数年後に今の自分の完成品を見たら「この頃は影の色をがっつり残すのが楽しかったんでしょうね」と話すと思う。
影の色として下地に塗る最初の色を、その後に塗られる色よりも明るくする。そうした場合に、自分が設定した光源に対して、影となる部分や筆が届かないところは下地の色が残り、塗り重ねられた色よりも明度や彩度が高くなるので、明るく見えてくる。
影として設定した色がひっくり返って光の色になるというのは、色というものがいかに相対的なものかというのがわかる現象だと思う。隣り合う色に比べて明るいか暗いかで、光にも影にもなるというわけだ。
私が影の色を明るくするのは、全体を軽やかな仕上がりにしたいという思いが強いからだ。どうにもこってりと重い仕上がりが得意ではない。
それに、補色や全体のトーンの抜き差しを考えて塗装していくことに時間を割くのが好きなのだと思う。反面、がっつり塗り込んでいくみたいなことはまるで得意ではない。なので「雰囲気で塗っている」といってもいいと思う。ただ、その雰囲気づくりに注力するのが好きなのだ。
Lost Kingdomのミニチュアは、塗り映えのするデフォルメというよりは繊細で神秘的な雰囲気をまとった造形が多く、細いところはしっかりと細い。そのお陰か、漫画的というよりは絵画的な見た目のものが多いのが好きだ。
このエルフは割とファンタジーど真ん中なエルフだが、和をモチーフにしたエルフや、キノコの要素を取り入れたりして全体の造形にスパイスを加えながら美しい姿を作っているのが素晴らしい。
思いっきり塗り込んでリアルに!も十分ありだけど、直感を元に雰囲気づくりに徹する塗装が楽しみやすいのはファンタジー系のミニチュアの良いところですね。アンデット系ならもっと重苦しくなるし、天使ならさらに軽やかになるのだろうか。自由度が高い分、思い描く世界と向き合う時間も長くなる。
今回の出来上がりは幻想的で、まさにファンタジーという感じ。土臭さを感じさせることもなく、思ったよりもかなりうまくいった。ミニチュアのフレーバーを感じながら塗り進める感じは、トラックを聴きながら自分で音程を作ってキメてラップしていく感じに近くて、割と好きです。
以下少し完成写真
いつも買うお店はサベージランドミニチュアというショップです。
Lost Kingdomはこっち
Lost Kingdomsavagelandmini.com
私はWhite WereWolf Tavernも大好きです。
White Werewolf Tavernsavagelandmini.com
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