Re:11colors

毎週水曜日更新(2024年6月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

necromundaのゲームデザインを振り返り、棒銀を探したい

 

「このゲームは棒銀がない。というか、棒銀が存在してるかがわからない」

 

と会社のゲーム好きの先輩に話した。necromundaというミニチュアゲームの話だ。ミニチュアゲームが将棋と違うのはそれぞれが自分の持ち駒をカスタマイズできるところにある。角の代わりに飛車が二枚、歩を4枚置かない代わりに金を1枚増やす。とか。

 

なので、編成のアイデアは探せばいくつか出てくるし、べらぼうに強い武器もわかる。特定の武器を指して「これは強い」という情報はちょっとでもコミュニティに出入りする仕入れることができる。「飛車は強い」みたいな話だ。そして、強い武器を使うと、強さを以って順当に勝てる。負けるときは、大抵が運が悪かったということになる。

 

そこで「棒銀がない」という話になる。古くから愛されている、しかも比較的使いやすい定番の動きはないのかという話だ。ミニチュア一つ一つの強さよりも、上位にある基本的な、強い動かし方を知りたい。8人程度のギャングをどう動かすのかが、全くわからなかった。

 

 

とはいうものの、necromundaを数回遊ぶと、ゲームのデザイン思想が見えてくる。このゲームは基本的に都度都度判定なのだ。攻撃をするにしても、弾が出た、当たった、防げるか、防げなかったらどれくらいの怪我をするのか……みたいに一連の出来事をつなげたステップは割と現実的な意味がある。その出来事それぞれにサイコロを振る。処理の数が多く、参照するステータスが処理ごとに違うため、手間はかかる。ただ、一歩引いてみるとやってることは素直だ。

 

こうやって工程を見ていると確率の計算がしやすいはずだ。はずなのだ。ゲームで振るサイコロは全部六面体のものなので、じっと眺めるとそう思える。4以上の出目で成功するということは50%で成功ということを指すし、弾が問題なく発射される確率は83.3%。なので、この場合は何事もなく射撃が成功するのは41.5%だ。その後に攻撃が当たるのか、負傷を与えることができるのかという関門を潜ることになるのだけども。

 

処理は起こった出来事に対して都度都度判定するくせに、射撃の成功判定にはこのステータス、当たったときはこっちのステータスとあっちのステータスを比べる。そのあとは……と延々と続く。他のゲームは知らないが、処理の多さと比較するステータスの種類の多さが単純な確率計算を見えなくする。

 

 

「自分のミニチュアで目の前のアイツを撃つと、どれくらいの確率で倒せるのか」がパッと出てこない。その面倒な計算を無視するためのべらぼうに強い武器。無視はできるが、確率の存在を完全に無くすことはできない。

 

そう思うと、確率を操作する動きは強いということが見えてくる。当たり前だ。ミニチュアの動かし方でいうと「狙って撃つ」や「隠れる」は動きの中では気軽に確率を操作できる立ち回りになる。この辺の当たり前の動きを積極的に狙うのがnecromundaの棒銀になるのではないか。聞けば当たり前だが、それが見えてこないのが面白さだと思う。