあった。「東京から、旅行のついでにそちらへ行く」と言った。「あなたに靴を作ってもらうため東京から行く」とは、なんだか気恥ずかしくて言えなかった。多くの旅行観にかすりもしない自分が嫌だし、今だって誰かにこういう話をして「靴を作りに行くって素敵」と思われるのが嫌だ。俺にとって普通で特別なことが、靴を作ることだったというだけなのだ。

 

次の週末はカメラを持って外に出かけた。というのも、もし可能であれば店内の写真を撮りたい。店外の様子も撮影したい。そうすると、どれくらいのレンズを持っていけばいいのかがわからないからだ。換算80mmのレンズを持って知人がいる店に行くと、やや望遠過ぎだった。ただ、外の景色を撮影するにはこっちなんだよな……。35mmもあるし、両方持っていくか。

 

 

「俺、来週は仙台に靴作りに行くわ」って日曜日に会った友達に話したら「え?」と驚かれた。ただ「ハンドで、ワインハイマーのボックスカーフ使ってこれくらいなんだよね」と金額の話をすると「ああ、それはありだね」と言っていたので、まぁそういう温度感が心地良いっていうかなんていうか。

 

今週の物販