プラモをカッコよく作るセンスってのが仮にあるとしたらそれは「位置を決められる」ってことだと思ってる。例えばタイヤが四つ地面につくとか翼が正面から見たときに線対称なのかとかね。他にもそういう「位置」がいろいろあって、反対にこれが決まらないと何をどうしてもカッコよくならないなんてことがあると思う。
タミヤのフィーゼラーFi156Cシュトルヒはその辺が本当に驚くくらいによくできている。
翼や主脚の位置が金属製のパーツの力でバシッと決まる。翼なんかはさらに屋根を上から合わせるとピタッと固定されるので本当に驚く。
主脚に関してもそのものの角度もそうだけど、今回つけたスキー板の設置角度が調整しやすくて、それがまたね。なんていうか、そういうのがパチッパチッと決めてく瞬間があるのが楽しいんですよ。これが。これがタミヤの「作らされてるのではなく作っている感覚」の大切な要素だと思います。
そうやって全部が全部いい感じに決まってく上に、気づいたら出来上がっているという快適なドライブ感覚の組み立て順がまた良い。「形になるスピード」ということに関して私も何度か考えたことがあるけど、それとは違うペース配分の妙。翼の裏面の棒状のパーツの組み立てとか大変そうに見えて、すぐ終わるし、それでいてこの飛行機の構造を確固たるものにするクライマックス感がすごい。
で、昔誰かが「連続ドラマは最終回の一個前が実質ラスト。そのあとはまとめだ」って話をしてたんだけど、シュトルヒもそう。
飛行機の構造をバシッと固めた後に飛行機を飛行機にするためにプロペラを嵌める。ショートケーキにイチゴを載せるように、めでたしめでたし。
私のシュトルヒは「豪快なレジャー」と評した方がいるように各パーツをあらかじめ異なる質感の白に塗って、透ける白やべったりとした白、筆ムラが楽しい白などを盛り込んで互いが互いをよく見せるように塗ることで、雪のようなものを乗せたりして「冬を再現しました」なんていうよりも、少し抽象的で、尚且つ動きのある冬を作ったんだけど、それもこれも、こうやってビシッとカッコよく位置が決まるシュトルヒのお陰で形になってたりして、本当に素晴らしい。
プロペラを緑にすることで途端にカナダとか北欧とかその辺の姿で少し牧歌的になるのがこれまた面白い。私はクリスマスをイメージして緑にしたけど。プロペラが白かったらロシアとかのマジで厳しい冬っていうか、寂しい冬っていうか。緑にしたから白が雪に見えるとか。そういうのが楽しいよ。
情感あふれるキットなので、思わずドアを開け放ちます。
冬だから、冬のプラモ作りませんか?
今週の物販