Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

青葉区と若林区にて

 

「仙台 おすすめ」だと何でも出てくるけど、何も出てこない。ただ「若林区 おすすめ」と検索すると、確実に何かが出てくる。

 

東京から、仙台へ旅行に行った。到着するまでは仙台を一つの都市として認識していた。ただ、駅を出てそこら中を歩いてみると、都市であるということは市区町村があり、それは東京と何ら変わらない部分があるという様子だった。誰だよ、日本全国に共通した都道府県と市区町村って概念を普及させたやつ。神か。

 

青葉区で、靴をオーダーして「青葉区なんだここ」って気づいて「今日の宿はどちらですか?」と聞かれて「若林区です」なんて話をする。すると、都市の構造について意識が向いて、急に仙台を理解し始める。なので、宿に着いてTwitterで「若林区 おすすめ」と検索する。そうすると「仙台 おすすめ」じゃ出てきたことのない焼き肉屋が出てきた。

 

 

ホテルから歩いて20分ほどのその店までの誰もいない道は、歩いていて、なんかすごかった。マンションや会社には人がいて、その明かりが真っ暗な道を照らしていることがやけに生々しく感じられて、独りで歩いていることがはっきりとわかった。そのせいか影の輪郭がいつもよりはっきりとしていた。そんな空間を歩くのには音楽を聞く必要も、スマホさわる必要もなかった。ただただ、夜がそびえ立っていた。

 

焼き肉屋は豚肉がメインの店で、ぜひまた行きたい。「東京のお店と価格的にはあまり変わらんな」と思ったら、出てくる肉が大きかった。七輪にうちわで空気を送り込んだり、油に引火した炎を氷で消したりしながら、煙でもくもくした店内で食べる肉はとにかくおいしかった。

 

 

実は、仙台に行こうと思ったあとに好感を持った記事がある。「わたしのいた街、すきな場所」として仙台で暮らしていた方がお気に入りの店を上げていたのだ。その中の店のどれかに行きたいと思っていた。見たこともなく、どのように人生が転んでも出会うことがなさそうな人。その人が暮らして、良かったところを書いている。うっすらと輪郭があるだけの塊の中に、素朴な楽しさがあるはずだと思った。

 

それに、生活の証みたいなものを、やわらかな空気で共有できるインターネットって面白い。使い方次第なんだけど。ただまぁ、こうやってブログなりなんなりに書き置いておくっていうのは、文字と写真のバランスといった空間を含めて自分でプロデュースできる良さがあるんだろうな。

 

紹介されている店のうち、どこに行こうか悩んだが、立ち食いそば屋にした。ごぼうかき揚げそばを食いながら「この空間に意味を見出しているっておもしろいな」と感じていた。夢中に麺をすすっていると、自分も仙台という都市の風景に溶け込んでいるようで、とても良かった。

 

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